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アマテラス様1

 ビンちゃんが居なくなり、氏神様のアマテラス様と私だけの二人っきり。

あ、いえ、一人と一柱っきりです。


「あ、あの~、アマテラス様。なんでそんなに怯えているんですか?

姪っ子ですよね。ビンちゃんは…」


「び、ビンちゃんて、ハルカ、あなた……」


「あ、これは、ビンちゃんがそう呼べって言うんです。ですから…」


「そ、そうなの? そうか、そういうことなのね……。

あ、いや、私は確かにアマテラスです。ですが、力の弱い分霊の身です。

あちらは、本霊なのでしょう。気の勢いが全く違います…。

更に、あの、最近巷を騒がせている悪名高い貧乏神のエース様だなんて言われれば……」


 分霊? 本霊? 何かよく分かんないですが、取り敢えず、経緯の説明です。

ビンちゃんの仰せですから…。

 私は戸隠で枝に当たって神様が見える様になったこと、

思兼様からビンちゃんのお世話をするように仰せつかったこと、

そして「お世話」についての私なりの解釈と、ビンちゃんに食べ物を食べさせられるようになったことを話しました。

 アマテラス様は、目を剥いた驚愕の表情で聴き入っていました。

特に食べ物の件では……。

 最後に、不安に思っていたことを訊いてみます。


「あ、あの、私、もしかして、トンデモナイことしていますでしょうか?

ビンちゃんに力を付けさせてしまって……」


「そ、そうですね。これは、かなり由々しい事態かも……。

あ、い、いや…。

思兼命様の御指示とすれば…。

大丈夫…なんでしょう……か??」


 いやいや、語尾をクイッと上げないでくださいよ。

私が訊いているんですからっ!


「それにしても、ハルカ、あなた…。

出発前にここへ来た時、変な影が憑いていて何となく胸騒ぎがしたので、旅行は止めなさいと注意したのですよ、御籤で」


「え?!」


「あなた、最後まで読まなかったでしょう?

最後に旅行は中止せよと書いてあったのよ」


「ご、ごめんなさい~!!」


 そういえば私、大凶に驚いて、あまりしっかり読まなかったかも……。

変な影とは、きっと社長の霊だ。

こんなところから、もうくっ付いてきていたんだ。


 あの霊は、ビンちゃん曰く、死にたてホヤホヤで形を保っていたにすぎないモノだった。

だから、放っておいても特に何もなかったかもしれない。

 でも、お御籤をよく読んでアマテラス様の御助言に従っていれば、こんなシッチャカメッチャカな状況にはなっていなかった…。

 なんてことですか。トホホ……。


「まあ、良いわ。あなたのその力、とっても素敵よ。

そして確かに、狙われる恐れがあるのは事実。

あの御方が憑いていれば、悪いモノは近寄れないというのも、間違いない事実です。

あの御方自体がどうなのかと言うのは別ではありますが、あなたの話を聞いていると、噂とは違って、そんな悪い神にも思えませんしね。」


 そうです。こうやって神様と直接お話しできるようになったんです。

大凶は大吉に変わったんですよ。

結果オーライ。

 やっぱり私は、ラッキーガール!




「話がついたら呼べってことだったんですけど、ビンちゃん呼んで良いですか?」


 私はビンちゃんを呼び戻す許可をアマテラス様に求めました。


「はい、どうぞ。あ、待って!

その前に一つだけ、私からあなたに、お願い事があるんですけど……」


「え? 何ですか?」


 お願い事……。

神様から願い事されるなんて、どうにも奇妙な気分ですけど。

 アマテラス様、何だかモジモジして、躊躇いがちに口を開きます。


「え~と、その……。

私も……、たまにで結構ですので……、お食事に誘ってもらえたり……出来ないかな~なんて、思ったりして……。

ダメ?」


 最後の一言は、クネッと品作って、色っぽい……。

 そうですよね、神様方は、みんないつも見ているだけで実際には食べられない。

やっぱり、食べたいですよね。


「お安い御用です。分かりました!」


「あ、ありがとう~!! 必ずですよ!」


「はい、もちろん!」


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