開店と、告白
土手には菜の花やタンポポが咲き誇り、桜の開花宣言も出た3月25日。
ついに、ついに、でございます!
蕎麦処白結、めでたく開店で~す!!
実はこの日は、私の誕生日だったりするんですね。
この開店日の決定も、皆に押し切られた形です。
咲夜ちゃんの誕生日が4月4日で近いし、4が二つ合わさって「しあわせ」で縁起がいいからと私は押したんですよ。
でも、社長の誕生日だし早い方が良いからって……。
準備は万端。机の上には、一輪挿しにタンポポの花なんか飾ったりもして。
あ、皆さん、タンポポの花って、何色を思い浮かべますか?
黄色?
そうですよね。
でも、地域によっては白色を思い浮かべる人もあるそうです。
そうです。白花タンポポって言う、白い花のタンポポがあるのです。
四国・九州の方に多いとか。
この地方では、タンポポの色は、通常は黄色。
でもなぜか私の家の周囲限定で、白花タンポポが結構な数、咲いているのです。
そして、その珍しい白花タンポポ、蕎麦処白結にピッタリだといって、祐奈が摘んできて飾ったのでした。
私としては黄色の方が映えて良いんじゃないかなとは思いますがね…。
まあ、これもありでしょう。オッケーです。
さ~て、開店時刻です。
お客は来てくれるか…。私も咲夜ちゃんも、もうドッキドキでした。
が、そんな心配は、あっという間に霧散!
開店と同時に満席。外には人が並ぶほど。
いやはや、これは…。我が優秀なる弟子もとい秘書、レイラ・祐奈の活躍の御蔭です。
SNSを駆使して宣伝しまくり。
で、その結果ということです。
でもですね、これはこれで大変ですよ。
有難いんですけどね。てんてこ舞い。
私は当然ですが、開店祝いに来た勇樹(…星野です。いつの間にか私、名前呼びするようになっちゃってました。てへへ)も急遽手伝いに入ります。
その他にもレイラが連れてきていたバイトの後輩女子大生が大活躍。優秀な秘書は、こういったところも抜かりないやね。
10時開店で午後3時閉店。当分はお昼のみの限定営業ですが、これは正解でした。
この上、夜もあったらモタナイわ。
閉店時間には皆完全にヘロヘロ状態。
いやはや、たまげた。明日からも、大丈夫でありましょうか……。
そんな閉店した直後、グッタリ机に突っ伏していた私は勇樹に呼ばれ、外へ出ました。
他の皆はお店の片づけをしています。
今日は祝開店という節目の日。今までズルズル先延ばしにしていた咲夜ちゃんへの告白、ついにする気になったのかな?
ちょっと、ワクワク、ドキドキです。
「スマナイな、ハルカ。疲れているところに」
「いいよ。そんなことより、やっと告白する気になりまして?」
まあ、これが最後のオチョクリになるかも知れないですからね。
ちょ~っと楽しませてもらいましょうかな。へっへっへ~っ。
勇樹からの返答は、
「あ、う、うん。そうなんだ。節目の日だしな」
お~っと~!! ついに、ついにですよ!
ってか、それなら私じゃなくて速攻で咲夜ちゃん呼び出しなさいよね。
もしかして、私が告白シーンを見たいって言ったから、律儀に事前予告してくれたのかな?
そりゃ、見たい気もあるけどさ、冗談ですよ、あんなのは。
他人に見せるもんじゃないでしょうに……。
「ハルカっ!!」
「は、はいっ?!」
な、なんなのよ。面と向かって、急に大きな声で名前呼ばないでよ。
「た、誕生日……、おめでとう」
「へ? あ、ありがとう……」
ええっと……。なんで、ここで誕生祝いなの??
まあ、私の誕生日ではありますけどね、それよりも愛する彼女のお店開店祝いの日でしょうが……。
「お、俺さ……。やっぱり、お前が好きだ!
俺と付き合ってくれないか。考えておいてくれ!」
「は、はあああああああ?!」
・・・。
はっ、はれれれれ?
な、な、な、な……、なんれすか~?!
ど、ど、ど、ど、どういうこと~??
……心臓がドッキンドッキンいってる。顔が熱くなる。
な、なんでこうなった?!
勇樹は言うだけ言って踵を返し、走って行ってしまいました。
このまま帰ってしまうの?!
ちょっと待ってよ!
確かにあいつはカッコイイ。再会した時、私もドキッとしましたよっ。
私がずっと誤解していただけで、とってもイイ奴だよっ。
告白されて、嬉しくないハズはないよっ。
……心臓は相変わらずドッキンドッキンいってる。
そのまま口からボコンと飛び出てきてしまいそう。
顔がすんごく熱いよ。
う、嬉しいよ。
だ、だけど……。
・・・。
だけど、絶対ダメ!!
そんなことになったら、咲夜ちゃんが!
咲夜ちゃんはアイツが好きなのよ!!
「ビンちゃん……」
私は斜め右下に視線を流します。
そう、私には、いつもビンちゃんが付き添っていてくれます。勇樹には見えてなかったですけどね。
「今の、見てたよね」
「見てたぞ。お前、顔、真っ赤っかだ」
「今の、聞いてたよね」
「ああ、シッカリ聞いた」
・・・。
「ひいい~ん、私どうしよう!」
「知らん」
「そんなこと言わないで、何とかして~」
私はビンちゃんにしがみ付きます。
「知らんと言うに…。幼女の私に色恋沙汰は分からん」
ご、ごもっともでございます……。
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