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[全12話]神へと転生した魂は自称プリティーエンジェルと肉食求め旅をする。  作者: 安ころもっち


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第9話・ヒロイン争奪戦が始まった件

本日3本更新します。2本目。


 奴隷商の件で思わぬ注目を浴びた英二とニーヤは、無事に王都の冒険者ギルドへとたどり着いた。


 ギルドの内部は依頼を求める冒険者たちでごった返しており、虹くじゃドランゴ神な英二の珍しい姿にざわめきが起こった。


「ヘイ、そこのガール!」


 ニーヤは物怖じすることなく受付のカウンターへ駆け寄ると、派手なジェスチャーと共に叫んだ。


「この虹くじゃドラゴン神様が、新鮮で見た目も良いカッコイイ飛べる魔物、それも肉食な体を御所望だ!今すぐ依頼をっ!」


 受付の清楚なお姉さんは、あまりに唐突で無礼なニーヤの振る舞いにドン引きし、困惑した顔で固まってしまった。


 その様子を見ていた厳つい男たち数名が英二とニーヤを取り囲む。


「おいおい、何だその鳥もどきは?そしてエルフのガキ、変なこと言ってねぇで俺たちと遊ばねぇか?」


 英二はこれ以上に目立つことは避けたいと考えたが、ニーヤの無茶を通すには、ここで神の威厳を示すしかないなと考える。


 ドランゴの翼を大きく広げ、全身の神気を一気に解放した。


 ズンッ!


 強烈なプレッシャーがギルド全体にのしかかる。絡んできた男たちは、その場に崩れ落ち、頭を抱えて怯えていた。


 英二は静かに神気を収めると、受付のお姉さんに向かってその七色の顔を近づけた。


「すまないな。うちのバカが無礼を働いた。改めて依頼をお願いしたいが、良いかな?」


 英二は落ち着いた声で、明確に要望を伝えた。


「飛行可能で肉食の魔物。サイズは人の背丈より小さければ良い。そして、新鮮で傷が少なく、保存状況の良い亡骸を求めている」


 お姉さんは先ほどの神気に未だ体が震えながらも、どうにか依頼票を確認した。


「そ、そのような希少な素材の依頼となると、最低でも金貨百枚以上の保証金が必要です……」


 英二とニーヤは顔を見合わせた。


 ここにきて二人が無一文だということに気が付いた。


「仕方ありませんね!」


 ニーヤは無い胸を張り、受付にドゴンと手を叩きつけた。


「神徒たる私が、その金を用意して差し上げましょう!今すぐ私を冒険者として登録しなさい!そして、私が、この@ウリティーエンジェルナ私が、神様に相応しいドラゴンを狩ってきます!」


 お姉さんは、呆れを通り越して怒り始めた。


「だめです!登録はしますが、初心者がいきなり特級クラスの魔物討伐には許可できません!まずはこの森の薬草採取からお願いします!」


 怒涛の勢いで説教され、


 結局ニーヤは冒険者登録を済ませ、渋々薬草採取の依頼を受けることになっり、ギルドに備え付けの薬草図鑑を借りて、二人で近くの森へ向かった。


 森でお目当ての薬草を探していると、突如響く女性の悲鳴と唸り声。その声を元へと急行すると、数匹の狼が一人の少女に襲いかかろうとしていた場面と出くわした。


「危ない!」


 ニーヤが飛び出そうとした瞬間、狼たちはドランゴ神に視線が……、一斉に恐怖の声を上げ地面にひれ伏した。


 英二がその顔をくいっと横に振ると、狼たちはクォーンと鳴きながら一目散に逃げ去っていった。


 助けられた少女は驚いた顔で英二を見上げた。


「え、あの、ありがとう?大きな鳥さん?」


 少女は町に泊まらず森の外で野宿をしている冒険者だった。そんな彼女はすぐに英二に懐き始めた。


「あなたのその羽、とっても素敵ね!それにとても強いのね!私もあなたと一緒にいたい。仲間に入れて欲しいな?」


 少女は英二のドランゴの足をギュッと抱きしめた。


「ちょっとっ!このクソガキ!」


 ニーヤは慌てふためき、少女と英二の間に割って入った。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!神様の隣は私、プリティーエンジェルなニーヤ様の指定席なの!何よ、この子!ヒロイン候補なの?くっ、早くもヒロイン争奪戦が始まったわね!」


 ニーヤは一人で騒ぎ立てたが、英二が了承したことで、新たな旅の仲間を迎えることになった。


(仲間となることを許したのは、さっきからチラチラと彼女が意図的に見せている太ももに負けたからでは決してないんだ!)


 心の中で必死て言い訳を繰り返していたことを、ジト目で英二を見るニーヤには伝わるはずもなく……。暫くの間やや噴き出んなニーヤの愚痴を苦笑いしながら聞く英二だった。


 新たに加わった少女、ルルンと共に無事に薬草を採取し、ギルドへと戻る三人。


 その報酬はわずかな銅貨だった。その日の宿代に消える金額である。


「くっ……!この程度では神様の依代は依頼できそうにない……」


 そんなニーヤの嘆きは王都の夜空に消えた。


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