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夢の家賃生活ー霊の住む部屋ー  作者: 明日香狂香
14/16

類は友を呼ぶ

 長髪ちょうはつうしろでしばり、無精ぶしょうひげの中肉中背ちゅうにくちゅうぜい、Tシャツにジャージ姿すがた、パワーストーンの腕輪うでわに、なぞいしのネックレス。普段ふだん格好かっこうるからにあやしい零児れいじつかさは、体育教師たいいくきょうし父親ちちおやがいつもジャージをていたし、レゲイっぽいやつも留学先りゅうがくさきにはいたので、まったくにならなかったが、近所きんじょでは益々幽霊(ますますゆうれうい)アパートとのうわさひろまっていった。


いたい!」

 1号室ごうしつうつったつかさは、ちょくちょく台所だいどころとリビングの境目さかいめにある鴨居かもいあたまをぶつけた。1号室ごうしつだけは、そこで仕切しきりができるように、鴨居かもいがっているのだ。

「2号室ごうしつにすればよかった。」

 後悔こうかいしたが、またすのは御免ごめんだ。


「おケガですか?」

 不動産屋ふどうさんや状況じょうきょうくために玄関げんかんようとしたつかさは、にこにこしながらはなしかけてきた零児れいじにムッとした。

「そんなにおかしいですか?」

 きょとんとする零児れいじのこしてった。


「『おでかけですか?』のなににさわっったのかな?」

 零児れいじくびをかしげながら0号室ごうしつへとかった。マツは昼間ひるまかけてしまうが、それ以外いがい部屋へやにいることがおおい。零児れいじは、時給じきゅうよるのコンビニでバイトをし、午前中ごぜんちゅう午後ごごはマツのところにいる。なんとかはなしができないかとこころみるも、波長はちょうがあわないのかマツから零児れいじがあまりよくえていないらしい。


今日きょう希望者きぼうしゃ0だった。」

 れいうわさきつけて、たまにひやかしにくる人間にんげんはいるのだが、むとなるとはなしべつだ。つかさいえかえるると、マツが出迎でむかえてくれた。

「おきゃくさんじゃぞ。」

 といって、0号室ごうしつ指差ゆびさした。マツなりに使つかって部屋へやたのだろうか?いそいで、0号室ごうしつくと零児れいじきゃく相手あいてをしていた。

「おたせしました。」

 つかさ部屋へやぐちからこえをかける。

「キャア、たー!」

 まただ。つかさなお

「オーナーの西屋司にしやつかさです。」

 と、おびえるメガネをかけたわか女性じょせいにいった。


「すみません。うわさのおけかとおもって。」

 素直すなおだが失礼しつれいひとだ。しかし、つかさ平静へいせいよそお営業えいぎょうスマイルをやさない。

入居希望にゅうきょきぼうだそうです。」

 零児れいじ女性じょせいわってこたえる。

「わたし、とってもこわがりで。でも、ここにいたら克服こくふくできるかなって。」

 また、わけのわからないひとたと、つかさははガッカリした。

「マツさんました。本当ほんとう幽霊ゆうれいがいるってわかったら、安心あんしんしたんです。」

 零児れいじ解説かいせつによると、女性じょせいはいつもれいにとりつかれてるんじゃないかとおびえて、よるもろくにねむれないそうだ。れいがいるかいないかはっきりさせたいと、ここへようだ。零児れいじ案内あんないでマツをて、このメガネがあれば安心あんしんできるとかんがえたのだろう。

「それでしたら、わざわざまなくても。」

 つかさは、せっかくの入居希望者にゅうきょきぼうしゃなのにとおもいながらも、ことわることにした。

「いえ、幽霊ゆうれいれるためです。」

 みょう理由りゆうだが、彼女かのじょ熱意ねついつかさはしぶしぶ契約内容けいやくないよう説明せつめいした。小南優子こみなみゆうこOL一人暮ひとりぐらしなので1かい物騒ぶっそうだからと、2かいの5号室ごうしつくことにした。つかさ部屋へや案内あんないしながら

わたし一人ひとりですが1かいでも大丈夫だいじょうぶですよ。」

 と2号室ごうしつすすめた。が、150センチほどの小柄こがら華奢きゃしゃ彼女かのじょは、つかさ全身ぜんしんながめて

たしかに、大家おおやさんなら大丈夫だいじょうぶでしょうけど、わたし無理むり。」

 とおびえたような口調くちょうこたえた。どういう意味いみだ!

「わたしのことはつかさんでください。」

 アメリカでそだったつかさは、名前なまえばれるほうがれていた。それにわかれた父親ちちおやせいより、祖父そふ自分じぶんのためにつけてくれた名前なまえきだった。

「わたしは、職場しょくばではミナミちゃんとばれています。」

 この、かわいこぶりっこが。しかし、相手あいて大事だいじなおきゃく。ここではらてるわけにはいかない。

「では、ミナミさんとおびしますね。」

「ぼくは、レイジでいいよ。」

 一緒いっしょにくっついてきた零児れいじってはいる。

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