小さな違和感
はじまりは小さな違和感からだった。
朝にパンとヨーグルト、ミルクのたっぷり入ったコーヒーを飲んで、いつも通り学校に向かった。
授業中、顔に引き攣るような感覚と、少しの痒みを感じた。
休憩時間中にトイレにいくと、頬に大きなニキビができていた。
「最悪…」
よりによってこんな目立つ場所にできなくてもいいのに。
恥ずかしくて、結っていた長い髪をおろして隠した。
「美佳どうしたの?髪下すなんて珍しいじゃん」
友人の有里子が目ざとく聞いてきた。
「頬にニキビができちゃって。ほんと最悪ー」
げんなりした声がでた。
「なになに、夜中にポテチでも食べたわけ?ダメだよー脂っこいものばかり食べちゃ」
からかう口調で有里子が言う。
「食べてないし!」
少しギクリとした。
昨夜、動画サイトを見ながら食べてたっけ。
そうこう喋っているうちにチャイムが鳴り、また授業が始まった。
次の日の朝も、パンとヨーグルト、そしてミルクの入ったコーヒーを食べ、学校に向かった。
昨日できていたでっかいニキビは相変わらず私の頬に厚かましく居座っているため、髪を結わなかった。
放課後は所属している料理部の活動日だ。
特に料理が好きというわけでは無いが、学校でスイーツを作って友達と喋りながら食べれるなんて、他の部より楽だな、と思い有里子と一緒に入部した。
その日のメニューはチーズケーキだった。
大量のチーズと、大量の砂糖、そして生クリームにバター。
黄金色に焼きあがったら、紅茶を入れてみんなで食べた。
その日の晩、お風呂上りにやけに腕が痒いなと見てみると、内側の部分に赤いプツプツとしたものができていた。