第11話 グレートサーペント
第一層のボスとの戦闘です。
第11話 グレートサーペント
ようやく第一層のマッピングを、ほぼ完了するところまで来た。
「第一層でまだマッピングできていないのは、ここだけなのです。だから、この金の扉を開けて右側に行くと、第二層へと続く階段があると思うのです」とリン。
「なるほど、先日ゲットした金の鍵はここで使うのかな?」
「そうだよ、レン。まあここまで僕の知識を使わずに攻略してきたのだから、もう迷宮の攻略の進め方は収得できただろう。ここからは危険度も高くなるし、僕の知識を共有しておこうね。この金の扉の奥には、第二層へ下りる階段があり、その前の部屋にボスが控えているんだよ」
「ボスはグレートサーペントという巨大な蛇のモンスターで、動きが素早く、力強い顎によるかみつき攻撃を得意としているんだ。だけど一番に注意すべきなのは、口から吐き出す毒攻撃なんだよ。これを食らうと、しばらく毒にむしばまれ、動きが悪くなり体力が徐々に減少していく。放置すれば死んでしまうこともある、危険な状態異常なんだ。レイリアはまだ解毒の魔法は習得していないよね?」
「はい、残念ながらそうですわ。かわりに解毒のポーションは用意しています。が、数に限りがありますし、かなり高価なので、できるだけ毒を食らわないようにしたいですわね」
「了解!」
「で、作戦だね。リンははじめから後衛に下がり、毒のケアとか、戦闘の補助をお願いする。あらかじめポーションを用意しておいてね。レンはいつものように、相手を攪乱しつつ、相手の攻撃を避けながら、慎重に攻めてほしい。サーシャはタイミングを見て魔法をお願いするよ。レイリアもリンと協力して、戦闘の補助をお願いするね。僕はタンク役で、ヘイトを稼いでおくよ。で、毒攻撃が来たときは、みんな全力で回避だ。いけるよね?」
「おう!」
金の扉を開け、右に数m程進むと扉があった。
「この奥がボスだ。みんな準備は良いかな?行くよ!!」
勢いよく扉を開け、一斉に部屋へと飛び込んだ。
部屋の中央部にそれはいた。長さは10mを超え、胴回りは2mもある、巨大なコブラの様な蛇だ。
それが鎌首をもたげ、こちらを睨んでいる。
僕はいつものように、先制攻撃を仕掛けた。
緩急をおりませながら、時空間操作を使い、グレートサーペントに斬りかかった。
しかしそんな動きをしても、相手の不意を突くことができない。
短剣による攻撃は硬いうろこに阻まれ、効果的にダメージを与えることができない。
メンデスは、上手くヘイトをとりながら相手を引きつけている。
攻撃は僕に任せているのか、剣での攻撃はあまりしていない。
サーシャはそんな状況を見つつ、火球魔法を唱えた。
しかし、魔法の炎は相手を怯ませることはできても、ダメージはあまり期待できないようだった。
グレートサーペントは、素早い動きから噛みつき攻撃を執拗に繰り返している。
メンデスは上手くそれを盾で捌き、僕はそれを避け、ほとんどダメージを受けることがない。
僕たちは懸命に戦い続け、わずかながらも徐々にボスの体力を削っていった。
そんなときだ。
グレートサーペントはいったん後ろに下がったと思うと、それを追おうとした僕たちの方に急激に反転し、突然に毒攻撃を仕掛けてきた。
僕は何とか避けることができたが、メンデス、リン、レイリアはまともに毒を食らってしまった。
これで一気に形勢が傾いた。
毒を受けた影響でメンデスの動きが悪くなり、タンクとして機能しなくなった。リンとレイリアは、まずメンデスから解毒しようとしているが、後衛も動きが鈍くなり危険な状態となっているため、うかつにメンデスに近寄れない。
僕がタンク役をすることは難しい。
このままでは危ない、戦闘をできるだけ早く終わらせないと、パーティー全滅の危険すらある。
そう思った僕は、奥の手を使う決意をした。
「サーシャ、僕がとどめを刺す。火球の魔法を一発打ってから、魔法の準備だけして待機してくれ。5秒後に一発頼む」
「ん、了解」
そういうと、僕はステルス・スキルを発動し、高速に移動しながら相手の死角に入った。
死角の中を移動しながら、相手に近づいていった。
5秒経過し火球魔法が炸裂した。
グレートサーペントが炎に包まれたところで、僕は時空間操作スキルを用いた。
周囲の時間の流れが遅くなると、僕は相手の死角から出ないようにしながら跳躍し、グレートサーペントに完全な不意打ちを行った。
グレートサーペントの首を手刀で切りつけたのだ。
その攻撃は見事にクリティカル・ヒットとなり、グレートサーペントの首をはねることに成功した。
グレートサーペントは血を吹き出しながら倒れた。
僕はほっとしつつ、グレートサーペントが死んだことを確認した後、みんなの元へ戻ってきた。
「みんな!大丈夫?」
「ああ、僕は何とか大丈夫だ。レイリアも、リンも、解毒が済んだようだな、良かった…」
「良かった…。かなり危なかったね」
「あー、すまない。僕が毒を食らったせいで、みんなを危険にさらしてしまった」
「そんなことないわ。あれは仕方がないわ。でもみんな無事で本当に良かった…」
「うん、そうだな(ね)」みんなホッとしている。
「ところでレン、あれは何?さっきの。」
「…ああ、それについては後で話すよ。どうせ今日はもう上がるだろ?」
「ああ、そうしよう。みんな異論はないよな?」
「うん」
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