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白黒姉妹  作者: 日曜閑人
Chapter.2
9/11

2-2-1

―5月18日 オトロンの南西500KM地点 高度10000M―

輸送機が4機飛んで行く。内2機には兵士が、残り2機には機械が詰まっている。その2機の機械の中央にはポッドが一つずつ立てられている。

ポッドの中で少女は薄く目を開ける。白い壁以外、何も目に映らないのを確認し、再び目を閉じる。ずっと立ち続けてはいるが、足に体重はかかっていないので疲れは無い。まるで浮いているようだ、と少女は思う。再び目を閉ざし、今後のことを考えていると、耳元の機器から声が響く。

〈到着まで大体30分だから、最終確認を行う。いいな?〉

〈はい。〉

「……ん。」

〈まず、今作戦の目的だが、お前達が聞いている通り、オトロンの民の解放だ。手段は問わない。最善は透析を行うことだが、止むを得ない場合は無力化しろ。〉

〈それは殺せ、ということですか?〉

〈違うな02。あくまでそれは最終手段だ。武器を破壊したり、気絶させたりすることがメインだ。〉

〈そうですか。了解しました。〉

「ふふっ」

01と02は性格こそ違えど、やはり思考回路を同じくする姉妹だ、と03は考え、思わず笑う。

〈ん? どうかしたか?〉

「……いや、なんでもない。」

慌てて声色を戻すが、多少上擦る。幸い誰も追及せず、事なきを得たが、03は感情を表に出すまいと固く決意する。

〈それで03は確認したいことがあるか?〉

「……ない。」

〈うむ。それでだな、オトロンで、これまで観測されたことのない熱源を確認した。敵の兵器かもしれないから、くれぐれも気を付けてくれ。〉

「……サンプルを持ち帰れば、褒めてもらえる?」

〈そりゃそうだろうが…無理はするなよ?〉

「……デクソール様の為なら命でも惜しくない。」

〈まさにその通りです。〉

〈あのなあ、お前ら、自分が死んだらあの方が悲しむとは考えられないのか? もっと自分を大事にしろ。〉

〈私は本来10年前に死んでいました。あるべき場所に帰るだけです。〉

「……あの方が私たちごときに執心する訳が無い。もっと大局的に見るはず。」

〈ああもうわかったよ。それじゃあ俺が悲しむから死ぬな。いいな?〉

「……じゃあ、生きて帰ったらなんか頂戴。」

〈どういう論理だ、そりゃ?〉

フレイが思わず素っ頓狂な声を上げる。

「……私たちが生きて帰るというのが貴方の願いなら、その願いを叶えてもらったらお礼をするべき。」

〈そうなのか? お前たち自身の為に生きて欲しいと思うんだがな…〉

「……つべこべ言わない。なんか頂戴。」

〈そうだな… じゃあ、俺がケーキを作ってやるよ。〉

〈「けーき?」〉

2人の声が重なる。

〈ああそうか、お前達は知らないのか。旧世代の食べ物ですごく甘いんだ。〉

「……それでいい。」

即答する。言い方に力が籠ってしまったが、がっついているようには聞こえないはずだ、と03は自分を落ち着ける。

〈そういや03、お前、甘いもの好きだったな。〉

「……げっ」

思わず声を漏らすと、フレイと02の笑い声が聞こえる。それとは裏腹に03の中では、築き上げてきたはずの、寡黙で知的なイメージがガラガラと音を立てて崩れていった。

〈03さん、無理しなくてもいいんですよ?〉

〈確かにそうだな。時々出るお前の素の方が似合っていると思うぞ?〉

「……いや、私はこれを貫く。」

〈もう勝手にしろ。さて、そろそろ降下だ。準備はいいな?〉

「……ん。」

〈はい。〉

〈それでは各員、降下準備に入れ。〉

その声と共に03はコマンドを発する。

〈「……射出シークエンスに移行。」〉

機械音声が続く。

〈射出シークエンスに移行〉〈自由落下演算開始〉〈風力偏差演算開始〉〈誘導システム回路確認開始〉

〈減速機システム回路確認開始〉〈衝撃吸収システム回路確認〉……

30秒程の後、再び音声が告げる。

〈システム オールグリーン 射出可能 降下地点を指定してください〉

〈降下地点はどうしますか?〉

〈オトロンの北部の方が熱源反応が少ない。そうだな…セントラルタワーの北部8KMだから、455.756が良いな。〉

〈「……了解。座標設定455.756。」〉

〈指定しました 射出まであと10秒〉

〈10〉

〈検討を祈る〉

〈9〉

〈はい。〉

「……ん。」

〈8〉〈7〉〈6〉〈5〉〈4〉〈3〉〈2〉〈1〉〈射出〉

ポッドが二つ、宙に放たれた。


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