プロローグ
2XXX年。VR技術も発達した今、一般生活においてヴァーチャルワールドはゲームだけの世界ではなくなっています。生まれてすぐにVR装置を体内に埋め込まれ物心ついた頃には当たり前のように使いこなせているそんな時代。私は朝からそわそわと何かを待っています。
ですが話を始める前にまず自己紹介しますね。私の名前は桐生院早百合といいます。花園学院高等部の1年で16歳に今日なりました。
わが桐生院家は由緒正しき家柄といわれ、父はローズグループ代表で母は有名なデザイナーです。
家族は先ほど紹介した両親のほか兄と姉がおり、兄は今年大学に進学し学生寮に入り今はこの家にはおりません。姉は私と同じ学校の3年で受験生なのですが外部受験をする予定はないということで受験勉強はしていないようです。内部進学でも試験はあるのですが姉にとってたいしたことのないことのようです。成績優秀でスポーツが得意な自慢の姉ですから。兄は…勉強はそれなりですが語学と経済学は得意みたいです。あとスポーツが得意でカリスマ性があるらしいのです。
私についてですが勉強は得意なのですがスポーツが苦手…といっても普通にこなせますが目立って得意なものがないのです。一応弓道を習っていたので和弓は得意です。クラスメートたちからはおっとりした印象を与えるとよく言われます。あと守ってあげたくなるとも…
容姿ですが155cmと少し背が低くスリーサイズはバスト以外は均整が取れたものと私は思っています。バストは…大きすぎるのでコンプレックスの1つなのです。姉は小さいのですけれど母が大きいんです。どうやら私母方の血が強く出たみたい。母の家系はバストが大きめの人が多いのです。父方のほうは逆に小さめです。姉が羨ましいというと姉は私のことを羨ましいといいます。そういうものなのでしょうね…きっと。
高校生ですし規則が厳しい学校でもあるので髪の色などは自然のままの黒髪です。もちろんパーマも酷い癖毛の人の縮毛矯正以外は禁止されています。これも学校の許可が下りないと無理なのでしている人はごくわずかです。私は反対にセットしてもすぐ戻ってしまうほどきれいなストレートです。これって長所でもあり短所でもあるんですよね。どんなに頑張ってブローしても半日持ちませんから。瞳の色は日本人なので黒ですね。厳格に言えば黒ではないですけれど。肌の色は白いほうです。日焼けしないというか真っ赤になってそのまま戻る感じです。すごく痛いから夏場は日除けと日焼け止めは必須です。
あと、趣味は読書と料理。知られていないけれどゲームもものすごく好きです。読書も詩集とか読んでるイメージがあると言われますがラノベのほうが好きです。特技は裁縫、料理、アクセサリー作りです。浴衣や普段着くらいなら自分で縫えます。もちろん作ろうと思えばドレスやゴージャスなワンピースも作れますよ。料理に関しては趣味と特技両方に書くほど好きです。特にお菓子作りがですけれど。でも包丁なんて触れませんとかいうお嬢様とは無縁なほど包丁も使えますし普通に火も扱えます。両親の教育方針で普通の人ができることは出来るようにというものがあるから。料理できないと困ることがあるかもしれないということみたいです。確かにいつかは嫁ぐ日が来るしその家に料理人が必ずいるとは限らないもの。姉は料理苦手みたいですけれどね。できないのではなくて苦手というだけですけれど。
さて、私が何を待っていたのかというと新しいゲームソフトが届くのを待っていたのです。今日発売のVRゲーム【フリーライフオンライン】というゲームを。
このゲーム、RPG部分とSLG部分の両方あり武器や魔法でMOBを倒したり採取、採掘したりする冒険部分と、牧場や農場を手に入れて栽培、育成、繁殖させて素材を手に入れる育成シミュレーション部分、あとは加工品や素材を販売するという経営シミュレーション部分があります。どこに重点を置くかはその人のプレースタイルというかなり自由度が高いゲームです。一応…アダルト要素も含まれてます。15歳からはガードを自分で設定しないとアダルト行為OKになってしまうんですよね。痛覚設定も同じで自分で設定しなおさないと最大の70%になっています。ちなみに成人だと100%設定も可なのだとか。でもこれ痛覚だけなので味覚、触覚、あと…感度は100%設定だそうです。これも一応下げることは可能です。味覚は賛否両論らしくβテスターの人が毒草を誤って食べてその苦味に吐きそうになったとかいう話もあります。ちなみにこの味覚とかは個人の持つ感覚そのものらしく同じものに触れても同じ感想がでるとは限らないそうです。味覚だって人それぞれ好みがあるからみんながみんな同じじゃつまらないということで開発が進んだという部分ですね。これは今のVRでは当たり前の部分になっています。なぜならヴァーチャルワールドでお店を出し試食してもらうとかあるから。これは通販の一例です。ヴァーチャルで試食して気に入れば現物を購入という方法ですね。あと喫茶店やレストランももちろんあり遠距離恋愛の恋人たちがよく利用しているのだとか。ヴァーチャルとリアルの差がかなり少なくなってきているということですね。
このフリーライフオンライン、アダルト部分はかなり範囲が広く性の部分を取り上げるなら恋人同士からMOBに襲われるのまであるそうです。もちろんNPCに襲われるというものも。なのでそういうのを完全に避けたいのなら性行為NGを、グロテクスなのがダメな人はグロNGを選択する必要があります。私は…グロは苦手だからNGにしておきます。性に対しては…危ない所に近づかなければ…恋愛要素のは除くけれど起きないみたいなので今は様子見にしておくつもりです。もし恋人ができたときNG設定にしておくと唇へのキスさえできないということになるそうなので。頬やおでこは大丈夫だそうです。ここまで健全にされるとそれはそれでイヤというか物足りないというか…なので可能な限りNG設定はしないつもりです。
そういう注意書きやβテスターの裏話を公式サイトで読んでいるとメイドの一人が荷物を持って部屋まで来ました。私はそれを受け取り中を確認します。もちろん中身は待っていたゲームソフトです。私はソフトをコンピューターにセットし首下についている端子とケーブルで繋ぎインストールします。その時間3分ほど。ポータブルのコンピューターでないとケーブルの届く範囲以外動けないですからね。それで読み込み時間はかなり短いものとなっているんです。ネット経由の場合は寝ているときに体内のVR機構に直接ダウンロードするかコンピューターにダウンロードしてからインストールするかの二択になっています。ダウンロードは人気作ほど時間がかかるのでほとんどの人がコンピューター経由にするみたいです。ソフトを買うのは私みたいに今までしたゲームをリアルでも残しておきたいと思う人と少しでも早くしたい人くらいですね。
インストールも終わったので早速…と思ったのですがその前に夕食の時間になってしまいました。今日は私の誕生日ですから一人だけ後でという訳にはいきません。忙しい両親も私のために1度帰ってきてくれているのですから。