第五.五話「殺人鬼」
一部残虐表現があります。
デスクには妻とまだ幼い赤子が写っている写真が飾られている。子供は泣きっ面で、大きく口を開けていて、この写真に写るのを嫌がっているようだった。妻はその子を抱いてよしよしと言いながら、苦笑いであやしていた。
その写真を見ていると、あの日が思い出されて復讐の念が再熱する。恐ろしい程までに焼かれた心は、あの日から抱いている目的を忘れさせてはくれない。
デスクでぼんやりとその写真を見ていると、後輩が隣でぼやいているのが聞こえた。
「また、PLANTのせいか」
後輩のデスクを覗き込むと、先日絞殺された女性の事件の報告書を書いている最中だった。俺がぼんやりとしている間も後輩はせっせと仕事をしていたわけだ。俺の方はと言えば、手が報告書を作成している途中で止まっている。ペンは握られておらず、報告書の上に転がっていた。
慌ててペンを握り、書き始める。こちらは野良猫が死んでいた事件だ。俺達警察が出張ってやる事件ではないような気がする。
周囲に居るのは刑事。忙しなく仕事をしているのではなく、のんびりと報告書を作成している姿が多くみられる。
ここは街のPLANT対策支部隣の警察署だ。ここから主に隣町に出動し、事件を担当する。管轄はこの県一帯。ただその警察と言う組織はPLANTという人を襲う植物に対しては管轄外で、そいつらの相手は署のお隣のPLANT対策支部に任せている。
最近は、殺人や、血が関わる事件はほとんどPLANT関係であり、俺達警察は隣のPLANT支部に手柄を取られ、肩透かしを食らっている。だから、こうしてのんびり事件も追わず、資料を作成中の奴が多い。
「こっちもだ」
俺は後輩を慰めるために、ボヤキに対して乗っかってみた。
「先輩もですか」
「ああ」
こういう魔法使い関連の報告書を見ていたり、漁ったりすると、本当の所面倒だからって適当な理由で容疑者を『妖し者』と認定して魔法使いに全て任せ、殺しているんじゃないか、と時たま思うときがある。
警察の事件となるとあとあとが大変だ。
まず、捕まった犯人は魔法をどのように使ったか、それとも使わないかで原因を追究しなければならない。
そういう原因を究明しなくても、それら全て『妖し者』や『PLANT』のせいにして全て殺してしまえば簡単に事が収まる。
俺達警察だって、原因を究明していって、最終的にPLANTの仕業と肩透かしを食らうより、全てPLANT対策支部に押し付ける方がまだ心理的にも余裕がある。誰でも肩透かしを食らった後、それまで苦労して集めた証拠の数々をPLANT支部に取られるのは嫌さ。
現場に警察と魔法使いは同じように駆け付けなければならないし、居合わせることが多々ある。時たま一緒に事件を追うこともあり、同じように事件を追うが、大抵の警察官は魔法使いを一方的に毛嫌いしていることは珍しい話ではない。
「ここんとこ、全部そうですよ。ほら、先輩、この間会議した『女子高生惨殺事件』ありましたよね。あれだって、PLANTが関わっていることが分かると、魔法使いに丸投げですよ。まったく……僕たちが居る意味ってあるんですかねぇ。」
「口が過ぎるぞ、四谷」
後輩はメモがなければ、こうしてべらべらと言ってはならないことを言ってしまう。流石に事情聴取などはメモを取ることでカバーしているが、メモがないところとなると、いつもこうだ。この癖は治らないらしい。
「ちゃんとした殺人事件だってある」
俺は過去を思い出しながら、重い腰を上げた。
後輩の四谷は案の定、苦い顔をする。
「先輩のお子さん……」
「ああ、やはりお前はもう知っていたんだな」
「その……」
そんな伺うような顔をされるのは気に食わない。いずればれることだっただけに、覚悟はしている。それに腫物みたいに扱われるのは性に合わない。
「気にするな。少しタバコを吸ってくる」
手を振り、後輩の視線を払う。
あまり心配されることでもない。どちらかと言えば、俺はあの事件のおかげでこうして刑事を続けられているのだ。
・・・
喫煙所に行くと、先客がいた。最近その人が吸っているところを見なかったから、珍しいこともあるものだ。そう思いながら横で目に、無視を決め込み、吸い始めた。
喫煙所の中の空気は煙草のにおいで満ちている。ぷはーと息を吐くと、空間に放たれた白い煙は一層濃くなったような気がした。それをぼーっと見た。虚空を見つめても何もない。
外から見た喫煙所は白い霧に覆われたようだったが、いざそこに飛び込んでみるとそうでもなく見える。きちんと隣は見える。目の前の灰皿もどこにあるか、どんな色かはっきり分かる。銀色に輝く灰皿は、何もない空間の中で唯一光っていて、目立っていた。
ここには何もない。俺の心のありようと同じだ。
空っぽだった。
警察の仕事もそうだ。仕事がない。事件らしい事件もあまり起こらない。起こってもそのほとんどが魔法使いの管轄だ。
「ああ、久しぶりだな」
先ほど見た珍しいやつが話しかけて来た。その人は風格があった。恐れるよりは畏れる雰囲気を身にまとっている。階級は俺より上だが、偉いぶったところを見たことがない。堅実で、それでいて、どこまでも優しく熱い人だった。どっしりとしたあの背中が思い出される。今のこの人は体に厚みがなく平べったく思える。目尻にしわが重ねられ、疲れているように見えた。
きっと署内では柔らかでいるのだろう。そして、怒っているとこなんて見たことがない、と言われてそうな雰囲気を今は周囲に放っているのだろう。きっと今は殺人現場でも、その雰囲気を保っているんだろう。
「こんにちは」
いつも通りそっけなく答えると、その人は薄く笑った。
「今日も不機嫌だな」
「生まれつき不機嫌そうな顔をしているんですよ」
その人は、男性にしてはえらく物腰柔らかだった。そちらこそいつも通りの態度ですねと皮肉を込めて言い返したくなったが、あの頃より大人になった俺の心が止めに入った。
黙っていると、その人は機を見て尋ねてきた。
「そちらの科の状況はどうだ。何か変わったことなどあったか」
「いつも通り『殺人事件はだいたいPLANTのせい』が続いていますよ」
「そうか」
タバコの火を消し、もう一本の煙草を取り出した。もう暫くはデスクに戻りたくない。その気持ちが煙草へ向かってしまう。ライターを取り出そうとしたが、その人がカチッと火をつけたライターを差し出してきた。
火は揺らぐ。風はないにも関わらず。
俺は頭を下げ、火を借りて、火をつける。口に煙草をくわえて、吸い、一気に煙を吐き出した。白い煙が口から出され喫煙所がまた一層煙草の匂いを濃くする。生臭く木が焦げた香りだった。
尋ねてきた彼は、同じように煙を吐き、煙草の吸殻を灰皿に払う。
「光、あんたはまだあの事件を追っているのか」
俺の瞳に宿っている火を悟られたのだろうか、その人は見事に言い当てる。
この人は俺と一緒にあの事件を追っていた刑事だ。当時は俺の先輩刑事として行動を共にしていた。俺はひよっこ。この人はひよっこに毛が生えた程度。それでも、この人の洞察力には驚かせられることが多かった。
あの事件……か。
そう言えばもうそんなに経っていたのか……
・・・
その日も簡単に仕事を済ませて、直帰していた。
俺の家は親の代から代々使われた古民家で、署から歩いて帰れる範囲内にある。俺は歩いて帰っていた。
署がある街は、魔法石の出荷量が多く、地場産業として担ってている。そうなると当然、魔法石の実験施設も多く、俺の家の隣も本格的とはいかないが小さな施設があった。その小さい施設一つの隣である、大通りから見にくい民家、そこが俺達の家だった。
そこには子供を産んだ妻、そしてまだ一歳にもみたない子供がいたーー
――はずだった。
施設を横目見て帰る。こぢんまりとした施設だが、きちんと外から中は見えなくなっている。
いつもこの中で何をやっているのだろうか、なんて思っていた。街の大地主である黒木家、その黒木家の施設みたく薬の開発をやっているのなら、大歓迎だがなんだかいかがわしいことを実験しているのなら、それはそれで恐ろしいな。そんなことも笑いながら考えていた。
事細かく今も覚えている。あの日の気分も、あの日の思いも、その後も。何もかも全て鮮明に脳内に映し出されていた。
そうして着いた家は不穏な気配が漂っていたのだ。
玄関の戸は鍵が閉められておらず開けっ放しになっていた。中からまだ乾いていない新鮮な血の匂いが漂ってきている。鼻につく魔法使いと同種のあの狂った奴らの香りも、同時に感じられた。それまで、不穏な施設を通り過ぎていた。
この不穏な気配が近くにあるわけがない。そう思いたくない。だから先ほどまでの施設の恐ろしさに思わず胸騒ぎを起こしたのだ。そう、自分の都合のいい事だけを思い込んだ。
そして一気に思い込みを加速させた。
連日死人を見過ぎたせいだ。家庭にもあの特有な匂いを感じてしまうのは疲れているのだ。
出来るだけ声色を明るく、ただいまを言おう。怖くなって、気のせいだって思って「今、帰ったぞー」と呼びかけた。「供子、玄関の鍵空いていたんだけど……」
玄関に一歩入ったところで、それはもうひしひしと感じとれてしまった。もう疑いようもない程に鮮明な殺人の香りが、そこには漂っていた。
焦って中に入る。自身の靴も脱がずに、感情のままに、中へ。
リビングに入る前に妻が力なく座り込んでいるのが確認できた。部屋の灯りは、ちかちかとついたり消えたりを繰り返している。妻は動くことも出来ずにただ茫然と目の前の出来事を見ていた。床には飛び散った血の飛沫が飛び散っている。食卓には点々と血の丸い模様が描かれていた。並べられた食事は三人分。俺と供子と、そして子供の分。椅子は四脚。そのうちの一脚は赤ちゃん用の椅子で、このあいだ新調したばかりだった。食卓の隣にあるベビーベッドはべっとりと血塗られている。
これからという時だった。
これから、二人で我が子の成長を見るはずだった。来年には我が子は一人で立ち上がり、一人で歩くようになるはずだった。俺のことを「お父さん」と呼び、ランドセルを背負って、小学校へ通い、俺のことを学校でこの子は自慢して、思春期を迎えて俺を敬遠し、そのうち彼氏なんか連れてきて、俺はそいつを追い返すが「お嬢さんをください」と言う言葉にやられて、見送る。結婚式には、涙する。
そんなこれからが楽しみだったはずなのに、全てを壊された。
そいつは何の感情も示さない表情でそこに佇んでいた。俺達を観察しているような目つきを向けている。そいつの右手には子ども。左手には包丁のような太い刃物が握られていた。子どもの首から大量の血が滴っている。服は真っ赤に染まり、元の色が何なのかもう分からない。子ども、いやそれは既に命なんてなく、ただの塊と化していた。そいつは我が子の首根っこを掴んでいる。
近くのベビーベッドを見るに、そいつは玄関から勝手に上がり込んできて、ベビーベッドで寝ている子どもの首を一突きし、どういうわけかその遺体を俺の妻に見せびらかせたのだろう。
どこまでも悪趣味な野郎だった。
そいつ、殺人鬼はリビングに憮然と立っていた。男、それでいて若くはない。黒いパーカーで身を包み、フードをしっかりと被っている。口にはマスク。しかし、すぐ後でこんなもの外しても問題ないと言ったように、すぐにマスクを下げた。その口は笑いもせず、悲しみも浮かべず、ただただ無表情で目の前の状況を見ていた。
「へぇ」
そんな感嘆を述べ、殺人鬼は俺達の子を適当に放り投げた。小さな子どもの遺体は血を壁に叩きつけ、床に落ちていった。嫌な音が鳴り響くも、俺はその場に立ちすくんでしまっていて、動けなかった。
昨日まで綺麗だった食卓も、その殺人鬼のせいで崩壊してしまった。血と何もない虚無な空間が広がり続け、恐怖で足が動かなかった。自分は刑事だったのに、一家の主だったのにも関わらず、目の前の男へ向かう心も打ち砕かれていたのだ。
情けない。
殺人鬼はその後、何食わぬ顔で家を出て行き、何食わぬ顔で警察署に出頭したらしい。
・・・
灰皿に煙草の先を押し付けて、火を消した。それでもくゆる火は沈下できず、灰の中で炎は小さく静かに燃えていた。
「あの事件は終わったんだ。追うのはもうやめろ」
あの日の事件を一緒に追っていた先輩刑事は、まるで別人のように諭してくる。
この人は変わってしまった。同じように事件を追っていたはずだった。あの事件は、終わっていないと言って、真犯人を一緒に見つけ出そうとしていたはずだった。
あの事件におかしな点はいくつも見られた。出頭してきた犯人の死刑判決の速さ、それに犯人の顔を公開していないこと。世間の目からひたかくすようにして、ひっそりと報道され、犯人の名も、顔も公開されない。その時の上層部の動きは、目を見張るものがあった。
そこで、あの頃のこの人はこう結論付けた。
『犯人はまだいて、その犯人を知られたくないために早く事件を終わらせたがっている』
この人は、俺にそれを知らせて、そして犯人を追った。組織にはむかいながらも、俺達は追い続けた。真犯人が誰か知るために。
あの時までいくつかの事件を追うたびに感じたこの人の洞察力は、その事件の半ばまで確かに色褪せず役立っていたのに……。
「お酒の席では、饒舌になって上の愚痴をこぼす先輩が今では柔らかくなりましたね」
愚痴や陰謀を語っていた先輩刑事は今ではこんなに柔らかくなっているとは思わなかった。時折聞こえる先輩刑事の噂は以前の鋭い行動力や洞察力はなく、どこか落ち着いていて、全くの別人に聞こえた。
先輩刑事は、煙草の火をを消す。灰皿に押し付けた煙草はいがむ。
「言っただろ」突然声色を変えてきて、心臓が跳ね上がりそうなほど驚いた。「あの時は上からストップがかかったんだ」
「それでも、追うべきだった」
俺の子供のために。このやるせない虚無のために。
「光刑事、君はあの事件で全てを失った。子供も幸せな家庭も日常も、冷静な視野も」
「失ったからこそこうして、情熱を持ち続けている。必ず、必ず復讐してやる」
火が未だくすぶっている指で挟んだ煙草を躊躇せず、握りつぶした。火の痛さは感じない。力強く握った握りこぶしは、行く当てもなくとどまっている。
それでも先輩刑事は続ける。
「僕には妻も子供も居る。子供は二人も、ね。片方は今大学で勉学を学んでいて、もう片方は高校へ。どちらもかわいい子だ。俺はその二人の行く末を見てやりたいんだ」
「それでも、追うべきだった」
「周囲の人以上に大事なものなどないよ」
「……人質に取られていても」
「その発想は、危険だ」先輩刑事はため息をつきつつ、諭す。「光刑事にはまだ奥さんがいるだろう」
俺はあの日以来壊れてしまった妻を思い出した。あの過去を消し去れず、自分を責めることしかできなかった彼女は精神的に参ってしまった。心を病み病院に入院した。そしてそこでずっとうわごとのように「私がちょっと目を離したすきに……」と呟きを繰り返すのだ。老婆のように骨と皮だけのやつれた体が小刻みに震え、髪は乱れ、吐く言葉は繰り返される。
あの光景に耐えられなくなった俺は、事件を追うようになった。執着して、目の前の目的を復讐だけに向けた。そんなことはとっくの昔に分かっているのだ。何が自分にとって大切か。何が今の自分にとって最優先か。それでも妻を見ると、俺の心が折れてしまうのだ。折れてしまえば、それは妻にもあの子にも申し訳ない。
「その心がどうあれ命が一番大切だ」
先輩の言葉はどこか重みを帯びていた。俺には手に入れることが出来なかった家庭を得ることが出来たから言える言葉だろう。複雑な気分になり、何も言い返すことが出来なかった。
「今日、まだ予定はあるか」
そう先輩刑事が尋ねると、くいっと手を傾けた。
一杯飲みたいのだろう。
「今日はこの後、事情聴取に出かる予定です」
「PLANT支部に丸投げされる案件のものだったな」
「そうですが、どうしても最後までやりたくて」
本心ではこの案件が、もしかしたらあの日の殺人鬼と繋がっているのではないかと考えていた。関わっているのなら、また追える。そしてまた上から止められるようなら、今度は警察を辞める覚悟はできていた。あてはある。
「あまり深入りするなよ」先輩はライターと煙草をポケットにしまい、腰を上げた。「光、お前にはまだ奥さんがいるんだからな」
喫煙室は俺だけになり、俺は煙草をもう一本取り出し、口にくわえ、火をつけた。ぼんやりと虚空を見上げる。煙が立ち上る、行く先を見るが、煙の先が見えない。空間と混じりあって、溶け合い、消え失せている。
タバコの火は燃え続ける。
『俺にも子供が居るんだ。白状するが、その子は獣交じりだ。その子がどれだけ傷つこうが、獣交じりの気持ちを私は知れない。でも、親心はある。その子が、光の子どもみたいに、殺されたとしたら考えるだけで身震いする。必ず光の復讐を果たそう。俺はそのためにいくらでも協力は惜しまない』
あの時の、勢いも、熱も今の先輩には感じなかった。歯抜けにされた先輩に俺を止めることは出来ない。
盾倉刑事も変わってしまったなあ。
喫煙所には誰も居ない。いつもこうだ。
盾倉刑事はきっと俺を止めに来るために待ち伏せたのだ。此処に居るのは、もう俺だけになってしまったから。俺が此処にいつも来ると知っていたから。
あの人は……
この喫煙所にいた二人を思い出す。もう十年も前の話だ。ここで熱い刑事と復讐に燃えた刑事が居た。喫煙所で作戦会議をして、ドラマさながらに、犯人を追っていた。その手が見えない犯人の尻尾を掴もうか、掴まないかと言うときに熱い刑事は手を引っ込めてしまった。残ったのは、腐って視野の狭くなったたった一人の燃えカスだけ。
あの人は、そんな俺を最後に止めに入ったのだろう。
それなら、俺の手はすぐに犯人に届くところにあるのだ。手を伸ばすとその存在事消し去られてしまうのだろうけれど。それでも、突き止められるのならーー
それならやれるところまでやってやろうじゃないか。
きつく虚空を睨みつけた。
・・・
デスクに戻ると、隣の後輩が「先輩、遅かったですね」と話しかけてきた。その手には俺の分の報告書にも手を付けているようだった。気が回る優秀な部下だ。勘も悪くない。俺より、こいつの方がおそらく犯人に近づけるかもしれない。
どんなものを犠牲にしてでも、あいつを捕まえなければならない。
十年前、俺の子を殺した犯人を何としてでも。
「おい四谷、今夜面をかせ」
乱暴に言い放つと、四谷は手に持っていたペンを焦って落としてしまった。




