表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/77

温泉の神様2


「いや~、強烈な一発を喰らってしまったな。

参った、参った。

老い先短い年寄じゃ、もう少し優しく扱ってもらえんもんかのう」


「うるさいぞ、エロジジイ。

何が老い先短いだ。短くなんかあるものか。

大体、『ただで済むと思うておるのか』と忠告しただろうが。

あの場で、即、引っ込んで居れば、こんな事になっておらん。

自業自得だ」


「あ、あの、スミマセンでした!」


 兎に角、謝るしかありません。

床に額を擦りつけ、土下座平伏します。


「いやいや、嬢ちゃん、エース殿の言う通りじゃ。

儂が悪かった。スマン、スマン」


 許してもらえた。良かった……。

 で、でも…。


「あ、あの~。取り敢えずですね。

出来ましたら服を着て頂きたいんですが……」


 そうなんです。起き上がってタオルから出た小人のお爺ちゃん、まだ素っ裸…。

目のやり場に困ります。


「お~、こりゃまた、スマン」


 やっぱり神様。ポンと着物を着た状態になりました。


「で、この変態露出狂ジジイは、社を抜け出して、あんなところで何をして居った」


「変態露出狂とは、こりゃまた、酷い言われようじゃのう。

儂には見せびらかす趣味など無いぞ。見る方専門じゃ。

綺麗なお姉ちゃんの裸を間近でジックリ鑑賞して、目の保養をしようかな、とな……」


「おい、本気で叩き潰されたいか!」


「ひ、ひや~、ご勘弁。

湯の状態を見に来ておったのじゃよ」


 え? どういうこと?


 その後に聞いた話によれば、この神様は少彦名(すくなひこな)神といって、琵琶湖畔近江八幡市の沙沙貴(ささき)神社の神様。

温泉の神様でもあって、少し前にあった地震の影響が無いか、周辺の温泉を回っていらっしゃった途中だとか。

 温泉に入った気分に浸るため、裸になっていたということの様です。


 私の大好きな温泉を守る神様。

それに、さっき酷いことをしてしまいました。(胸シッカリ見られたけどね…)

 ここはお詫びに、温泉に入らせてあげましょうと提案。


「いや~、それは有難いな。

こんな美女が裸の奉仕で、一緒に入浴!

そりゃ、もう堪らんわ!」


 いや待て。裸の奉仕ってね…。

私は「裸になって一緒に入浴する」とは、一言も言っていない。

 ホントに潰しちゃうぞ、エロジジイ!


 (かす)かな殺気を覚えつつ、浴衣のまま、浴場へ。

 ポンと裸になった少彦名様を掌に載せて、お湯へ入れてアゲマス。


「なぜ一緒に入らん。一緒に入ろう。そんな着物、早く脱いで!」


とウルサイですが、そこは無視。

 あまりにシツコイのに怒ったビンちゃんが、指でビシッと弾いて黙らせました。


 「ギャフン」って言って、ビヨーンってなってましたね…。

 ハハハ……。



 さてさて、お食事タイム。少彦名様も御一緒してます。

 宿泊の予約は二人分でしてあります。私とビンちゃんの分ですね。

勿論、宿の人にはビンちゃんが見えませんので、怪訝な顔。


 あ、いや、大丈夫なんですよ。普通に二人分で用意してください。

 いやいや、一人分キャンセルなんてしませんよ、二人分でいいんですってば…。


 で、少彦名様は小さいですからね。

私の分をお分けして…と思っていたら、食事は要らないとのこと。

酒だけで良いそうです。

 実は、この神様、お酒の作り方を伝えた神様。

お酒の神様でもあったんですね。

 だからといって、酒だけってのもどうなのかなって思いますが、ご本人がそうおっしゃるんですから、まあ良いのでしょう。


 だけど、こんな小っちゃい神様に、どうやって飲ませればよいんだろう…と思いつつ、まずは私が失敬して一杯…。

 で、お酒を注いで差し出すと、その盃に御顔を突っ込んで、ズズズ~とすごい勢いで飲みだします。


 おおおおおお~!!

あれよ、あれよ、という間に、盃は空っぽ。

 いやはや、こんな小っちゃい神様の、どこへ入って行った?!

まさに、神様マジック!!


 一気に赤い顔に変わった少彦名様、ニッコリ笑います。


「いや~、馳走になった。

あまり女子会の邪魔してもイカン。儂はこの辺でお暇するわい。

ああ、そうそう、エース殿は、今は『ビンちゃん』と呼ばれているようだの~。

なら以降は、儂は『スクさん』とでも呼んでくれ~。

では、またな~」


 スクさんこと少彦名様、ポンと消えてしまいました。


「え?! 消滅したんじゃないよね!」


「違う。あの消え方は、別の場所に移動しただけだ。

私も見せたことあるだろうが」


 いや、そうですけど、私にはその違いは分かりませんよ……。


 そうそう、夕食ですよ。

ここは食事も、一級を通り越した超特級ですよ。


 待ってました、特上近江牛の陶板焼き!

軟らかくて、とろけちゃいそうで、濃厚な肉の味。

 ビンちゃん、お肉も大丈夫って言ってましたもんね。どうですか?

 そうよね。すっごく美味しいよね!


 自家製の燻製盛り合わせも最高。豊かなスモークの香り。


 出て来たお寿司も、魚じゃない。

近江牛をレアに炙ったのを握った寿司よ!


 琵琶湖特産ビワマスの刺身もイイね~。


 全体的に肉系が多いので、お年を召した方には重いかもしれません。

でも、若い私には最高! お肉だ~い好きなの~ん!

 ビンちゃんも、見た目は若いもんね。大丈夫よね~。


 あ、ついでにですね。お料理運んできてくれる若女将も飛び切りの美人さん。

アイドル活動もしている人なんですよ。男性客には堪んないでしょうね。


 夕食後、21時以降は内風呂も宿泊者貸し切り湯になります。

勿論、露天風呂の方も。

 というか、今日の宿泊客は私たちだけなのです。

完全貸し切りの入り放題!

 十分に温泉を堪能し(出歯亀スクさんが潜んで居ないか警戒しながら…)、朝も豪華でボリューム満点な朝食を頂きました。


 宿を出た後は、有名な洋菓子屋さん「クラブハリエ」のバームクーヘンと、滋賀県特産の鮒鮨(ふなずし)をゲットしたりして、帰宅したのでありました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ