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本能寺の変

 五月。

 甲州征伐の戦勝祝いのために、徳川家康が上京してくる。これを信長は歓待し、歓待役として明智光秀が任される。そんな最中に中国征伐に赴いている羽柴秀吉から援軍要請が届けられる。これにより光秀は歓待役の任を解かれ、秀吉への援軍の準備をするように言い渡された。


 六月二日。

 信長は秀吉への援軍のために入京し、本能寺に滞在していた。ところがそこへ、秀吉の援軍のために進軍していた明智勢が突如本能寺を急襲する。信長は百人程の供回りで、明智勢二万と交戦。信長は槍を手に自ら戦うも数の差はどうしようもなく、燃え盛る本能寺の中へと消えていった。


































 これが正史における信長の最期である。信長の覇業は、秀吉が継承し、家康が掠め取った訳だ。だが、俺は思った。信長が天下を統一していれば、日本はどうなっていたのかと。唐天竺に討ち入った、南蛮を討ち払った、天皇家を排除し日本の王となった等々妄想するだけならいくらでも可能性が存在する。

 なので、俺は考えた。どうすればその可能性の先を見ることが出来るのかと。その答えは本能寺の変での信長の死の回避。これを生き残っても、高血圧により病死していた、他の誰かに殺される等々と言われてもいるが、それもまた可能性のひとつ。


 という訳で、俺は本能寺の変が勃発する直前に信長と入れ替わることを決行することにする。本能寺の変を止めないのかと思われるかも知れないが、信長の歴史には本能寺の変が必要不可欠だ。俺は本能寺の変を乗り越えた信長の歴史が見たいのだ。

 事前に光秀の出陣予定日も聞き出しているし、信長の前日の予定も把握している。信長が俺の計画を受け入れないかもしれないし、光秀がそのまま秀吉の援軍向かうかもしれない。俺という異分子が存在している以上は歴史通りに進まない可能性もあるし、少なからず歴史に介入したこともある。俺が極力歴史に介入しなかったのは、できる限り歴史通りに進んで欲しかったからだ。


 さあ、歴史にもう一度だけ介入してみよう。俺は死ぬかもしれないし、生き残るかもしれない。信長は生き延びるかもしれないし、死に絶えるかもしれない。光秀は決行するかもしれないし、援軍に向かうかもしれない。

 すべてはやってみなくてはわからない。そして俺はその歴史を見ることが出来るのか。生き残って直に見るのか、もう一度未来に転生して史料で見るのか、はたまた何も変わらないのか。もし仮に見ることが出来なくとも『是非に及ばず』、それはそれだ。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


一応、活動報告に今後の予定を書いてます。

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