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1-11、素食パン

「食パンって意味が分からないんだよね」

 その発言が意味不明だ。太郎は心の中で頭を抱えた。

「あれって何がしたいのかな。なんていうか……食パンって白米みたいなものじゃない? 朝から白米だけ食べる人ってそういないじゃん。それこそ何かお供がなきゃーーあ、分かった。食パンは食パンで良いんだけど、チーズ乗せていい? それかチョコソースかけていい?」

 遠目からだとパンに何か乗っていても気づかなかっただろう。だからこそ、言わないでほしかった。勝手に乗せてほしかった。ああ、あのパンにはチョコがトッピングされてるのね、と思ってしまうではないか。

「できれば何もかけないでほしいけど、強制はできない。後は察してほしい。ワガママを言ってごめん」

 ーー察して、か。

 真奈は考えた。

 ついにパン選択の全てを委ねられたわけだ。太郎にとっての一番の理想は、何もかけない素食パンなのだろうけど、残念ながら素食パンは私が嫌だ。となると、何かトッピングをかけたいところだけど、ぶつかりどころが悪くてトッピング食パンが服についたら大惨事になる。そもそも食パンは走りながら食べることを想定して作っていないんだ。じゃあどうすればーーあ! とても良い案が浮かんだ。

「あ、あのさ」

「なに?」

「ーーやっぱりいいや」

 言わないことにした。委ねられたのだから、これ以上ごちゃごちゃ相談するのは野暮だ。

「パンのことは任せて!」

 真奈はグッと親指を立てた。

 太郎は余計心配になったが、何も言えなかった。

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