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1ー5、カッコよければ許される
ーーこんな時、さくらももこ先生ならどうしただろう。
先生は気が弱そうでも明るくて面白そうな男子なら仲間にしたそうだ。太郎は気が弱くないが、少なくとも先陣を切ってギャーギャー騒ぐタイプの人間ではなかった。見た目とファーストタッチだけで判断したら、太郎はまさに先生の好みだろう。でもちょっと踏み込んで話してみると、あら不思議。完全にやばめな奴なのだ。接していいタイプとダメなタイプはハッキリ区別した方がいいのではないか。
ーー先生、私どうすれば!
真奈は心の中で盛大に頭を抱えた。
そんな気を知ってか知らずか、太郎は清々しい笑みを浮かべ、じっと真奈を見つめ、
「ごめん、困らせちゃった?」と言った。
ーーあたしゃ恐ろしいよ。
太郎の横顔を夕日が温かく照らす。私の心を穏やかにしたのは、夕日のせいか、彼の優しい視線のせいか。
同じクラスだけど、真奈は今まで太郎の顔をマジマジと見たことがなかった。しかし改めて見ると、普通に整った顔をしているのだ。
ーー結局、顔だね。
「ううん、あんた見込みあるよ」
真奈はお気に入りのフレーズで応戦した。