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漬物、どうぞ2

 さてと、最後に和歌山の梅干しです。

これを用意したのは、勿論、もくろみあっての事。

父さんの梅干しのこと、ナギさんに訊かなきゃいけませんからね。そのキッカケとして。

 そして、私自身も改めて梅干しの味を確認したかったのです。

だから、一番有名で美味しそうな紀州南高梅の、ちょっとお高いのを買ってきました。


 改めて食べてみると…。

いや、不味くはないですよ。美味しいです。

 でも、やっぱり記憶している昔の味とは違う気がする。


 何が違うんだろうと思って、原材料を見てみると。あれ、調味料が入っている…。

もしかして、この味が強くて梅の風味を消しているのかな?

 ナギさんも、どうぞ。あ~ん。


 梅干しを食べたナギさん。へへへ、酸っぱい顔…。

そして、私に向かって一言。


「そういえば、あなたの父さんの慎吾、梅干し漬けてたよね。これは、その残り?」


「えっ!!」


 そうですよ!

そのことを訊きたいと思っていたのですよ!


 こっちから聞く前に言われるとは思っていませんでした。

やっぱりナギさん、父さんが梅干し漬けてたの、知ってたよ!!


「ナギよ、それだ!そのこと、詳しく教えよ!」


「へ? ナニ? どういうこと?」


 ビックリ顔の私と詰め寄るビンちゃんの様子に、目を白黒するナギさん。

経緯を話し、そして、用意してあったあの本とメモをナギさんに見せると…。


「なるほどね。事情は分かりました。

 え~と、この本は…。あ、多分、治平の使っていたものね」


「え、治平って、お爺ちゃん? お爺ちゃんも、梅干し漬けてたの?」


「そうよ。今のあなたの家の梅の木は、治平が植え替えた物よ。

その前にも違う種類の梅の木がたくさん有ってね。

昔から、多喜家の梅干しは美味しいって評判で、贈答用に使っていたし、販売もしていたのよ。

中でも治平は研究熱心な人でね。代々の漬け方だけでなくて本とかでも色々調べたり、どの種類の梅が良いかも試験栽培したりして、結果、選んだのが今の木。

大事に育てて、毎年漬けていたんだけど、年齢的に重いモノが持てなくなって、慎吾が継いだの。あなたが産まれた頃の事ね。最初は治平の指示で漬けていたわね」


 ということは、あの本の書き込みはお爺ちゃんだ。

多分、お爺ちゃんは塩17%で漬けていたんだな。


「治平が死んだ後、慎吾も何か自分で試していたみたいね。

失敗して、結構捨ててたこともあったわ」


 そっか、その結果が、このメモ書きなんだ。

で、タカイの小父さんに味を認められたってことか…。


「でもナギさん。このメモ、すっごく丁寧に詳しく書いてありますよ。

まるで誰かに伝えるみたいに。

父さん、タカイの小父さんに製法を伝えようとしてたのかな?」


「何言ってるのよ、ハルカ!

あなたよ!

その覚書は、あなたの為に慎吾が書いたものよ」


 へ? 私?


 何にも聞いてないっていうか、お父さんが梅干し漬けてたって事さえ知らなかったのに?

 それによ。私に伝えるんだったら、もっと分かりやすい所に残してよ!

これじゃあ、漬物に興味持って本を開かない限り、分かんないじゃない。

見つける可能性なんて、ほぼゼロよ。

 ちゃんと教えておいてくれれば、私だって我が家の伝統を守り伝えるのに……。


「ナギよ。しかし、やたら詳しいでは無いか。

全ての氏子の事をそんなに細かに見ておるのか?

真面目だな」


「まさか! そんなこと出来ませんよ。

ただ、多喜家は、この地の重要な家ですし、慎吾はよくお参りに来てくれました。

その上に、ハルカが産まれて…。ハルカは目立ちますからね。

気になって、よく覗いていたのですよ」


 なるほど、なるほど。私は氏神様に目をかけてもらっていたわけですね。

やっぱり私はラッキーガール…。

 よし、そういうことであるならば、お父さんの梅干し、なんとして復活させますよ!

 俄然、ヤル気が出てきました!!

ブックマーク・評価・感想、感謝感激です。本当に有難うございます。

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