司は手に入れたアパートに住む準備をし始めた。廊下と自分の部屋の掃除をした。築5年。建物全体は味気ない白い横長の立方体だった。2階建てで、一階と二階にそれぞれ3部屋ある。北面の中央にある広めの玄関を入ると、少し狭いがフローリングの廊下が左右に広がる。廊下の両端は外への扉があり、非常口として使えそうだ。廊下に面して3つの部屋が横に並んでいた。どれも同じ8畳ほどの1LK。大きな窓が南に1つずつ付いている。駐車場とトイレは全室にあり、風呂は一階のみで二階はシャワーがついていた。一人暮らしの入居者なら十分な設備だろう。競売物件だったため、現在の入居者はいない。全室片付いてはいたが、壁には住人がいた形跡が残っていた。これすべて土地付きで500万円。
「競売っていいな。」
このあたりの同様な部屋の家賃相場が7~8万円。リフォーム代が入居者持ちだから、一部屋平均5万で貸しても月25万の収入になる。年300万。光熱費や保守費を引いても3年か4年で元が取れてしまう。
入居者を募集する前に、部屋番号をつけた。一階東端の自分の部屋を0号室とし、以降1から5まで。
「部屋は入居者に手入れさせればいいか。」
庭がないのが寂しかったが、手入れも大変なので、初心者オーナーには助かる面もある。