第22話 キング・レオ
第22話 キング・レオ
私は眠りに落ちた目の前のキング・レオを無視し、後衛に向かったキング・レオを追った。
やはり、詠唱中で無防備なオリビアが狙われている。
間に合わない!
私は、スロー・タイムを発動した。
それから、スリプルの魔法を連発した。
一度目は抵抗され、効果が発現しなかったが、二度目のスリプルで眠りに落とすことが出来た。
動きが止まったキング・レオの背後から、斬りかかった。
下段から切り上げ、そのまま横、縦と十字に斬撃を加え、最後に深く突き入れた。
とどめを刺すときの動きだ。
眠りに落ちている相手に攻撃を加えると、起きているときに比べ、与えるダメージは大きくなる。
これは眠っているときには防御がとれないためで、今眠っているキング・レオを背後から攻撃することにより、大きなダメージを与え、倒すことが出来た。
その時、「魔法!」オリビアが叫んだ。
私は前方に振り返り、キング・レオとの距離が十分にあることを確認した。
ゲイリーはキング・レオと激しく攻防を繰り返していたが、オリビアの警告により、一旦退避した。
そこにファイア・ストームの魔法が炸裂した。
キング・レオは、元来耐久性の高い魔物である。
高威力のファイア・ストームの魔法とはいえ、一撃で倒せるかどうか分からない。
私は、ファイア・ストームの魔法にウインドカッターの魔法を被せて発動させた。
ファイア・ストームの炎の勢いが更に増す。
炎の中で、キング・レオが蠢いている。
まだだ!
ファイア・ストームの炎が消えると共に、斬りかかった。
キング・レオの側面に回りつつ、胴に斬撃をくらわせ、そのまま上段から深く切り下ろし、とどめを刺した。
ゲイリーも、炎に耐え抜いたキング・レオに斬撃を加え、倒すことに成功している。
「やったわ!」
私の手には銅の鍵が握られていた。
「ダークゾーンでの戦闘も大丈夫そうね」
「うん、大丈夫だと思うわ」
「でも、やっぱりダークゾーンは嫌い。さっさと出ましょう」
ダークゾーンエリアになっている部屋から出ると、やっぱりホッとする。
ダークゾーンはそれほど危険でストレスなのだ。
「これでさっきの扉が開くかしら?」
「うん、戻って確かめよう」
先ほどの扉に戻ってきたが、やっぱり鍵が入らない。
「この鍵も駄目だわ」
「銀、銅の鍵は他で使うのね。まだまだ、北の方は、全然マップが埋まっていないわ。仕方がないし、探索を進めましょう」
それから、結局開かなかった扉の左右にある扉の中の部屋を確認したり、北に延びる通路にある扉を順番に開けていき、部屋を確認していった。
第一層の一番北に、東西の端から端まで続いている長い通路があった。
その通路の、西の端近くにある扉に入ると、南に長い直線の通路が続いている。
それまでとは作りが変わっており、怪しげな雰囲気が漂っている。
それをずっと最後まで進んでいくと、通路は折り返し、今度は北に長い通路となっている。
「この先に何かあるかもしれないわね」
「そうだね。慎重に進んでいこう」
慎重に通路の最後まで進んでいったが、特に変わったことはなかった。
「何もなかったね。肩透かしを食らわされた気分だ」
「そうね。気を取り直していきましょう。とりあえず、引き返すしかないわよね」
「ねえ、ここはある意味安全地帯じゃない?南の方だけ警戒すれば良いし、直線距離が長いから、魔物に気づきやすい」
「そうね。今日はここでキャンプをはって休みにする?それとも一旦外に出て休む?」
「正直に言うと、外に出るのは面倒だけど、食料の問題もある。外に出て食料を調達した方が良いかもしれない。上の層に行くと、それこそ外に出るのが面倒になるから」
「じゃあ、外に出よう」
それから、私たちは引き返し、迷宮の外に出た。
ゲイリーは食料の調達に出かけ、それぞれにキャンプの準備をした。
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