第38話 勘
第38話 勘
「ボスの情報はある?」
「残念ながらないよ。国王陛下から直々にお話を伺ったときも、そこまでの話は出来なかったんだ」
「それじゃあ、仕方がないわね。じゃあ進みましょうか」
私たちは反時計回りに、渦巻き状の通路を進んでいった。
時々、魔物とエンカウントするが、問題なくかたづけた。
しばらく進んでいくと、またもやダークゾーンがあった。
「またダークゾーンだわ。今度は何もなければ良いけど…」
「慎重に進んでいきましょう。ここには何もないと私の勘が告げているわ」
「…」
ダークゾーンの中を進んでいくが、特に何もなかった。
「やっぱりね」
ここまで来ると、イオタの勘は、ただの偶然なのかどうか分からなくなってきた。
「このまま進むと、ボスがいるわよ」
「いや、それは誰でもそう思うわよ。じゃあイオタ、ボスはどんな魔物だと思う?」
「うーん、私の勘では悪魔族ね」
「えっ、ここまでこの層では、悪魔族とエンカウントしていないわ」
「これが当たると凄いかも…」
「興味深いね…」
「悪魔族なら、グレーター・デーモンとかかな?」
「それか、もっと上位の悪魔か…」
「上位の悪魔って、どんな悪魔?」
「ケイオス・ストームとか、アーク・デーモンとかかな…」
「どちらにせよ、強大な悪魔ね」
「そうだと仮定して、対策はどうする?」
「どちらの悪魔も、物理攻撃より魔法攻撃の方が良いかもしれない」
「なぜなら、ケイオス・ストームはそもそも物理攻撃が効きにくいし、アーク・デーモンは、物理攻撃も効くけど、剣技に長けているから、それを上回る剣の技術がないと難しい」
「それでは、どんな魔法が効果的なの?」
「アーク・デーモンは、威力のある魔法なら何でも良いわ。ケイオス・ストームは、土属性の魔法が良いとされているわ」
「まだ、アーク・デーモンの方がやりやすそうね。今の私たちで勝てるのかしら…?」
「やり方次第だろうね。幸いにして、ボスの位置は予想がつく。そこに合わせて、魔法攻撃を撃ち込むしかないかな」
「国王陛下は、どのようにして倒されたのでしょうね」
「国王陛下は私たちと同様に、少人数のパーティーで挑まれたはず…。魔法だけで倒すのは困難だったのではないかな?一方、剣の技術も非常に秀でておられる…。もしかすると、ボスはアーク・デーモンなのかもしれない…。アーク・デーモンを剣技で圧倒されたのかもしれないね」
「いつの間にか、イオタの勘が正しいことになっているわね…。それも危険な気がするけど…。でも、ゲイリーの推理も、良いところを突いている気がするわ」
「何度も言うように、私の勘は外れないわ。ゲイリーの推理が正しいでしょうね」
「それも勘?」
「そうよ」
「どうする?アーク・デーモンがボスである前提で、作戦を練り直そうか?」
「まあ、アーク・デーモンじゃなかったら、臨機応変に対処しなくてはならないし、アーク・デーモン出会った場合の作戦を練っておきましょう」
「まずは、キャンプを張りましょう。それからゆっくり作戦を練りましょう」
「了解」
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