アバター制作
夕食はフレンチフルコースでした。我が家では洋食より和食のほうが多く、それにコース料理なんて記念日にしか出てきません。毎日フルコースなんてゲームや物語の中だけのものだと私は思っています。
さて夕食後入浴も済ませ明日の準備も確認後私はベッドへと横になりVR機能を起動させ睡眠モードを選択します。これにすることで睡眠時間にもゲームをしたりショッピングをしたりできるようになります。一応仕事や勉強も可能ですが規制がかかっているので睡眠時間の三分の一の時間だけとなっています。ゲームやショッピングは睡眠時間の3分の2まで可能。でも仕事や勉強のあとにゲームやショッピングはできません。脳を休める時間が必要という理由からです。
私もVRを使って勉強をしますが睡眠時間を勉強にとは思いません。ヴァーチャル空間では時間を加速させることが可能なのでリアル時間で1時間がヴァーチャル時間3時間にすることができるからです。もちろんもっと加速することも可能ですが勉強と仕事に関しては最大5時間までの加速と決められているのです。ゲームは最大だとリアル2時間が1週間になるそうです。ただし2ヶ月に一度しかできないようになっているそうですが。時間短縮を使った公式イベントが2ヶ月に1度の理由でもありますね。なのでリアル2週間かけて行われるイベントと時間短縮イベントが交互にくるというパターンが一番多いです。
私は眠気に逆らわず瞼を閉じそのままヴァーチャルワールドへと意識を飛ばします。最初に来る場所、リアルと一番繋がりが深い世界がこの空間というか世界です。世界をそのままヴァーチャルにしたものみたい。時間経過はリアルと同じ。でも世界中どこにでも一瞬で移動できるというリアルでは経験できないほど便利な世界でもあります。そしてこの世界で使用されているアバターは中学に入学して初めの授業で制作したアバターとなり、そのあとはこのアバターが分身となってこの世界での姿となります。私はあまり変えてないかな。でもうさ耳がついてて和風ロリ服だから結構人気があったりします。中には二足歩行の猫や犬なんかを選ぶ人もいますけどね。リアルと変えてあるのは髪の長さと瞳の色くらい。あと右目元に小さなほくろが1つ追加しただけ。リアルの髪の長さは中学のころは肩につくくらいでアバターはお尻が隠れるほど長いのです。今のリアルの長さは腰までだからアバターのほうがやっぱり長いですね。服は一応着替えることができます。でも髪型は短くや長くはできなくパーマをしても次のログイン時には元に戻っています。束ねたり編み込んだりということは自由に出来るのでそういう風にみんな楽しんでます。
それで今私がいるのはマイルームと呼ばれる空間です。この中でなら時間を自由に変えられる訳でここで勉強や仕事をするわけです。あとこの世界で買った家具や服も設置保管できます。でも今私がしたいのはフリーライフオンラインです。まず世界の移動をしなければなりません。これは部屋から出る扉の横にあるパネルから選べば良いだけ。プレートにゲーム名がくるようにセットして扉を開ければ真っ白い世界へと移動できます。なぜ白いのかというと…
『フリーライフオンラインの世界へ用こそ。新たな人生を楽しんでください。』
その音声とともに目の前にタイトルが現れそのあと大きな鏡…ではなくモニターが設置された部屋に飛ばされました。先ほどの白い空間はゲームのタイトルを表示するいわゆる演出なだけです。モニターには分身が表示されてますが一部変わっています。それは身長やスリーサイズといった部分。リアルのものが元になっているようです。このまま使う人もいるようですがゲーム内でリアルを特定される恐れもあるので若干変えようと思います。
『変更する場合はパネル操作を行ってください。』
機械音声に従い手元に現れたパネルを操作し変更していきます。変更箇所は髪の色と髪の長さ、瞳の色と唇の色です。髪色は黒から銀髪へ。長さはリアルと同じ腰の長さのストレートで。瞳の色は真紅とエメラルドグリーンのオッドアイにしました。唇は少しだけ赤くしました。バッチリメイクとかもできるけれどそこまでする気もないので。あと分身アバターにつけてあったうさ耳も外しました。ほくろは…このままでいいかな。
『ポイント獲得&職業の選択をしてください。』
ポイントとはスキルや装備などに使うとポイント無しのときより良い物や多くのスキルが選択できるようになるものです。最低20ポイントから最大100ポイントまでランダムで決まります。一応1度だけやり直しできるようです。職業は戦士、騎士、魔術師、弓師の中から1つを必ず選ばなくてはいけません。ただ職業といっても初期職でレベルが10になると一次転職する必要がありそこでさらに分類されていく感じです。戦士の場合は剣士、槍士、短剣氏、刀士、短刀士、薙刀氏、格闘士に分かれるそうです。私は弓師から和弓師になるつもりです。弓は不遇職といわれているけれど理由はPSプレイヤースキルの問題が大きいからなんです。このゲームでは矢は消耗品に当てはまらないので命中さえできれば問題はない…のですが弓なんて普通の人は触ったことがないのでサポートがあってもなかなか命中しないんです。でも剣や魔法は命中率がかなり高い(剣なんて振り回していても初期MOBなら当たりますから)ので人気が高いのです。私は幼い頃から弓に慣れ親しんでいるのでまったく問題はないですが。
ランダムで手に入ったのは80ポイントでした。結構高いので欲張らずにそのまま職業選択で弓師を選び、さてここからが慎重に選ばなければならないところです。
『スキルおよび魔法を選択してください。スキル、魔法ともに1つにつき2ポイント必要です。』
職業の武器は必ず選ばなければなりません。後サブ武器が欲しい場合はここで選択です。防具もここで選ばなければ布装備以外着ることができなくなります。サブ武器は別に無理に取らなくても装備だけなら誰でもできます。補正が効かないので命中率が下がるとかダメージが少し下がるなどはありますが。それも生産スキルを組み合わせると少しは改善されるものもあるようです。たとえば斧の場合戦士系は補正が入りますがそれ以外では基本ありません。ですが伐採を取っている場合命中率のみですが補正が入るそうです。ただこれ斧と鉈以外は出ないそうですけどね。料理に関しても同じ。包丁で攻撃すれば命中率は上がります。戦う料理人…シュールですけどね。
さて私が取ったスキル&魔法は弓、軽装備、タカの目、魔力アップ、MP回復速度アップ、水魔法、白魔法、スピードアップ、器用値アップ、友情の戦闘系スキル10個と育成、栽培、細工、裁縫、料理、調合、錬金、採取、採掘、伐採の生産系スキル10個。本当は鑑定も欲しいと思ったのだけどこれ簡単に取れるらしくて薬草などを10種類口にすれば手に入るそうです。お店で買える薬草、初心者用ポーション、各種野菜に果物、道に生えている雑草でも可。毒草だって少し齧ったくらいなら死にませんから。あと食料品…パンや串焼きなどもカウントされますから所期ポイントで取る人は少ないみたい。いつかは誰でも取れるスキルですから。それにこうして習得可にするとポイント使わなくても習得できるので。ついでにスキルはすべて装備したままにできます。リアルに近づけるといらないスキルは忘れるしかなくなるから。リアルの世界だと今の時間体育の力は必要ないから控えに回そう…なんてできないものね。そういう意味でスキルはすべて装備したままにしたそうです。覚えすぎると器用貧乏なんて項目がでる…わけでもないみたい。でも武器は2種類までしか登録できないです。あと魔法も黒魔法と白魔法両方覚えることは不可能です。火、水、風、地はすべて覚えられるけれどね。
これで私が使ったポイントは40ポイント。残り40ポイント使って装備を整えましょう。
『この中から開始時の装備を選んでください。』
ポイントが0のものはシンプルなシャツと短パン、布の靴、初心者の弓矢でした。これが弓師の一応の初期装備ですね。私はここからポイントを消費して革のチュニック、革のレギンス、革のショートブーツ、木の弓矢に変更しました。実は魔法…特殊金属以外を身につけると威力が下がるんです。アクセサリーは別ですけれどね。威力が下がるのははメイン武器とサブ武器、防具の大部分に金属を使ったものです。銅、鉄、鋼がダメなだけですけれどね。銀から先は問題なく使えます。私の場合重装備のスキルは取っていないし動きが遅くなるので弓師には向かないんです。それに布製品でも使う素材によっては金属よりも丈夫になったりしますから。
私の今の見た目はほぼ茶色。見た目はあまり良くないです。これはいつまでも初期装備でいるよりも良い装備を揃える気にさせるためのようです。性能はよくてもダサい…あまりかっこよくないのはイヤだという誰でも持つ(と思う)心理をついた結果みたい。裁縫スキル取ったし革製品までなら作れるので楽しみにしておこうかなと思っています。
『最後にルーレットを回してください。これは初期所持金を決めるものです。』
金額は5千から10万となっています。一番多いのが3万ですね。
ルーレットの結果7万ゴールド(単位はGね)を手に入れました。
『では、新しい人生を楽しんでください。』
その声に見送られて私はゲートをくぐりました。