工藤春風の視点より 2
さて、魔法少女になりたい妹の為に、まずは何をするべきか・・・
“魔法”少女って言うくらいだから魔法が使えないといけないと思うんだが、
そもそも魔法って何だろう?
いきなり難問だ・・・誰かに聞くか?
しかし、ここでいきなり良識のある先生や大人達に
「すみません、魔法を使えるようになりたいんですが、どうすればいいですか?」
なんて言った日には、白い目で見られるか、最悪の場合、社会から抹殺されてしまうに違いない
・・・困ったぞ、僕の頭ではすでに手詰まりだ・・・
などと考えをめぐらせているうちに、本日の授業はすべて終わり、気がつけば教室に僕と数人が残っているだけになっていた。
このまま教室に残っていても、仕方がないので、僕は帰り支度を始めたのだが、そのとき、教室のドアが開いて、委員長の伊東・・・なんだっけ?
とにかく、委員長の伊東君が入ってきた。
「おっと、まだ残ってる人がいたのか、そろそろ教室を閉めて鍵を職員室に持って行きたいんだけど、皆出れる?」
うちの学校は教室の戸締りを委員長が行い、最後に鍵を職員室に置く決まりになっている。
伊東君は、成績が優秀で、皆からも信頼されているまじめ君で、まぁいわゆる優等生というやつだ。
彼はいつもなんだか難しそうな本を読んで、時に先生達と小難しい話をしている。
ふと、彼なら魔法について何か知ってるんじゃないかという思いが頭をよぎった。
「あ、伊東君、今日ってこの後あいてる?」
膳は急げとばかりに、僕は伊東君の家にお邪魔することにした
「珍しいね、君が僕の家に来るなんて。いや珍しいどころか初めてじゃないかな?」
僕のお邪魔願いを快く聞いてくれた伊東君との帰り道、僕たちはのんびり会話をしながら帰宅していたわけなのだが、内心魔法についてどう切り出そうか困っていた・・・
下手に聞いて誤解を招いたら、明日から教室で白い目で見られること確実だから、これは慎重に聞かないと・・・
しかし考えがまとまる前に、伊東君の家に着いてしまった・・・
そして部屋に案内された僕は伊東君の部屋をみて言葉を失った・・・
その部屋に埋め尽くされた漫画や、ゲーム、アニメ作品?の人形などが
一種の異空間を作り出していたからである
「これは、何て言うか...凄いね...」
圧倒された僕の口からなんとか出たこの感想に対して、伊東君はちょっと困ったような顔をして
「えっと、君はこういう、いわゆるオタク文化っていうのに偏見...というか距離をおきたいタイプかな?だとしたら、君の居る間は目につかないようにしまっておくけど...?」