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第10話 戦闘

パーティーでの初めての戦闘です。

第10話 戦闘

部屋は6✕6mほどの小さなもので、がらんとしており、特に変わったことは何もなく、モンスターもいなかった。

中を確認してから、ほっとしながら通路に戻り、通路の右側にある残り5つの扉を、順番に通路の奥へと開けていった。

どの部屋も同じような作りとなっており、モンスターと遭遇することもなく、少し拍子抜けするくらいであった。

この通路の先はT字路になっていた。

T字路の左右に続く通路は、ともに15~20m程先で行き止まりとなっており、右側の通路の左手には扉が見えた。

先には進まず、ここでいったん折り返ことにした。

最初のT字路の方に戻りながら、開けていない方の扉を開けていく。

最初の扉の前に立ったとき、僕はなぜか部屋の中に魔物がいると直感した。

迷宮内では、迷宮外とは違い、その壁の特殊な作用により気配察知スキルは当てにならないようになっている。

だから、ただの勘である。

しかし、リスクはできるだけ減らしたいので、みんなにそのことを伝えた。

そして、十分に心構えが出来てから扉を開け、一斉に部屋の中へ飛び込んだ。

部屋は一辺15m程の正方形の形をしており、その中央部に、犬の魔物であるコボルトが4体いた。

コボルトは僕たちを視認すると、一斉にこちらに向かってきた。

しかし、僕はコボルトよりも先に動き出していた。

はじめは、軽く走る程度の速度で、対面するコボルトに近づいていく。

3m程手前になったときに、急激に速度を上げつつ短剣を逆手に持ち、コボルトの1m程手前で時空間操作スキルを発動した。

目の前のコボルトは、スピードの突然の変化についてこられていない。

そして、一気にコボルトの横を通過しながら、首を短剣で切りつけた。

その一撃は、見事にクリティカル・ヒットとなり、コボルトの首をはねることに成功した。

やった!高揚する気持ちを抑えつつ、パーティーの方を振り返る。

すると、1体はリンが、残りの2体はメンデスが対峙している。

そして2体のうちの1体が、目標を切り替え、後衛のレイリアの方へ向かおうとしている。

それを確認した僕は、そのコボルトに向かって、反射的に小型ナイフを投擲した。ナイフは見事にコボルトの背中に刺さり、傷を負わせることに成功した。

するとコボルトは歩みを止め、痛みにゆがんだ顔をこちらに向け、怒りの表情でこちらに向かって突進してきた。

僕がそれを迎え撃とうと身構えたところに、サーシャの火球魔法がコボルトの背後から炸裂した。

コボルトは魔法の炎につつまれ、全身を焼かれ、そのまま倒れ落ち死亡した。

その間に、メンデスは1体のコボルトを剣で倒すと、リンを助けるべく最後の1体に攻撃しかけているところだった。

そして、メンデスの攻撃により、最後の1体も問題なく倒すことができた。

このパーティーでの初めての戦闘であったが、上手く連携はとれていた。

モンスターを倒した際に、一定確率で出現するという宝箱は、今回は残念ながら出現しなかった。

いったん通路の反対側の小部屋に戻り、キャンプを張り、今の戦闘の確認をした。

キャンプとは、迷宮内で聖水を用いて魔方陣を描くことによって魔物の侵入を防ぐ結界をはることで、休息を取ったりするために使用する。

「どうだった?上手く連携できていたと思うが…?」

「そうね、上手くいったと思うわ。でもレンの動きが想定以上に速かった。一撃でコボルトを倒していたのもびっくりしたわ。でもあれだけ前に出ると、今回のように後衛が狙われる危険性があるわね。まあ今回は、上手くヘイトを取ってくれたから良かったけど、あれには注意が必要ね」

「すみません。でも、戦闘スタイル的にどうしても前に出てしまうかもしれません。投擲攻撃は得意だから、今回のような事態に陥っても、また注意を引くことはできるとは思います。でもリスクはありますよね。敵前衛が4体以上の時は、サーシャには、あらかじめ魔法の準備をしてもらった方が良いかもしれません」

「んっ、そうする。任せて」

「リンはどうだった?上手く対応していたように見えたけど…?」

「ありがとうなのです。今回は初めてだったので、慎重になって、あんな消極的な戦い方になったのです。戦闘に慣れたら、レンさんに近いスタイルになると思うのです」

「じゃあ、リンの方も注意をした方が良いね」

「んっ、分かった」

「あっ、そうだ!!」

「メンデス、突然になんだよ?」

「あのさ、昨日のギルドでの登録の時に、良い名前が浮かばなかったから、チーム名を登録してないんだよね。で、今日登録しなきゃならない。仮登録でも良いらしいんだけど、何か良い名前ないかな?」

「パーティーの特徴もよく分からないし、難しいですわね…。」

「さっきの戦闘で感じたのは、凄くレンの動きが速かったことぐらいなのです?」

「リンの動きも速かったわ。」

「じゃあ、スピードにちなんだ名前とかはどうかな?そうだな、スピードキングとか。」

「メンデス!それはあまりにもセンス無い…。それにキングとか王様に不敬じゃないかな?」

「そうですわね、王様に不敬では無いと思いますが、センスの欠片もございませんわね。」

「うっ、そ、そんな辛辣なこと言うと意見が出にくくなるよ。」

「失言でしたわ、ごめんなさい。」

「じゃあ、スピードとはあまり関係ないけど、新しいパーティーで勢いがあるし、なんとなく縁起が良いから、ライジング・サンとかどう?」

「ん、問題ない」

「後で変更も出来るんでしょ?なら良いのではないですか?」

「じゃあ、ライジング・サンで登録しておくよ。」

その後も迷宮を探索し、スライムやオークといったモンスターを、上手く連携しながら、危なげなく倒すことができた。

それからも僕達は毎日迷宮に潜り、順調に攻略を進めていった。

初心者向けの迷宮の第一層といえども、迷宮は甘くはない。

何も見えなくなり混乱を誘うダークゾーンや、突然に別の場所に強制的に飛ばされるテレポートの罠、一見しただけでは発見困難な隠された扉や、特殊な鍵でないと開くことができない扉など、危険で陰湿な罠が僕たちを待ち構えていた。またモンスターに関しても、第一層の奥に行く程、多種多様なモンスターが出現するようになった。

硬い外皮を持つ大きな蟻のモンスターであるヒュージアントや、中型の熊のモンスターであるグリズリーベア、それにコボルトの上位種であるハイ・コボルト、さらには不死化したコボルトであるアンデット・コボルトなどが出現し、僕たちに襲いかかってきた。

しかし、僕たちは上手く連携し、お互いを助け合うことによって、大きな痛手を負うことなく、順調に迷宮を進むことができた。


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