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温泉の神様1

 翌日…。

 いや~、職に就いていないのに、毎日忙しい私でございます。

周りの人から見ると、優雅な生活してるななんて思うんでしょうがね。

うんまあ、否定はしません。

 何でかっていうと、今日は、またまた温泉一泊旅行なんですよ。


 これは、富山でのビンちゃんとのお約束です。

つるぎ温泉に十分には入れなかったビンちゃんに、ゆっくり入れる温泉に連れて行くと約束してました。

 自宅でも雰囲気良い五右衛門風呂に入れるようになりましたが、約束は約束。

そして、心配していた資金の方も、ビンちゃんのお陰で潤沢です。

 あ、ヒスイが化けた20万円のことで~す。


 で、向かうはお隣の滋賀県。

滋賀県と言えば、日本最大の湖、琵琶湖ですね。

我が家の方からは、その琵琶湖の対岸に位置する高島市の、宝船温泉ってところに向かっています。


 ここは琵琶湖畔の小さな温泉宿。一日四組しか泊まれません。

日帰り入浴も受け付けているみたいですが、露天風呂は貸し切り可能。

だから、ビンちゃんと一緒にゆっくり温泉を堪能できるはずです。

 琵琶湖半周で、のんびりドライブしながら到着すると、なんとこの日はキャンセルが出て、奇跡的に宿泊客は私たちだけ!

人気宿ですから、これは超レアな事ですよ。


 やっぱり私はラッキーガール!



 さて、まずは貸し切り予約してある時間ですので、露天風呂へレッツゴー。

 小さな御宿で露天風呂も大きくないというか、ハッキリ言って小っちゃい。

ですが、私とビンちゃんだけなのです。十分な大きさです。


 お湯は淡い緑白色と言った感じかな。

炭酸も含んでいて、入ると肌に気泡がいっぱいつきます。

よ~く温まる、最高の泉質です。

 露天風呂ですからね。葉っぱが浮いているのは御愛嬌。

ビンちゃんと一緒に、ゆったりまったりと、温まりま~す。


 フーッ……。

 あまりドップリお湯に入り続けていると、のぼせちゃいますよね~。

ちょっとお湯の中の石に坐って半身浴状態、ほてりを冷ましていますと……。

すぐ横の植え込みの木の茂みから、奇妙な声が。


「え~の~。綺麗なお姉ちゃんの艶姿、たまらんのう~」


「え、誰!」


 ビンちゃんと同時にその声の方へ目を向けますが、囲まれた狭い露天風呂。

人が隠れるようなところはどこにもありません。


 ん? い、イヤ……。

目の前の大石の上に、何か居る!


 小鳥? いや、違う。

なんか、小っちゃいのが…、居る!!


「おや、儂の声が聞こえたか。

オ~姿も見えとるようだの。まさか、結の巫女か」


 へ?! こ、小人?!

しかも、全裸……。


「ジジイ、女の湯あみ中に侵入して、ただで済むと思っておるのか?」


「おやおや、強い気配で、どなたかと思うたら、エース殿か」


 え?え? エース殿って…。

ビンちゃんの知り合い?

 あ、もしかして、神様?


「しっかし、いやはや。ペッタンコのエース殿は別として……、そちらの巫女殿はふっくら程よい乳で、色も抜ける様に白くて綺麗で、これは、これは、堪らん、堪らん……」


「なんだと、このエロジジイ! 叩き潰すぞ!」


 へへへ~、ペッタンコは酷いですよね~。

ビンちゃんが殺気立つのは、当たり前~。


 ……あ、いや、待て? ふっくら程よい乳の巫女って誰の事??

 へっ、私?


 下を向き、自らの胸を確認……。

う、私、今、オッパイまる出し!!


 目の前の小人さんは完全な裸で、小っちゃいけど、お爺ちゃん。

 思わず、小人さんの股間を凝視。

極小だけど、見慣れない男のモノが、ピンと……。


「い、イヤ~!!」


 ビシッ、ボゴッ!


「お、おい、ハルカ!?

 や…、やり…過ぎ……じゃ…ないか……な……」


 あーっと! 私、思わず叩き飛ばしちゃった!


 え、あ、あれ、もしかして。

いや、もしかしなくても神様よね?


 ど、どうしよう……。

飛んでって、壁にドンとブチ当たって、コロッと転がったよ。


 はああああ~、延びちゃってるよ!

へ? 死んじゃった?


 どうしよう! どうしよう!!


 大慌てで浴衣を着て、小人さんを手に乗せて部屋に戻ります。

 座布団の上にそっと寝かせ、小人さんは全裸ですのでタオルを掛けます。


「ね、ねえビンちゃん!

死んじゃったかな? どうしよう、私……」


 オロオロ、オロオロする私にビンちゃんは言います。


「大丈夫だ。このエロジジイは、そんな簡単にはくたばらん。

というか、とっくに一度死んでおる存在だ。もう死なん。

まあ、消滅することは…、あるがな……」


「しょ、消滅~!!

そ、それって、神様が死ぬって事と同じでしょうに!!

ど、どうしよう!

どうしよう、私~!!」


「だから、落ち着け。

今ここに転がっておるのが見えておるだろう。

消滅しとらん。大丈夫だ。

だがな、お前は、神に対しても攻撃を加えることが出来る存在だということだ。

以後は気を付けろよ」


 普通のヒトであれば神様に触れません。

ですが、私は「白結の巫女」だっけ?

何かよく分かんないけど、とにかく、神様に触れる。

 つまり、神様に物理攻撃が可能ってなわけです。


「ご、ごめんなさい~!!」


「いや、私に謝られてもな。

それに、本をただせば、悪いのはこのエロジジイの方だ」


 坐って私を見上げながら話していたビンちゃん、視線を座布団の上に向けました。


「う、ううう~ん……」


 あら、その小っちゃいエロ神様、無事に気がつかれたみたい。

よ、良かった…。


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