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レイラの災難

 ところで、ところで。

世の中は、いわゆるゴールデンウイーク。

大型連休へと突入しております。

 職に就いていない私には、特段関係ないことではございやんすが……。


 そういえば、私ってば就職活動、一切・全く・全然・これっぽっちも、してないね。

ま、その内考えますから、取り敢えずお許しを…。

 その内ってイツだって?

 だから、その内は、その内ですってば!


 あ、そうそう、お休みの話ですよ。

弟子二人は長野へ探検に行くということでした。

 一緒にどうかと誘われましたけどね。なんか、疲れそう…。

ということで、今回は見送りました。

 まあ、そういうのも、その内です。…なんてね。


 でもですね。この時、私も一緒に行っていれば、あんな目に二人は遭わなかったかも…。

師匠と呼ばれる身として、ちょっと反省です。

 これは、後から思えばの話でありまして、後悔先に立たずってヤツですけど。




 で、その、二人が遭遇したという災難です。

あ、正確に言うと、災難に遭ったのはレイラなんですね。

これは、我が家に駆け込んできた祐奈が、オロオロしながら語った話なのです。


 二人は長野県飯田市の山の中、大平宿(おおだいらじゅく)というところに行きました。

 ここは、山奥の廃村になった村。

ですが、古民家が何軒も残っていて、それを維持するために、格安で宿泊用貸出してくれているのです。

 本当に山の中で、何もないところですよ。

携帯も通じませんし、店もありません。

電気と水道はありますが、ガスは無い。

ですので、食材は自分で持ち込み、薪で調理するしか他に方法は無いのです。


 何を好き好んでこんなところに行ったのかと思いましたら、この前の薪で炊いたご飯が忘れられなくてなんて…。

 そんなの、ウチで出来るのに…。

どうせ毎週来るんでしょうが。

 え、囲炉裏は無いじゃないですかって?

 まあ、そうなんですけどね。

そういうのに憧れちゃったのね。


 電車もバスも通っていない廃村ですので、自家用車でしか行けません。

祐奈が車を出して二人同乗で行ったそうです。

麓にある飯田市の観光公社で鍵を借りて、そこから細い山道一時間弱なんですって。

 で、憧れの古民家体験生活はどうだったのかというと、当然ながら、大変だったとのこと。

囲炉裏って、かなり煙いのですよね。

そして、虫ですよ、虫!

網戸も無くて、夜には灯りに攣られた虫が入り放題!二人して、キャーキャー言っていたみたい。

 甘いんですよね。そんなのは、当り前。

 私は山奥の祖母の家に一年間住んでいましたからね。よ~く知っています。

田舎の生活なんて、良さそうに見えても、そんなもんなんですよ。

金持ちのお嬢様は、豪邸の綺麗な御庭で優雅にバーベキューでもしていなさい!


 でも、まあ、虫は怖くて仕方なかったようですが、ご飯は最高だったとか。

囲炉裏で作った鍋料理と、串に刺して焼いた魚。

金網まで持ち込んで、肉も焼いて食べてたみたいですね。

それから竃のご飯。

 お風呂も薪で沸かして二人で入り、布団が無いので寝袋で寝たんですって。

布団くらいは欲しいですよね。

まあ、キャンプなんだと思えば良いんですかね。


 で、翌日です。

レイラはちょっと、お腹の調子が悪くなったようです。

もしかすると、夕べ生焼けの肉を食べてしまったからかもしれないだって…。

 ちゃんと、良く焼いて食べなさいよ!

 え?薄暗くてよく分からなかったですって?

あら、蛍光灯も無くて白熱球だけだったのね…。

それは、ウチのお婆ちゃん処よりすごいわ。

 でもまあ、調子が悪いと言っても、ちょっと気分が悪い程度で、大したことは無かったみたいです。

 そんなで、その日の予定は、そのまま続行。

山道に入り、朽ちかけた家や神社址なんかを見て回っていたようです。


 そうしたところ、レイラの様子が…。

「ちょっと、お花を摘みに……」

と脇に逸れました。


 意味分かりますよね。

綺麗な花が目に入って摘みに行ったってことじゃないですよ。

乙女の話ですからね。察してあげてくださいね。

 結構豪快な音がしたって、コラコラ祐奈、そういうことをバラシなさんな。

お嬢様だろうとアイドルだろうと、出る物は出るんです。

お腹の調子が悪かったんだから、仕様がないでしょうに。


 で、スッキリ出て来るかと思ったら、戻ってきたレイラの顔が青い…。

「寒気がする。気持ち悪い」

と言い出し、慌てて民家の方まで連れ戻り、荷物をまとめて車で麓の町まで。

救急で病院に駆け込むも、原因不明。

どうも、食中毒では無いらしい。


 今は、桑名の家まで連れ帰ってきて、自宅で寝込んでいるとのことなのでした。

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