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咲く

冬に咲く花火

作者: 佐藤佑

俺はいつものように科学室へ向かう。

俺が科学室に用があるわけではない。

ただ、俺のお隣さんで幼馴染の咲季(サキ)が科学部員で今日は一人で科学室を使っているだけだ。

だから、俺は科学室へ向かう。


・・・何か可笑しいか?


少なくとも俺には分からない。

なんでクラスの連中も先生も家族でさえも俺たちを冷やかすんだ?

幼馴染なんだから当たり前だと思うんだが・・・


まぁ、そんなことはどうだっていい。


今日は咲季が花火を見せてくれると言っていたんだ。

花火。すなわちfire。火!!

漢の魂が唸るぜ!!


そんなことを考えながら科学室の前に到着。

扉を開けて中に入ると・・・

顕微鏡をのぞきこむ咲季がいる。

いつも通りだ。


これ関連のこととなると咲季は全然応答しない。

さて、どうするか。


俺は何となく科学室の中を見渡してみる。

火薬らしきものは見当たらない。

ガスバーナーやアルコールランプも見当たらない。


花火は!?

漢の浪漫は!?


俺が愕然としていると咲季が目覚めた。

「・・・今までどこほっつき歩いてたの?

早くのぞいて。溶けるから・・・」

独特な喋り方と毒舌。

だがいつもにもまして俺への対応がひどくないかい?

焦ってる感じもする。

「何をそんなに急いでるんだっ!

(グイッ)

おいっ!!いきなり何する・・・!!!」


何が起きたって!?簡潔に説明すると・・・


急に引っ張られて体勢を崩す。

が、どこにも当たらずに済んで反論しようとしたが、

咲季がすぐ近くにいてすごく気まずい・・・のか?

とにかく喋れなくなった。

「どいて、早くしないと溶ける。」

「俺に触れられてると溶けるのか?イタッ!!」

何だろうな。咲季は無言の攻撃が多い。

今は噛まれた。

「氷の花火。」

咲季の説明を受けて納得した。

雪の結晶を見せてくれる約束だったんだと。

花火だと思ってた俺が・・・

「バカみたいだ。」

「・・・そう。」

あっ!!まずいだろ今の!!

「えーとその俺がバカみたいなのであって・・・」

「分かってる。期待してたものじゃなくて期待してた自分がバカみたいだと思ったんでしょ?」


・・・さすが咲季。

だてに俺の幼馴染してない。


「早くどいて。除いていいのは顕微鏡。」

残念な思考はしているが。


というわけで俺は咲季の上からどいて改めて(?)顕微鏡を除くことにした。

そこにあったのは・・・


「もう水になってるな。」

やはり溶けた水だった。

咲季はやはり落胆したようで・・・


んー、とりあえずなんかフォローしたいよな・・・。


「今度の夏に花火見に行こうぜ!!今度こそはどでかい花火が見れるように!!」

精一杯そういった。

すると咲季は寂しそうな嬉しそうな複雑な表情をして。

「今度こそは・・・ね。」


そういった。


そういえば・・・近場に花火大会はないし、

咲季と花火を見た記憶はないな。

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