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神様との食事会 お風呂2


「それにしても、ハルカ。あなたそんなに美人なんだから、もう、男もいるんでしょ?」


 い、いきなりですね。

お湯に浸かったマッタリ顔で、急に何を言い出すのか、この酔いどれ女神は。


 究極美人に美人って言われても……ってな話じゃなくってですね。

私は、男性とお付き合いなんぞ、産まれてこの方、一切したことございません!

 ってことを言おうとしたのですが、ナギさん、サラッと続けます。


「何人と、した?」


 へ? へええええっ!!


 ……し、し、したって、何をスルんですか?!


 この酔っ払い女、何とかして!って、ビンちゃん見ると…。

そのビンちゃんも、ニヤニヤ怪しい視線を送ってくる……。


 お、おっとっと!

こ、これは助けてくれる気、皆無ってか!


 こ、これが、もしかして…。

おひとり様専門の私は未経験の、げに恐ろしき女子の恋バナってやつ?


 い、いや、いや、いや、違うよ!

「した」ですよ「した」!

ぜ~んぶ通り越して、最終地点に行っちゃってるじゃあないですか!


 あ、いや、もしかして、私の勘違い?

 え、え~と、キ、キスの事とか……。


「し、し、し、したって……、そ、そ、それ……何のことですか……」


 きっと、キスの事よね。

まあ、それも経験したこと無いけどね。

 お願い。キスの事だと言ってちょうだい……。


「ハルカ、ナニ言ってるのよ。

男と女がすることって、決まってるでしょうに。

マグワイよ。マグワイ。ミトのマグワイ!

分かんない? 

今風に言うと『セックス』ってやつ?」


 あああああ~。

捻りも何にもない~!!


 神様には恥じらいというものが無いのですか!

なんという言葉を口にする!


 項垂(うなだ)れる私に、ナギさんは続けます。


「あなた、もう二十二歳なのよ。早く子供作んなきゃ。

まぐわって出来ないのなら仕方ないけど、まぐわっても居ないなんてダメよ。

早く良い男捕まえて、しっかりたっぷりマグワイなさい」


 ひえ~!いや、もう勘弁して~。

そんな、「ピー」な単語、連発しないで~!!


 そ、それに……。


 それに!!


「こ、子供なんて……、私には……、無理ですよ!」


 だって、私はアルビノ。

金髪白肌の赤眼。普通でない身体……。


「無理だなんて、なんでよ?

まず、することしなきゃ、子が出来るかどうか、分からないわよ」


 いやいや、そういう問題じゃないんです。

子供が産める身体かどうかでは、ないんです!


「もし、私みたいな子が産まれてきたら、その子が可哀想じゃないですか!」


 ナギさん、怪訝な顔をします。


「何言ってるのよ……。あなた、可哀想な子なの?

ラッキーガールじゃないの?」


 あ・・・。


 そ、そうか…。

可哀想な子って……。


 本当は、私自身も自分の事、そう思っていたんだ……。

 口ではラッキーガールなんて言うくせに…。ダメね。


 でも……。

 私と同じ身体に産まれてしまったら、絶対苦労するに決まってる!


 ナギさん、真っ直ぐ私の方を向いて、真剣な顔で口を開きます。


「私は、凄く勿体(もったい)無いなって思うわよ。

でも、まあ、慎吾の子だからね。

親子よね。同じような考え方するのね」


「え? ナギさん、それ、どういうこと?」


「うん? あ、い、イヤ……。

まあ、ここで暮らしていれば、その内に分かるかもね」


 それだけいうと、ナギさんは口を閉ざしました。


 父さんと同じ考え方?

それは一体、どういうことなの?


 再度訊いても、ナギさんは「その内に分かる」としか言いません。

 ビンちゃんはナギさんと私を見比べるようにしていましたが、特に口を挿みませんでした。





 ナギさんとビンちゃんは仲良くお湯を堪能して出て行き、私も温まってから上がりました。

 私がお風呂から上がるのを待っていたナギさん(勿論、既に着物は着ていますよ)、


「ハルカ、今日はありがとうね。

次も楽しみにしているからね。じゃあ、お休み。

ビンちゃんも、有難うございました。おやすみなさいませ」


 そういって、スーッと消えました。

もうすっかり「ビンちゃん」という呼び方にも慣れたみたい。

一緒に酒飲んで、裸の付き合いもしましたからね~。


 あれ?

そういえば、ナギさん、来るときは門から入って来たのにな。

 あ、もしかして、早く着き過ぎて門の前で中を窺っていたのかも……。

 はは、ナギさんって、そういうヒト(いや、神)よね……。


 賑やかで楽しい神様との宴会でした。


 ただ…。

最後に一つ、心につっかえが残ったのではありますが……。


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