歴史のその先へ
作者の妄想するIF展開です。
結果から述べると、信長は生き延びた。そして俺も生き延びた。俺の案を受け入れた信長は密かに本能寺を脱出。秀吉の後詰めの為に用意していた兵を用いて、それを光秀の討伐に使う計画だった。
信忠にもすぐに脱出するように密使を出して、俺は本能寺で明智軍が来るのを待ち構えていた。信長の脱出方法は簡単で、俺と入れ替わって本能寺から出ていっただけだ。
そんなこんなで時間は経ち、明智勢が本能寺を囲んだとの報告を受ける。死ぬのは怖いが、やってみたかったことを試してみることにした。
「ここを兄上の寝所と知っての狼藉か!」
ここにいるのは俺で信長ではないと知った光秀はどうなるのかなと思ったのだ。企みが俺に露見していたと悟った光秀は降伏してきた。これには俺もびっくりした。普通に殺されるかなと思っていたのだ。
謀反が失敗に終わったからには討たれるのは確実。ならば無駄に兵達を死なせる訳にはいかない、と思っての降伏らしい。心を病んでいた何て研究もあったが、意外と冷静だなと思った。まあ、戦国時代の武将なんて大なり小なり気が狂っているような奴らばかりだけども
明智の一族は悉く処刑されたが、潔い最期に少しばかり評価を上げていた。本拠の坂本は直轄領に、丹波国は信長の預かりとなった。これは中国攻め、四国攻めが間近に迫っており、制定するのも時間の問題なので、その褒美のために残しておいたのだと思う。
天正十二(一五八五)年、日本の統一がなる。毛利は安芸一国、長宗我部は土佐一国を安堵され、九州や東北の諸大名は軒並み服従の使者を送って来た。北条は同盟関係にあり、上杉は最早敵ではなかった。
翌年には天正地震があったが、天正十八(一五九一)年、朝鮮征伐を開始する。織田家に信長が権力を握っている間は止まることなど許されず、九州の大名を中心に派兵された。
順調に占領地を増やしていた織田軍だったが、ある知らせによりその進撃は一時的に停止する。織田信長死去。信長は病に倒れた。信長は味の濃いものが好きだったから、いつ死んでも驚きは無い。ただ朝鮮全土を支配するまでは持って欲しかった。
信長の跡を継いだ信忠は、朝鮮征伐を完了してから進軍を停止させた。父の遺業を完遂させたかったのだろうか。その後は内政に専念する片手間に琉球を征服していた。その統治は安定していると言って良いのではないだろうか。
もう思い残すことも無いだろう。織田政権がどうなるのか気になるところだが、そこまでは寿命は残っていないだろう。一日でも長く続くことを祈ろう。
この小説と主人公の基本姿勢は「歴史に忠実に」です。主人公は歴史が改変されたら対応できないので、知ってる範囲に収めようと何もしませんでした。(当然ですが、首を飛ばされない程度の仕事はしています。)




