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彩光の詩 第7話【音と心の出会い】

・秋風そよぐ学園祭の余韻


 秋の涼やかな風に桜並木の紅葉がそよぐ霧咲高校。夕暮れのオレンジが校舎を染め、学園祭の熱狂が胸に響く。「NightReaverナイトリーヴァー」の雷鳴のようなハードロックが体育館を揺らし、颯の骨太なリフと怜の繊細なアルペジオが観客の心を掴んだ夜――あのステージは、青春の光を刻んだ瞬間だった。

 放課後の空き教室、ギターケースを肩に担いだ颯が、怜にニヤリと笑いかける。「なあ、怜、俺たちのライブ、かなりハマったよな? 観客のノリもバッチリだったし、最高のステージだったぜ。」彼のリーダーシップは、控えめながら怜を支える力強い柱だ。


 怜は前髪をそっとかき上げ、控えめな笑みを浮かべる。「うん…颯のリフ、めっちゃ力強かった。俺、必死でついていったけど…ステージ、ほんと緊張したよ。観客の視線、ドキドキだった…」 小さな声に静かな誇りが滲む。颯の支えがなければ、こんな大舞台に立てなかった。


 颯は豪快に笑い、怜の肩をポンと叩く。「だろ? 俺もちょっとドキッとしたぜ。ライブは燃えるけど、俺らには家でガッツリ音作りしてネットに上げる方がハマるよな。マイペースで突き詰められるしさ。」 颯の言葉に、静かな励ましが宿る。「うん、そうだね…」怜の瞳に穏やかな光が宿る。


「レコーディングなら、じっくり音を磨ける。俺、そういう時間、好きだな。」二人はライブの熱気を胸に、自宅レコーディングに打ち込む。颯の部屋に並ぶマイクとオーディオインターフェース、怜の繊細なミキシング、颯の新たなリフが響き合う。完成したハードロックのインスト曲は、シンプルなジャケットとともに動画サイト、TubeStreamチューブストリームにアップされた。人前は苦手な二人だが、コメントや評価が届くたび、胸が熱くなる。俺たちの音、誰かに届いてる…!


・心を揺らす旋律:彩花と怜の共鳴


 怜の心は、学園祭の舞台袖で見た「BlossomEchoブロッサムエコー」の演奏に揺れている。彩花のキーボードが紡ぐ星のようなメロディ、凛の情熱的な歌声。彩花さんの音…柔らかくて、芯がある…俺のギターと響き合う気がする…


 彩花が奏でていたのは、普及型のキーボード「KASHIMAカシマ TONEトーン CT61」――、家電量販店で手に入る機材で、タッチの感度が低く、繊細な表現は難しいはず。なのに、彼女の指先は観客の心を掴んだ。あの表現力、機材の限界を超えてる…どうやって…あんなに不思議な音を? 彩花の控えめな笑顔が、怜の胸に波を立てる。


 春の記憶――新学期のクラス替えで『佐藤 彩花』と呼ばれた少女の姿が、怜の心を揺さぶった。真面目で、静かな雰囲気…こんなに心が動くなんて… 彼女の微笑みが淡いときめきを刻む。彩花さんの音、もっと近くで聴きたい…


 彩花もまた、学園祭での怜の演奏を思い出し、心がざわめく。怜くんのアルペジオ…私のキーボードと似てる気がする… 9月の教室、怜は黒板を写しながら彩花を盗み見る。彩花さんの集中してる姿、輝いてる… 彩花は怜の視線に気づき、ペンを止める。怜くん、また見てた…? ちゃんと話したいけど、どうやって…?


・音楽室のハーモニー:運命の出会い


 夕暮れの音楽室、秋の夕陽が楽譜を茜色に染める。怜はエレキギターの弦を調整し、澄んだ音を確かめる。長めの黒髪が静かな顔を縁取り、華奢な姿が音楽そのもののようだ。そこへ、ドアがそっと開き、彩花が現れる。白い制服シャツが夕光を透かし、シルバーフレームのメガネが繊細な顔立ちを際立たせる。怜くん…! こんなところで…!? 彩花の心臓が跳ね、頬が熱くなる。


 彩花は勇気を振り絞り、恥ずかしそうに微笑む。「あ…ごめん、誰もいないと思って…。高橋…怜くんだよね? 『NightReaver』のライブ、すごかった。ハードロック、初めてちゃんと聴いたけど…胸を掴まれた気がして…」怜くんの音、私の心に響いた… 彼女の声に、緊張と期待が混じる。


 怜の顔がカッと熱くなる。彩花さんが俺の演奏を…!? 「え、ほんと? ありがとう…! 『BlossomEcho』のキーボード、めっちゃ良かった。星が降るみたいな音で…」彩花の頬が染まる。星が降る…? そんな風に思ってくれて…


 怜はさらに勇気を振り絞る。「あの、彩花さんのキーボード、ほんと華やかで…最初の曲のイントロ、フレーズの中で音色がキラキラ変わる感じ、めっちゃセンスいいよね。」彩花は目を丸くし、胸がドキリと高鳴る。え? あの一瞬の変化に気付いてたの…? 「ほんと…? そんな細かく聴いてくれて…ありがとう、怜くん!」メガネをそっと直し、驚きと喜びで声が弾む。怜くん、私の音をそんな風に…!


「怜くんのギターも、めっちゃかっこよかったよ。サビの後の繰り返しで、一回だけコードを外してるの、気づいたんだ。ハードロックってそういう技もあるんだね!」彩花の瞳が輝く


「マジ…!? ありがとう…」怜は照れ笑いを浮かべ、心臓がバクバクと鳴る。彩花さん、俺の音までちゃんと聴いてくれてる…! 「あの…彩花さんって、音楽もすごいけど、なんか…知的な雰囲気だよね。シルバーのメガネ、演奏してるときキラッて光って…めっちゃかっこいいなって…」


 彩花の頬がカッと熱くなる。「え…ありがとう…」怜くん、メガネのこと…そんなふうに… スカートの裾をそっと握り、恥ずかしさを隠す。「怜くん、優しいね…。なんか、嬉しいな…」メガネ、褒めてくれるなんて…怜くん、特別な感じ…


 怜の心臓がさらに高鳴る。「あの、彩花さん、今、練習するなら…ここで聴いててもいい?」「え、いいの?」彩花の瞳が明るくなる。「私、緊張しちゃうけど…怜くんに聴いてもらえたら、なんか自信持てそう。」彼女はそっと微笑む。


 彩花の指がキーボードを滑り、秋の風のようなメロディが響く。シンプルな電子楽器から発せられる音色が、星空のように音楽室を満たす。どうしてこんな表現力…? 彩花さんの才能、特別だ… 怜は目を奪われ、ギターを手に繊細なアルペジオで寄り添う。怜がギターを弾く前に、弦を軽く撫でる癖が、彩花の心に静かなリズムを刻む。まるで彼の音への愛情が、その仕草に宿っているようだ。


 キーボードとギターが織りなす音が、桜色の光で音楽室を包む。彩花の音、俺のギターとこんなに合う…! 彩花も心で呟く。怜くんのギター、私の音を輝かせてくれる…


 セッション後、彩花ははにかむ。「怜くん、めっちゃ楽しかった! キーボードとギター、こんなに合うなんて…」「うん、俺も…!」彩花さんと、こんな近くで… 彩花は微笑む。「また一緒にやろうね。怜くん、話しやすくて…なんか、特別な感じ。」この音、怜くんと一緒に、もっと遠くへ届けたい…


・音の秘密:新たな絆の予感


 セッション後、怜は彩花の笑顔を見つめる。あのキーボードで、どうしてあんな音が出せるんだ…? 彩花さんの音、まるで魔法みたい。何か秘密があるはず… 彼女の控えめな笑顔、キーボードに込めた想いが、怜の心を離さない。また話したい…彩花さんの音の秘密、聞いてみたい…


 彩花もまた、怜のアルペジオが脳裏に響く。怜くんの音、私の心を自由にしてくれる… セッションの余韻に浸りながら、彩花はそっと目を閉じる。この感覚、初めてじゃない。図書室で笑い合った中学時代の友人、彼女の温かな笑顔に初めて心が揺れた。そして、凛の情熱的な歌声に憧れ、彼女に心を開いた。怜くんは…三人目だ。こんな風に心を許せるなんて… シルバーのメガネが夕陽に光り、彩花の胸に新たな希望が芽生える。私の音、怜くんと一緒に、どこまで響くんだろう…? 彼女は新たな一歩を夢見る。いつか、怜くんと一緒に音を響かせることができたら…


・次回予告:第8話【揺れる心のメロディ】(9月5日【金】20:00公開)


 彩花の心が秋の夕暮れに揺れる! 少女時代の母との思い出が、内に秘めた勇気を呼び覚ます。新たなメロディを紡ぐ彩花に、謎のメッセージが届く。次回、「揺れる心のメロディ」、桜色のステージが青春の新たな光を照らす!

・コメントのお願い


 怜の淡いときめき、颯の控えめな支え、彩花の音色の謎、どの瞬間があなたの心を掴みましたか? 彩花と怜の新たな絆、どんな展開を期待しますか? ぜひコメントで教えてください!


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