第28話 クリスタルの鍵
第28話 クリスタルの鍵
ただの偶然だと思ってきたけど、確かにイオタの勘は当たっているのよね。
でも、クリスタルを攻撃して、取り返しのつかないことが起こらないかしら…。
「ねえ、みんなはどう思う?オブジェを攻撃してみる?」
「他に何も思いつかないのであれば、仕方がないわ」
「オブジェを攻撃することで、取り返しがつかない事って起こらないかな?」
「やってみないと分からないよね。それなら、やってみるしかないよ」
皆はどちらかというと肯定的なようだ。
「皆はどちらかというと賛成のようね。では、やってみましょう」
私は剣でクリスタルを突いてみた。
金属を鳴らしたような、キーンという音と共に、剣がはじかれた。
「魔法による保護がかかっているみたいね。それなら魔法で攻撃するのかも…」
オリビアが思案している。
「じゃあ魔法で攻撃してみる?何の魔法が良いのかしら?」
「ここは土属性の魔法ね」
「念のために聞くけど、イオタ、それに根拠はある?」
「あるわよ。その根拠は、私の勘」
「それは本気で言っているの?」
「勿論よ。私の勘はほとんど外れない」
…そういうタイプの人って時々いるのよね…。
なんの根拠もなく自信のある人…。
「じゃあ、オリビア、お願いできる?」
「ええ、土属性の攻撃魔法ね。ここで地震を発生させてはまずいから、ホイッピング・ロックス辺りかな。皆下がって、じゃあ行くわよ」
「ヴェリスト・マーテン・エーラ・シュバイレン・ディーエスト・フェーラム・シュリンゲン 魔力よ、地に満ちて敵を穿つ弾となれ!ホイッピング・ロックス!」
オリビアが放ったホイッピング・ロックスの魔法は、広範囲に岩の弾を放射する攻撃魔法である。
オリビアは、それを見事な制御の下で範囲の限定をし、全弾クリスタルのオブジェに当ててみせた。
魔法の岩が無数にオブジェに着弾し、オブジェは粉々に割れてしまった。
「粉々に割れてしまったわ。大丈夫かしら」
私たちは、粉々に割れたクリスタルを見て不安になってしまった。
しかし、その中に鍵の形をした破片を見つけ、安堵した。
「これは鍵じゃない?」
「本当だ。鍵だ」
「イオタ…凄いわね。当たったわ」
「私の勘は、ほとんど外れないのよ。分かってくれた?」
イオタの勘に感謝しつつも、納得できない私であった…。
「この鍵は一階で使うのかな、北の扉で使うのかな?まあ、どちらにしても進歩よね」
私たちは、とりあえず北の扉に戻ってきた。
クリスタルの鍵を使うと、扉の鍵が開いた。
部屋の中に入ると、部屋の奥に台座があり、その上にガラスのショーケースが置いてある。
ショーケースの中には、金色に輝く鍵が見える。
ショーケースを開けようとしたが、そのままでは開かなかった。
ショーケースをよく観察してみると、前面の下の方に一つ、左右の側面の下の方に一つずつ、合計三つの鍵穴がついていた。
「鍵穴が三つあるわね。どれに挿すのかしら?それとも全部?」
クリスタルの鍵を真ん中の鍵穴に挿し回すと、カチッという音と共に、クリスタルの鍵が消失した。
それでもまだショーケースは開かない。
残りの二つの鍵穴に、銀・銅の鍵をそれぞれ差し込み回すと、やはりカチッという音と共に鍵が消失した。
ショーケースは、最後に使った銅の鍵が消失すると共に、自然に開いた。
「これで金の鍵をゲットね」
鍵を取ると共に、ショーケースは台座と共に消失し、新たな扉が出現した。
扉を開け、中を覗くと、三角形のような形の部屋となっていた。
「この先には何かありそうね。ここは残しておいて、今日は一旦一階に戻ってみましょう」
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