第30話 キラー・マンティス
第30話 キラー・マンティス
私のレベルが10になったので、迷宮の攻略を再開した。
第二層に上がると、ますは北の扉に行った。
クリスタルの鍵が消えて手元にないので、鍵がかかっていては厄介だと思ったが、そんなことはなく、普通に扉を開けることが出来た。
部屋の中に入ると、ショーケースが消失した後に出現した扉が見えた。
「扉も残っているわね。またやり直しとかだったら厄介だと思っていたけれど、大丈夫で良かった」
部屋の奥に進み、扉を開け、中を覗いた。
階段状ではあるが、三角形のような形の部屋が見える。
一見すると、魔物はいないように見えた。
しかしそんなはずはない。
私たちはうなずき合うと、一斉に中に入っていった。
私たちが中に入った途端、部屋の中央部付近に、魔物が出現した。
それは巨大なカマキリの魔物、キラー・マンティスだった。
それが四体、こちらを睨んでいる。
私とゲイリーは、目配せをして、左側の二体向かった。
それを見てオリビアは、右側の二体を目標にファイア・ストームの魔法の詠唱を開始した。
私とゲイリーの動きを見たキラー・マンティスは、獲物を襲うカマキリの如く、ジャンプして、その大きな鎌で私たちを捕らえようとした。
私たちは、その動きを何とか躱し、お返しとばかりに、剣で斬りかかった。
しかし、キラー・マンティスも素早く反応し、大きな鎌で剣を受け止めてしまった。
それからは、私もゲイリーもそれぞれにキラー・マンティスと一進一退の攻防を続けた。
右側にいた二体のキラー・マンティスは、私とゲイリーの動きを見ていたが、獲物を定めたかのように、私とゲイリーに飛びかかろうと動き始めた。
そこに、オリビアのファイア・ストームの魔法が炸裂した。
不意を突く形でファイア・ストームの魔法がヒットし、キラー・マンティス二体は魔法の炎に包まれた。
私はチャンスとばかりに、ここでスロー・タイムを発動させた。
目の前のキラー・マンティスの攻撃を捌きつつ、向こう側のキラー・マンティスを包み込む魔法の炎が消えかけた瞬間に、更にファイア・ストームの魔法を発動させた。
それから、目の前のキラー・マンティスに対して、ライトニングの魔法を発動させた。
ライトニングの魔法は一定の確率で、相手に麻痺の状態異常を与えることが出来る。
あまり期待をしていたわけではなかったが、今回は上手くいった。
目の前のキラー・マンティスは痺れて動けなくなった。
すかさず、私は突きを入れつつ間合いを詰めると、下段から切り上げ、そのまま横、縦と十字に斬撃を加え、最後に踏み込みながら深く突き入れた。
攻撃の型の応用である。
目の前のキラー・マンティスは、その攻撃で倒れ、そのまま消失した。
ゲイリーはまだ一体のキラー・マンティスと攻防を続けている。
魔法の炎に焼かれた二体のキラー・マンティスは、オリビアが更にウインドカッターを放ったことにより、絶命し、消失した。
それを確認した私は、残り一体となったキラー・マンティスに、背後から攻撃を加えた。
キラー・マンティスは、ゲイリーの攻撃で動きが鈍くなっていたため、背後からの攻撃を躱すことが出来ず、大きなダメージを負った。
そこにゲイリーが剣を深く突き入れ、ようやく倒すことに成功した。
「やったわ!結構苦労したわね」と私。
「済まない。僕が不甲斐ないばかりに…」
「このまま進むのは危険かもしれないわね。この先は、きっと、もっと強い魔物が出てくるはずよ」
「でも、僕達はたとえレベルアップをしたとしても、その恩恵にあずかることは出来ないよ…」
「そうよね…。でも、もし私が、皆の能力を鑑定できるようになったら、問題は解決するわね。それなら、私はレベルアップに励むのみだわ」
「皆はどうする?私が鑑定できるようになることを信じてレベルアップを図るか、それとも私がレベリングする間に、旅の準備を整えておくか」
「ルナは皆でレベリングするより、ソロでした方が効率的なのよね?」
「正直に言うと、そうかもね…」
「私たちが、ルナの足を引っ張ることは許されないわ」
「そうだな。ルナはソロでレベリングして。僕達は三人でレベリングするよ」
「それで、夜には外に出てお互いの状況の確認をすることにしよう」
「分かったわ。その案で行きましょう」
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