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閑山自撰詩篇

苦手同士

作者: 竹井閑山

今日段ボール箱の本をいくつか整理していて

というのも我が家は狭くて本棚なんか置けないから

この頃入り用な本もしくは近日中入り用になりそうな本を

どうにかして取り出しやすいように

押し入れの棚に並べておくのだけれど

そうしたときにふと

タルホの『一千一秒物語』とトリスタン・ツァラの詩集が

隣り合わせになっていることに気づき

これは奇妙な偶然で何の企みもしなかったので

ほとんど愉快になってしまった


NHKホールには歴代名誉指揮者の肖像が飾ってあって

あるときロブロ・フォン・マタチッチが自分の写真の隣を示し

いや これは勘弁してくれ カイルベルトは苦手だ

苦手同士というのはままあるもので

カイルベルトもまたマタチッチは苦手だと述懐していた


本はジャンルやシリーズごとにまとめて整理しておくけれど

CDは苦手同士のアーティストを並べる野暮を極力避ける

フルトヴェングラーの隣にトスカニーニは置かないし

カラヤンは敵が多すぎて整理するのに苦労する

もちろんタルホとツァラのように

君子の交わりは淡きこと水のごとしで

朝比奈隆は彼が敬愛しやまぬフルトヴェングラーの傍居(そばい)


何をどこに置いてもよさそうなものだけど

音楽も詩も鑑賞する側の心持ち次第

だから個性の強い者同士

なるべく干渉しない恰好で

心地よく調べに浸りたい


こうして我が家のコンサートホールに

世紀のマエストロたちが日替わりで

大天使のような演奏を繰り広げる

でもこのぶんじゃみなさん天国でもあんまり

仲良くはやってらっしゃらんのだろうな


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