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冒険者としての活動

俺達がギルドに登録してから1ヶ月がたった。


俺は主に討伐依頼を、かっちんはそれ以外の依頼を受けた。


チートのお陰で1日に数個の依頼をこなしていった所為か俺達2人揃ってギルドランクもFから2つ上がりDまでになっていた。


通常ならここまで来るのに平均三年程かかるらしい。

こんなに早くランクを上げたのは歴代でも3人しかいなかったそうだ。


その3人はAランクが2人、Sランクが1人ととんでもない人達らしい。



ちなみに、ランクの実力の度合いを分かりやすく例えるなら、


S 人外

A 英雄

B  一流

C ベテラン

D 一人前

E 半人前

F 一般人


となる。


と、いうことで俺達は早いと言っても一人前になったというだけだ。



「やっぱりヒロトがいると捗るな!」


「ええ、出来れば臨時じゃなくて正式にパーティに入って欲しいですよ」



そう言ってくれた二人はリグルとバートンだ。


たまにこの二人と臨時でパーティを組んで依頼をこなしている。


リグルは典型的な接近タイプで、ごつい体格でフルメタルの鎧を身につけていて背中には背丈ほどの大斧を背負っている。

簀巻きにしたかっちんを受付まで引きずっていった人物だ。


バートンは俺と同じ魔術師だが属性は光、支援特化で主にリグルに身体能力向上の魔法をかけたり、回復魔法を使ったりしている。

この世界では支援魔法は光属性に分類される。

細かく言えば風属性で素早さを上げたり、水属性で回復なども出来るが光属性に比べたら劣ってしまうだろう。


そこに詠唱短縮(偽っているが)で素早く攻撃魔法を使える俺が加わりバランスよく討伐ができるようになったという話だ。


「悪いな、ある程度稼いだらフリーディアに行くつもりなんだ」


俺は申し訳ないと頭を下げた。


「いいさ。探している物があるんだったか? まぁ此処よりもフリーディアの方が情報もあるだろうしな。まぁ、それまではたまにでもいいからパーティを組もうぜ。打算的なことを言うと、ヒロトがいると依頼の成功率が百パーセントだからな」


リグルはそう言って豪快に笑った。

バートンも笑って頷く。

正式に組みたいとは言っているが本気ではないのが分かる。


「実際僕達は運が良かっただけだよ。ロキの勧誘が白紙に戻った瞬間、他の人達が殺到してたしね」


彼等は打算的と言っているが俺はこの二人のことはキライじゃない。

そう、他の奴等はこの二人とは違う目をしていた。

俺個人ではなく能力が目的というのがありありと見て取れた。


別に能力目的って事は別にいい。

この世界じゃ力のある人と組みたいと思うのは当然のことだ。

ただ、逃がさないっていう目をされると目的のある俺達にとっては障害にしかならないんだ。


その分この二人はそれが無かった。

出会うときは出会う、別れるときは別れる。

そんな割り切る性分の二人だからこそ臨時とはいえパーティを組んだんだ。











ロキ達がギルドを出て行った後、床に叩きつけたかっちんを見下ろして、


「とりあえず、金を稼ぐぞ。今のままじゃ無一文で飯抜き野宿する羽目になる」


そう言って溜め息をついた。


床に大の字に倒れていたかっちんは無言で上半身を起き上がらせてうつむいた。


着ぐるみの所為で表情が読めないが、何やら考えているようだ。

そして頭を上げて、


《なあ、依頼は別々に受けないか……?》


そう言ってきた。

何時もふざけているかっちんとは思えない真面目な声で言ってきた事に、俺も真面目に聞くことにした。


「……理由は?」


《二つある。まず、お互い別々に依頼を受けた方が効率よく稼げる》


ギルドで依頼を受ける場合報酬額は一定であり、人数が多くても変わらない。

俺達二人は神様からチートをもらっているので、ある程度の依頼なら一人でもこなせるはずた。


確かに、と俺は頷いた。


《もう一つは、まぁ私用で自分の時間を作りたい》


「……真面目に言ってるんだよな? ふざけた用なら本気で怒るぞ?」


《安心しろ、今回は俺も真面目に考えて発言してる》


「わかった。好きにしろ」


そう言って俺はかっちんをそのままにして依頼書を取りにむかった。





…………今思えばその会話を周りに人がいる時にしたのが間違いだった。


その後ロキの勧誘が白紙になり、その上依頼は魔物?(かっちん)が居ないという話しが周りに知れ渡った事で、ダブルのギフト持ち(オレ)争奪戦が繰り広げられた事は言うまでもない。



そして、まぁなんやかんやあってこの二人と出会い、たまに一緒に依頼を受けるようになったと……。




で、現在ギルドに戻って精算し、一息ついたところだ。


「っと、新しい依頼とか増えたかな?」


そう言ってリグルはギルドで公開されている依頼書の束を取ってきた。


今はだいたい昼を少し過ぎたくらいで、まだ時間がある。

午前中に一つ依頼をこなしたが疲れる程ではなかったので、もう一つ受けようという事になったのだ。

 

依頼書を一枚一枚めくって確認していく。

俺とバートンも横から覗いて見る。


「ええっと。ゴブリン、グレイウルフ、角ウサギ、バレットボア。お、これならどうだ? オーク討伐!」


リグルが一枚の依頼書を手に取り俺達に聞いてきた。


「確かにオークは僕達には丁度いいですね。賛成です」


オーク討伐。

Dランクとしては難易度はそれほど高くは無い。

それに加えて報酬もランクアップポイントもそれなりにいい魔物だ。


俺もいいかな、と思った時。

その次の依頼書が目に留まった。


その時、俺は目を見開きその依頼書を掴んだ。


「お、どうした? いい依頼でもあったか?」


そう言ってリグルとバートンも俺の持つ依頼書を覗き込んだ。


「「!?」」


二人もその依頼書を見て息を飲んだ。


これは何なんだ!

何でこんな討伐依頼が!!


しばらくの間俺たち三人はその依頼書を見ながら呆然と立ち尽くしていた……。

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