第25話 ドラゴン・フライ
第25話 ドラゴン・フライ
「次は東の扉に向かいましょう」
「了解」
私たちは、東の扉の前までやって来た。
「今度は何かあるかしらね」
「また魔物だけかもよ。まあ、気を引き締めていこう」
「了解」
私たちは扉を開け、中の部屋に入った。
やはり魔物とのエンカウントだ。
部屋の中には、トンボのような魔物が二体飛んでいる。
頭から尻尾までの長さは2m程になる、巨大なトンボのような魔物で、ホバリングしては、唐突に上に上がったり、下に下がったり、上下左右に高速移動し、自由に飛び回っている。
「ドラゴン・フライだ」
私とゲイリーは、走って行き、ドラゴン・フライに斬りかかった。
しかし、ドラゴン・フライは高速で避け、反撃に出て、私に噛みついてきた。
素早い動きに、私は避けることが出来なかった。
ギシギシギシ、ドラゴン・フライの顎は強力で、鎧の装甲を貫いてきた。
私は、噛みついているドラゴン・フライを、右手の剣で斬りつけた。
しかし、その動きに反応して、ドラゴン・フライは離れていった。
空振りだ。
私は先ほどの攻撃で左肩にダメージを負ってしまった。
「ルナ、大丈夫?」イオタは確認しつつ、エクストラヒールを唱えてくれた。
私の傷は癒えたが、状況はあまり良くない。
私もゲイリーも、素早く動くドラゴン・フライに、なかなか攻撃を当てることが出来ない。
空振りばかりを繰り返している。
そこにオリビアがスリプルの魔法を発動させた。
スリプルの魔法は、一体のドラゴン・フライを捉え、眠りに誘うことに成功した。
眠りに落ちたドラゴン・フライは、羽ばたきをしていないが、空中に浮いたまま静止している。
「何これ!」私は驚いて叫びつつも、剣で斬りかかり、一体のドラゴン・フライをようやく倒すことに成功した。
私は、すぐさまゲイリーの方へ向かい、ドラゴン・フライを前後から挟撃する事に成功した。
ドラゴン・フライの複眼は、後ろからの攻撃にも反応し、前後からの斬撃を避けている。
何度も剣戟を躱された。
しがし、最後には、普段から一緒に練習をしている私とゲイリーの連携が上回った。
ゲイリーは、私の攻撃の型を見抜き、その剣の動き悟ると、ドラゴン・フライの避ける位置を予想し、そこに斬撃を加えた。
それは見事にドラゴン・フライを捉えた。
一度斬撃が当たると、ドラゴン・フライの動きは極端に悪くなった。
後は、二人で斬撃を繰り返し、ドラゴン・フライを倒すことに成功した。
「難敵だったわね」と私。
「ルナ、手を抜かないでよね。どうして、時魔法を使わなかったの?」とイオタ。
「手を抜いているわけではないけど、こういう敵でないと剣の練習にならないから。時魔法を使うと安全に倒せるかもしれないけど、剣術の練習にならないわ」
「…分かってしているなら、勇者様の言うことには反対できないけれど…。自分のことも、もう少し心配してよね。結構、深手だったわよ」
「あっ、ごめん。イオタ、ありがとう。助かったわ」
「まあ、今日はこの辺で終わりにしようか?」とゲイリーは話題を変えてきた。
「そうね。この部屋でキャンプをはる?」とオリビア。
「まだ新たな鍵を見つけていないし、下の階に下りても、外に出るのは厄介だね」
「それなら、ここで休みましょう」
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