街道にて……。
「……はい? どちら様ですか?」
『わしじゃよ、神じゃ』
腕輪に触れ、通話機能をつけると二日ぶりの神様だった。
『いきなりで本当にびっくりしたぞい! まだ二日しか経っておらんのにもう一つ目の神器が送られてきたんじゃからな』
爺さんも流石にこんな短時間に見つけるとは思っていなったらしく驚いていた。
「いえ、俺らもこんなに早く見つかるとは……、しかも意図してではなくホント偶然手に入ってしまってこっちもびっくりしているんですよ」
『ふぅむ、実を言うとな。神器を見つけたら褒美をやろうと思っていたんじゃが、こんなに早く見つけてしまったのでまだ褒美を考えていないんじゃよ……。そうじゃなぁ、もう一つギフトをやろうかのう』
まさかの褒美、まさかの提案。
俺は思考が追い付かずポカンとしてしまった。
おそらくかっちんも顔は見えないが同じ顔をしているだろう。
正直に言うと俺はまだすべてのギフトを使いこなしているわけではないので、新しいものを貰っても使いこなせる自信は無い。
「俺はとりあえず保留でいいですか……? 困ったときに連絡しますから、ダメですか?」
とりあえず爺さんにそう提案してみた。
『うむ、かまわんぞい。じゃあ、いつでもいいので必要になったら掛けて来なさい。カジ君はどうするんじゃ?』
《……じゃあ俺は》
かっちんはこちらを一度チラッと俺を見ると、後ろを向いて
《……で、……とか、……なんかどうですか? もしくは……でもかまわないです、なら…………でお願いします。……はい、じゃあそれで》
ぼそぼそと俺に聞こえないように爺さんに要望を言っている。
コイツ、もったいぶりやがって!
どうせ後で俺を驚かせようとしてやがるな。
話しが終わった直後かっちんが淡い光を放ち始めた。
どうやら新しいギフトを貰ったようだ。
『うむ、これでいいじゃろ。それと一つ報告があるのじゃ。実は神器探しにだいぶ時間が掛かると思ってのぅ、実はおぬし達の他に三人程そちらに送ったのじゃ。その三人とも協力して残りの神器を探してくれいよ。』
……まさかの俺達以外の異世界人が来ているのか!
こういう時の小説的テンプレ展開としたらどんなんだ?
どんな奴が来てるんだ?
1、俺様自己中系。異世界に来てチート貰って調子に乗るタイプ。
2、イケメンハーレム系。いろんな女の子に手を出しまくる(無自覚な場合アリ)タイプ。
3、陰鬱根暗系。何かどうでもいいような理由で絶望して、復讐とか何かするタイプ。
4、常識真っ当系。とりあえずチート貰ったとしても目立つ事を避ける常識人タイプ
うん、その三人が4のタイプだったらいいなぁ……。
「…………。安心せい。4のタイプ以外は実際ほとんどおりはせんぞ。わしが送った三人は皆良い子達じゃよ」
心を読まれましたか。
まぁ、爺さんが認めた人たちなら仲良く出来そうだ。
面倒くさいタイプじゃなければ何でもいいわ。
面倒くさいのキライ……。
『まぁ、その三人の内の二人とは会えるのがしばらく先になると思うがな。一人は帝国に、もう一人は王国に送ったからの』
じゃあこの国で会えるのは残りの一人って事か。
でも人数の割合がおかしくないか?
連合国三人、帝国一人、王国一人。
『ああ、人数の割合ならこれでいいんじゃよ。連合国は他の国に比べて総面積が広いんじゃ。それに人数もこれ以上増やしたら世界均衡が崩れてしまいかねん。』
まあ確かに、そんなチート持ちが何十人もいたらまずいだろう。
『とまぁ、今のところそんな感じじゃ。では何かあったら連絡してきなさい。よろしく頼むぞい』
その言葉を最後に爺さんとの通話が切れた。
「じゃあ行くか」
《おう。……でさ、俺がどんなギフト貰ったか気にならないか? ん?》
うわぁ、その声色ウザッ!
面倒くせぇ。
聞いても内緒って言って教えてくれないのが目に見えてるわ。
「はぁ、かっちん。…………面倒くさい」
ため息をつきながら一言呟いた。
《ッ!? ごめんなさい。…………久しぶりに見たわ、その顔。お前ってさ普段面倒見とか人に合わせるのが上手いけどさ、本当に面倒くさいって思った時って別人みたいに顔と態度が変わるよな。アニメや漫画のジト目って可愛らしく描かれているけど、実際リアルでされると本当に怖いわ……》
そう、俺は何より面倒くさいのが嫌いなんだ。
「ほら行くぞ。ギフトはどうせ後でも見れるんだから別にいい。とにかく今は街に行く事を優先するぞ」
《サー、イエッサー》
こんな流れもあったが、ようやく俺達は街に向かって歩き出した。