大掃除二日目1
翌日。午後になって弟子二人がやって参りました。
準備があると言っていたのは、主に薪のことだったようです。
でも、どこで調達してきたんでしょうね。
二人それぞれの車の、後部座席とトランクにめいっぱい。
綺麗な車が汚れちゃってるじゃない…。
それに、こんなにたくさん持って来て、何回お風呂沸かすつもりなのよ……。
ついでに、お肉に魚、野菜といった食材も持ってきていました。
こっちは、まあ、常識的な量。今晩は、鍋だな。
荷物を降ろして、今日は西離れのお掃除です。
西離れは、庭を挟んで東離れの反対側、石段で少し高くなった位置にあります。
平屋建てですが、ちょっと凝った造り。
もしかすると、お役人様とかが泊まったりしたところ? お代官様とか!
……そこまで古い建物と違うか。隠居所かな…。
小さい土間を除いて三部屋ある内、庭に面した広間からは庭越しに母屋・東離れ・門まで見渡せます。
奥の二部屋も畳敷きで、土間側の部屋には真ん中に炉があり、お茶を立てることが出来るようになっていました。
その為の道具も揃っています。
実を言うと、私もここに入るの、初めてなんですよね。
変な話ですが、現持ち主である私自身も興味津々。
奥座敷の押し入れの中には、布団が二組。
あら、ちょうど良いじゃん。
「二人とも、今日はここで寝る?」って訊いたら、もう、大喜びで頷いています。
じゃあ、その為にも、お掃除、お掃除。
埃をはたいて、箒で掃き出して、水拭き!
あ、ここには水道が通ってないから、水は母屋から運ばなきゃ…。
これは、ちょっと大変だけど、まあ、三人いるからね。
そして、ここは平屋で部屋数も少ないし…。
無事、西離れの掃除は終わりました。
さてと、お泊り会の食事とお風呂の準備ですね~。
お風呂の方は、古い五右衛門風呂とはいえ、水道が通っています。
ホース繋いで蛇口を捻れば水張りはOK。
江戸時代じゃないですから、井戸から水を汲んで、エッチラホッチラ風呂桶へ、なんてことはしなくて良いですよ。
食事メニューは、やはり、鍋。
ぶっこんで煮れば良いですからね。一番簡単です。
二人が持ってきた食材に、我が家の芹を足してと…。
東離れのガスでと思っていたのですが、薪があるから、竃でとレイラが言い出します。
そんなこと言われましてもね。
私、こんなの使ったことないですからね……。
ところがドッコイ、抜け目ないんですよ、優秀なる我が弟子は。
しっかり火のつけ方を調べてきていました。
レイラが車から出してきたレジ袋二つ。
中には松ボックリと、杉の枯葉。
竈に枯葉を入れ、松ボックリを上に置き、割った細目の薪を乗せ、具材を入れた鍋をセットして、マッチで点火。
あら、案外簡単なのね。燃えてる、燃えてる。
薪に火が付いたら太いのを入れても良いということだけど、そんな太いのは必要ないみたい。すぐに煮えちゃうよ。薪って、火力強いのね。
へ~、薪が無い場合は、新聞紙を捻って燃やしても良いのか…。
なるほどね。それなら簡単ね。たまにやってみようかな。
え? ご飯もこれで炊きたいって?
それはまた、難しいんじゃない?
それに今からじゃあ、間に合わないでしょうに。
既に炊飯器で炊いてあるし…。
あ、明日の朝か。そうね。やってみましょうか。
さ~て、お風呂の方の準備をしている祐奈はどんな具合かな?
「師匠~! こっちはオッケーですよ~。
もうすぐ、沸いちゃいますよ~」
「えっ? 早くない?」
「いや~、私もビックリです。
五右衛門風呂って直火ですから、効率よいんですね。
こんなに薪、要りませんでした~」
ああ…。いや、五右衛門風呂じゃなくても、あの量は多過ぎると思いましたよ…。
まあ、薪は使えますし、置き場はいくらでもありますからね。
私の方で買い取りますよ。
煮えたぎってしまうと入れなくなりますので、あとは入る前に燃やして調節ということで、お風呂はOK。




