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序章 肉吸いの談
生きるためには犠牲が必要、生命を奪わなくてはならない。
代償を以て同等の生を得、代価を以て等価の生とする。
その皮を裂き、その肉を食い、その血を啜り、精の一滴まで吸い尽くす。
そうしなければ──死んでしまうからだ。
生きるとは、他者を殺して喰らい、己の生へとすり替える術。どんな綺麗事で取り繕ろうとも、この事実は揺らがない。
私の血はあなたの血の犠牲の果てにあるのだ。
それこそが絶対の真理。
結末は変わらないし──決して偽れない。
あなたは明日を生きるため、今日も何かを食い殺したはずだ。
誰だってそうする。そうせざるを得ない。
だから、私も生きるために殺す。
そうしなければ、私は明日にも醜く死んでしまう──だから。
「だから私は──あなたを喰らう」