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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

復讐の彼方に残るもの

作者: 青龍夜空


コツコツと書いてきた作品です。


ギャグがなく、シリアスな話となっています。


誰一人幸せになれません。 









優しく美しかった彼女……いつも笑っていた彼女、


何故、彼女は死ななければなかったのだろうか?






目を閉じれば、まだ彼女が生きているような気がして……。
















ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー




俺の名前は、レイン。


レイン・アランだ。


ここ、ミント村は村ともいえないくらい小さな所で、そんな所に俺は勇者として生まれた。


なんでも、俺が産まれた瞬間に女神様からお告げがあったそうなのだ……。

俺が勇者だっていう。


正確に言うと俺はまだ勇者見習いなんだが。


そして、こんな俺とほぼ同時にまた産まれたのが彼女……


聖女見習いのクライス・ミランダだった。


クライスは凄まじいほどの美少女で齢16歳にしてとてつもなくモテていた。


ちなみに俺は普通よりちょい上くらいの顔立ちなので村中の男共からなんでお前がクライスと幼なじみなんだ……っていう嫉妬の視線を当たり前かのように受けて育っていった。








ーーーーー ……君っ! 『レイン君っ!!』









「ッうわっ!? ……なんだクライスか。びっくりして損した。」



『もうッ!なによっ!ぼーっとしてて危ないから呼んであげたのにっ!』




「ごめんごめん。許して」   



『まったく、もうっ!』





『今日、魔物を倒しに行くんでしょっ! ……まさか、忘れてないわよね?』




「……あーー。ごめん、忘れてたわ。」



やばい、こんな事考えてる暇じゃなかったわ。




『もうっ!早く行ってこないと日が暮れちゃうわよ……。』



「あれ? クライスは行かないのか……?」



いつも一緒に行くのに珍しいな……






『……うんっ! 今日ちょっとやることあるから!』


「やること?……手伝おうか? 魔物倒しに行くのは明日でも良いし。」





クライスは、意味ありげにニヤリと笑うと 大丈夫、今日楽しみにしててね と言った。


……どういう意味だろうか?



まぁ、さっさと魔物倒しに行ってこよう……。
























ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ーーーーーーーーー 






魔物を十分に倒し、村に戻ったが……




ーーーなぜか……



村全体が炎に包まれていた……。


 




「……どういう事だよ。」  




人の気配が全くしない。







「おいッ!!!皆ッ!!  誰か居ないのかッ!!」



村を必死で探し回る。




すると……








「あ、……嘘だろ。ッ誰が……誰がこんな事ッ!」












そこには、いつも見慣れていた村の皆の死体があった。



「ああ、嫌だ……嘘だ、こんな事。」




優しかった村の村長さん、親代わりに俺を育ててくれたミレイさん、他の村の皆も一人残らず殺されていた……。



「……そうだっ! クライスは、クライスはどこだっ!?」




死体の中にクライスだけ居なかったっ!


      



      







  だが、その僅かな希望さえもすぐに消えてしまう事になる。










「……嫌だ、嫌だクライス。起きてくれよ……。なあ、頼むよ……。」



クライスの死体は彼女の家の中で見つかった。



家の中はカラフルに飾り付けられていて……そして、床や壁は血まみれだった。


テーブルの上にはケーキと一緒にカードが置かれていた……。





ーーーーーー


『お誕生日おめでとう!!レイン君がこの世に産まれてくれてとても嬉しいです! お互い大変だけど一緒にこれからも頑張ろうねっ!』クライスより。


ーーーーーーー











……皮肉な話だ。

……彼女は生きていたはずなのだ。真面目な性格の彼女の事だ、俺が居なかったら彼女……クライスはいつものように魔物を倒しに森に向かっていたはずだ。少なくとも彼女だけは。





「……俺がいなかったら、お前今日もいつも通り魔物倒しに行ってたよな。そしたらお前は生きれたのに。 俺の事 お前は憎んでるかもな……。ごめんな、クライス、お前と村の人達を殺した奴に復讐し終えたら俺も死ぬから……。だから、今だけは許してくれ。」
























ーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーー


あの後、村は異変に気付いた国の兵士達で溢れていた。



『……勇者殿、言いにくいのだが村には誰一人生き残った者は、



「分かってる、自分で確かめたからな。それより、誰がこれをやった……?」





クライスは聖女見習いだった……。よっぽど強い魔物ではないと彼女を



『あ……ああ、この魔法の痕跡、闇魔法。魔王の配下の連中の仕業だな。あいつらは、こうやってよく村を襲う。おそらく魔王の命令でやったんだろう。その中でも非常に強い奴に彼女……聖女様は殺害されたと思われる。』








村の皆がなにをやったというのか……。


彼等は、彼女達はなんで……殺されたんだ。



「……もういい、魔物を魔王を全部倒せばいいんだろ。そしたら皆の敵を討てるんだろ?  だったら滅ぼすよ、そして俺は……」



『あっ……あのっ! 魔王を倒してくだされば万々歳なのですが、今の勇者殿ではーー』



「分かってる。倒せない、……そうだろ? ……だからあんた達に紹介してほしいんだよ。強い人を、俺を強くしてくれる人を。」







俺は、クライスと後から見つけたミレイさんからのプレゼントを強くにぎりしめた。

































ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー






『本当に行っちまうのか?』


師匠のトールさんがそう言った。






あれから10年が経った。10年死に物狂いで修業してここまで来た。



"復讐するために"



不思議だな……10年時間が経ったのに、あの日の出来事が昨日のように思えるんだ。


「ああ、行ってきます。……行かなきゃ駄目でしょう?」




『……復讐が悪いなんて、やめろなんてそんな無責任な事は言わねぇよ。只、お前がもう戻って来ない気がしてな。ちゃんと、戻って来いよ。皆、お前の事待ってるからな……。魔王を倒して、絶対……』





「……ありがとうございました。ごめんなさい……。」




……約束は、守れそうにありません。





ーーーーザッ








『……っ!! おいッ!? 待て、それはどういうッ!!』











‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥






       








     









  『……馬鹿やろう、お前の事 皆必要としてるよ。だから……だから、ちゃんと戻ってこいよ。お前は俺の大切な、大切な弟子なんだよ……。息子のような 大切な……。』










































ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーー





……幸せに、なってはいけない。




実際には、そんな事ないんだろう。 だけど、彼女達の顔が、心が、俺に幸せになるなと自分達は死んだのになんでお前だけと、そう言ってるような気がして。


分かってる、皆がそんな事思うはずがないって……この考えこそが生きていた頃の皆を汚す考えだって。




だけど……。


    




「……皆、死んだのに俺だけ幸せになれる訳ないだろ。」































































ーーーーーーーーー





    



     ーーーギィ‥‥





 




 『……来たか、勇者。幹部達は倒したのか?』







「……ああ、無事に倒せたよ。お前以外は全員な。  今から魔王 お前を倒すーーー前に聞きたい事がある。」




『フフ……威勢がいいな。 なんだ? なんでも言え、今は機嫌が良いからな。

なんでも答えてやる。』





「……ミント村を、何故皆を殺す必要があった?」




『……ミント村? なんだそれは、今まで数多くの村や町を壊し人を殺してきた。それなのに村の名前なんか覚えてる訳ないだろ。殺した奴の名前も覚えてないのに。』





なんだよ、それ……。それって……




「無差別だったのか、人間だったら誰でもよかったのか……!!」








魔王は顔を俯かせ、震えていた。








「……お前、ないて






 









『……クッ クハハっ……ーーーアァ、可笑しい。』










「……お前ッ!? なにがおかしいッ!!」




笑っていた。


魔王は俺が言う事を心底おかしいと言うように笑っていた。







『家畜同然のクソみたいな奴ら、生きててもしょうがないだろう?』












……そうだ、俺はさっき何を考えてたんだろう?




こいつはこんな奴なんだ……何も理由もないのに人間を殺す、




こんな奴なんだ。















「……よかったよ、お前がこんな奴で。 これでなにも考えずに殺せる。 」




















『……そうだったな、お前達は。』
















































ーーーーーー


ーーーーーーーーー







「……なにか言い残す事はあるか?魔王カルダ」





魔王にギリギリで勝てた……が、なにか違和感を感じる。











『……ゴフッ、 特にない、な。』









「……そうか、じゃあ死






『……ああ、一つあったな。一つだけ聞いてもいいか、勇者。』



















「……なんだ?」













       












『お前は、本当に魔族だけが悪いと……そう思うのか?』






!!?





「どういう事だ……?じゃあお前等に殺された皆が悪いとでも言うのか?ふざけるなッ!! 村の人達はなにも……











『お前等が殺していた魔族や一部の魔物、彼等は……悪などではなかったよ。』







は? どういう事だ……? 





魔物や魔族は狡猾で残忍で人を笑いながら殺すような奴らだと聞いた。村の皆もそう言っていた。








『その顔は、やっぱり知らなかったんだな。

彼等は残忍な性格なんかじゃない、人間と違ってな。優しく、明るく、いい奴らだったよ。……お前には分からないだろうな、人間のレベル上げとやらの為に彼等の平穏な日常が壊れていく事など。無邪気に笑った彼等の体が素材にされていく事など。』





「ッ!! そんな事、聞いた事がない!!」




『 ゴホッ……  そりゃ、そうだろう。人間の王が揉み消したんだから。

お前等の王はな……俺ら魔族がなにもしていないにもかかわらず、自分達と違うからというだけで戦争を仕掛けてくるようなやつらなんだよ。』




「嘘だろ……そんなッ!   み、皆はっ!皆は関係ないだろッ!!」




『……なにもしていないのにお前達に殺されたのは、うちの中にもたくさんいるよ。数えきれないくらい……。』

















……なんだよ、それ。 誰が悪い?間違いなく王だろう。


誰が考えてもそう思う。





違う。責任を転移するな……。あいつも悪いよ……。だけど……けど、



俺も悪かった。



全く考えようとしていなかった。



ちゃんと考えればおかしいって気づけたのに、今考えたら魔族の事はただ狡猾で残忍な性格としか書かれていなかった。そうとしか書かれていなかった。





なにもなかったんだよ……。 証拠なんて。






馬鹿だな……。俺……。    馬鹿だ……。












『 ゴフッ……やっと皆の所にいけるな。……じゃあな、勇者。勇者がお前でよかったよ。……他の奴なら話も聞かずドーンだ。』







「……ああ、俺もお前でよかった。 ……安らかに逝け。俺も後でいく。」



















ーーースパッ           







ーーーゴトッ

























「……本当に馬鹿だよ、俺。……向こうに行ったら皆 許してくれるかな?」






クライスに馬鹿って言われるかもな……。




それでもいいから、皆に会いたいなぁ。





「でも、無理なんだろうな……。皆と同じ所にいけるわけない。」






「ごめんな、皆……。トールさん、町の皆もごめんなさい……。」







さよなら。






ーーースパッ




ナイフで喉を裂く。    






……最後に人影が見えた気がした。





気のせいだよな、小さな子供のような……

























































ーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー





ーーきて  『起きてっ!!』





ーーバッ       






「……クライス?  俺、寝てたのか?」







『まったく、もうっ!! 人がせっかく料理を作ってあげたのに! 冷めちゃうじゃない。料理が。』





部屋中に美味しそうな香りが漂っている。





「ごめん、ごめん。美味しそうな香りがするな。わざわざ作ってくれたのか? ありがとな! 」





『ふんっ! 分かればいいのよ、分かれば! 準備するから手を洗って来なさい。……どうしたの?なんか急に黙りこくっちゃって。』





「いや、なんか長い夢を見た気がして。……多分、気のせいだわ。」





『なによ、それ~~!早く行くわよっ!』






「ん、分かった。今行くよ、クライス!!」








今、俺はこんなにも幸せだ。  






あれは悪い夢だったんだろう。





















































ーーーーーーーー


























「……父様?皆? なんで? なんで、こんな事になったの?」





「勇者……。人間達がこんな事したの?」









優しくて、いつも遊んでくれた皆……。



忙しくてあんまり会えないけど、会う度にいろいろな事を教えてくれたメアリー。





いつも頭を撫でてくれて安心させてくれた父様。









皆……皆死んじゃった。





なんで?



許せない。 皆を殺した奴が。




勇者は死んでしまった。





怒りをどこに向ければいい?







     



















「人間達に。」





















この作品のテーマは復讐は途切れないです。


最後の子は、魔王の娘です。彼女は、この後 人間に復讐をするのでしょう。





主人公は天国に行けたのか‥‥。クライスと一緒にいるので行けたんでしょうね。


読者様の考えに任せます。



ーーーー

ーーーー


題名とあらすじを変えました。申し訳ないです。

気になったので。

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