雷
雷、苦手である
いつこちらに落ちてくるか
わからないのだ
あの暗い雲は
おぞましい手のようであの手に
さらわれてしまうのじゃないかと
ある時期まで本気で思っていた
目の前が大きく点滅したかと思えば
轟音が地面に響き渡り、音の鉄拳を
降り下ろしてくる
私は震えあがって家路へ急いだ
あっ、お空がお腹こわしてる!
可愛らしい言葉に振り返ると
カエル模様のカッパを着た子が黄色い傘を
くるくる回しながら笑っていた
空が点滅すると、あっ、あっ、と声をあげる
おかあさんは胸に赤ちゃんを抱きながら微笑んで
いた
轟音響く、空は点滅を繰り返す
大粒の雨が降ってきた
お空がお腹こわしてる!
痛くて泣いてるのかな?
可愛らしい声は可愛らしい心配しながら
私を追い越して行った
早く晴れるといいね