ビンちゃんの正体
てなことで、まだ梅干し試食会の途中です。
うん?
な、なになに、ビンちゃん。そんなに私の頬をペシペシ叩かないで!
え? お前たちばかりズルい? 私にも食べさせろ?
あ、そうですよね~。
はい、はい、どうぞ。出来立て梅干しですよ。あ~ん。
大きくお口を開けたビンちゃん。
「う~ん。酸っぱい! が、美味い!」
そうでしょ! はい、ご飯もどうぞ。
「ふぐふぐ…。う~ン堪らんな。……あっ!」
そうでしょ、そうでしょ。美味しいでしょう!
でも、「あっ」て、何?
ビンちゃんの視線をたどると…。
驚愕の顔で目を剥いてフリーズしている弟子二人…。
・・・。
え、え~と。 わ、私…。今、何してましたっけ?
あ、あちゃ~。二人の目の前で、ビンちゃんに梅干しとご飯を食べさせちゃいましたよね。
「し、師匠…。私は、今、何を見たのでしょう?」
う、う~ん。祐奈さん。そ、その~。
「師匠? 今、梅干しと、ご飯が、スーッと消えましたけど、これって…」
あいや~。レイラは、やっぱりズバッと言ってくれるね。
こ、これは…。もう、気のせいでは納得しないよね。
「別に、話しても構わんのではないか」
とは、ビンちゃんのお言葉。
ですよね~。話すしか、ないっすよね~。
ということで、私は二人に秘密を告白したのです。
神様が見えて、神様の声が聞こえて、神様に触れること。
私に守り神として取り憑いている貧乏神のビンちゃんに、お食事を食べてもらっていること。
ついでに、富山で二人が財布を無くしたのは、温泉に入るのを邪魔されたビンちゃんが怒ってしたことだって…。
二人は、またまた驚愕の顔。
特に、ビンちゃんが貧乏神様だって言った時には、思いっきり引いてました。
まあ、当然ですけどね。関わり合いになりたくないよね。二人には、富山での実害もあったことですしね…。
でも、怪訝な顔で祐奈は言います。
「株のお告げをくださったのも、その『ビンちゃん様』なんですよね。
師匠、それ、おかしくないですか?」
「へ? おかしいって?」
「だって、貧乏神様なんでしょ?
なのに、なんで儲けさせてくれたの?」
あ、それ! 私も思ってましたよ。変だなって。
そんなことして、貧乏神様的に大丈夫なんかなって…。
「ねえ、師匠。その神様って、どんなお姿なんですか?
やっぱり、ボロボロ着物の御爺さん?いや、御婆さん?」
とは、レイラ。
「いやいやいや、全然違う! ちっちゃい、可愛らしい女の子!
ちょっと短めの赤い着物で、おかっぱ頭の」
との私の回答に反応したのは、祐奈。
「へ? おかっぱで、赤い着物の小さな女の子……。
そ、それ、座敷童様じゃないの?」
「えっ……」
そ、そういえば・・・。
たしか、ビンちゃんは自分のこと「最近は貧乏神と呼ばれておる」と言っていた。
「私は貧乏神だ」とは名乗っていない。
変な言い方だなって思っていたけど…。
ビンちゃんに視線を向けると、
「懐かしいな。そう呼ばれた時もあったな」
え、えええええ~!!
いやはや、もう、びっくり。
ビックリ!
ビックリクリクリ、クリックリ!!
なによ。ビンちゃんてば、貧乏神じゃないんじゃない!
座敷童だっただなんて…。
力を無くして、貧乏神みたくなっていただけだっただなんて…。
で、私がお世話して、力を取り戻していた。
つまり、今では完全完璧な座敷童様! 幸運の女神様です!!
「え、え~と。師匠。富山の財布の件は、まあ、良いですよ。
ただ、そんな素晴らしい神様の、私たちは弟子の弟子でありまして…」
祐奈、何それ。
弟子の弟子って、私は別にビンちゃんの弟子じゃないよ。
「私たちも精一杯お手伝いさせて頂きますので、偶にはご褒美で株のご指導なんかも頂けましたらと…」
え、ええええ……。
さっき、私からの報酬を怒りながら断ったくせに。
ビンちゃんの方を見ると、
「偶になら構わんぞ」
え、ええ~。いいんだ……。
「オッケーだそうですよ」
「「やった~!!」」
まったく、ゲンキンな弟子たちだ…。
梅干しのハシタ金なんかいらない。もっと大きなのよこせってか。
なんだかんだで、デカイの持ってくよ。
まあ、だからこういう人種は、金持ちなんでしょうね…。
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