漬物、どうぞ1
さて、ナギさんが席に着かれ、宴会の開始です。
会った当初はビンちゃんに怯えまくっていたナギさん。一回目のお食事会後には、すっかり慣れてしまい、普通に接しています。…敬語は使ってますけどね。
すぐに打ち解けられたのは、やっぱり酒の力かな?
あの時、一升瓶三本空けたもんね。
二回目も三本の空瓶が出来てしまいました。今日も用意したお酒は三升。
いや、これ以上は御用意致しません。底なしの二柱、きりないですからね。
さあ、メインの鮒鮨ですよ~。
まず私が食べない事には神様に食べて貰えません。ですので、御先に失礼して…。
う、クサッ!
切った時も臭かったけど、改めて嗅いでもやっぱり臭い。
食欲そそる臭いじゃないな…。
「あれは、人間の食べ物じゃない」
なんて酷いこと言っていた人もいたけど…、確かに……。
これ、ホントに大丈夫よね?
食べても平気なモノなのよね?!
恐る恐る口に入れ、味は…。
う、う~ん…。
塩味と酸味?
チーズみたい?
で、でも…。
これ意外とイケルかも。
お酒には合うんじゃない?
ハイ。ではナギさん! どうぞ。あ~ん。
「ふぐふぐ…。う~ん、美味しいわね」
あらよかった。ナギさんのお口にも合ったみたい。
じゃあ、ビンちゃん。あ~ん。
「うぐうぐ。お~、これはイケル。珍味だ」
あれあれ、こっちもOKね。
じゃあ、お二柱、お酒もどうぞ。私が一杯頂いてからっと…。
「あ~、最高!」
「やっぱり、酒が一番良い!」
同感ではありますが、完全に呑兵衛の発言ですね…。
超絶美女と、幼女と、金髪女が酒を酌み交わす…。変な光景。
まあ、いいや。
(あ、いや、幼女に酒を飲ませてはいけません。ビンちゃんは神様ですからね!)
野菜の漬物もありますよ。
まずは岐阜県名産、赤カブ漬け。
尤も、岐阜県といっても、この美濃地方では無くて飛騨地方のモノなんですけどね。
添加物は入っていなく、赤カブを塩だけで漬けたモノ。なのに酸っぱいのは、ヨーグルトと同じ乳酸発酵しているから。
お腹に優しい発酵食品なんですね。鮒鮨と同じです。
「う~ん。この酸味も上品でたまんないわ~」
「いや同感だな。最高に美味いぞ」
はいはい、お酒もどうぞ。
「いや~、たまんない!」
「ふううむ。染み渡る!」
あと、タカイで薦められた沢庵。
これはこの近くで漬けているモノみたいで、養老漬けと書いてありますね。
養老というのは、お隣の町で、元正天皇命名で元号にもなった由緒正しい地名です。
その近辺で作られているということでの名前。
干した大根のヌカ漬けですが、原材料を見てみると、ナスの葉っぱと唐辛子も入っているみたい。
噛むとカナリノ歯ごたえ。干してるからですね。
そして、ビックリ。今まで食べていた沢庵とは全く別物で、酸っぱい!
これもジックリつけて乳酸発酵させた漬物なんですね。
ただ、単に酸っぱいだけではなく、程よい塩味。
独特の風味はナスの葉なのかな?ナスの葉っぱなんて食べたことないから、分かんないけどね。多分ね。
さらに、最後に余韻として残るのは、ジンワリ唐辛子の辛味…。
なによ、これ。最高じゃないですか!
近くにこんなスゴイ漬物があったなんて、知らなかったよ。
お酒にも合うけど、これはやっぱ、ご飯かな。丼一杯ペロッと行っちゃえそうです。
当然、二柱も高評価!
それから、守口漬けなんてのも用意してますよ。
これは前から気になっていたモノ。
お隣、愛知県の特産です。…と思っていたら、実は、元は岐阜県のモノだという話も…。
愛知って、そういうの多いよね。
有名な『味噌カツ』や『天むす』や『ひつまぶし』だって三重県発祥だし、最近有名になってきた『鶏ちゃん』は我が岐阜県だし。
喫茶店のモーニング文化も岐阜県だし!(…諸説あり)
まあ、そんなことは、横に置いといて……。
守口漬けは守口大根という、牛蒡の様に長~い特殊な大根の粕漬けです。
この大根、直径は2~3cmだけど、長さは普通でも120cm、最高記録191.7cmって、身長よりデカイじゃん。
どういう大根じゃ~!!
それだけ長くなるということは、栽培も難しく、どこでも栽培できるものではありません。おまけに漬物以外の使い道がない。
岐阜県と愛知県の、極一部地域でしか栽培されていないという、希少種です。
ってテレビでやっているのを見て、気になっていたんですよ。
お味は…。
おお、シャクシャクとした心地良い食感と、酒粕の濃厚な風味。味醂が使われているからかな、甘みもある。
これ、大根と知らなければ瓜と間違えるかも。奈良漬けと似た感じ。
ウナギの蒲焼を食べたくなるな。
はい、お二柱も。あ~ん。
「ふうう~ん。うあ~、なにこれ!不思議な味!」
「おほ、芳醇で甘美。良いな」
(今回、漬物紹介みたくなってしまいました…。次話は梅干しの話に戻ります)




