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彩光の詩 第6話【開花の夜】

・秋の熱狂:ライブの余韻


 霧咲高校の校庭は、紅葉の桜並木が夕暮れの金色に染まる。学園祭の体育館は、観客の歓声と拍手の熱気が響き、スポットライトの余熱が彩花の心を温める。終わった…私、できたんだ…! でも、なぜか心がざわめく。あの音…怜くんのギターが、私の胸に響いた…


 舞台袖で、「BlossomEchoブロッサムエコー」の彩花は静かに佇む。パステルピンクのサテンシャツが照明の名残を映し、柔らかな光沢が細い腕を包む。黒いプリーツスカートが膝で揺れ、膝下丈の黒いブーツが控えめな足元を支える。シルバーフレームのメガネがロングヘアに縁取られた繊細な顔に輝き、内気な彩花の瞳は歓声の残響に揺れる。ステージは恐怖の海だった。失敗したら… そんな不安が心を締め付けたが、凛の情熱的な歌声と「Bloomingブルーミング Daysデイズ」のハーモニーが、彩花のキーボードを桜色の星空に変えた。凛の歌声…私の音…一緒なら、怖くない…!


 ライブ中、サテンの輝きがスポットライトに映え、動くたびに揺れる感触が彩花に勇気をくれた。この衣装、私に翼をくれた… 彩花の頬が赤らみ、胸に熱い鼓動が響く。BlossomEchoの演奏後、観客席から見つめた「NightReaverナイトリーヴァー」のステージが脳裏に浮かぶ。怜の繊細なアルペジオと颯の骨太なリフが体育館を揺らし、彩花の心を掴んだ。あのギター…私のキーボードと似てる気がする… 怜の静かな視線が観客席の彩花を捉えていたことに、彼女は気づかなかった。


・凛の情熱:絆の深まり


「彩花! めっちゃ最高だったよ!」 凛の弾ける声が舞台袖を切り裂く。赤いサテンシャツが汗と笑顔に輝き、黒いプリーツスカートが軽やかに揺れる。「『Blooming Days』、体育館揺らしたじゃん! 私たちの絆、絶対観客に届いたよ!」


 彩花は目を伏せ、唇を小さく動かす。「…ありがとう、凛。凛が引っ張ってくれたから、私、怖くても弾けた…。お客さんの歓声、ほんと…胸が熱くなった…」 私の音、届いたんだ… 初めての大舞台で、彩花は自分の音が響いた実感に震える。凛の輝きに隠れず、私も輝けた…凛は太陽のような笑顔で、「でしょ! この衣装、めっちゃ映えたよね! 秋の光にキラキラ光って、テンション上がった! 彩花のピンク、めっちゃ可愛かった!」と手を叩く。彩花の心がドキリと高鳴る。「…うん、綺麗だった…。なんか、別の自分になれた気がした…」


「はは、彩花ってほんと真面目!」 凛は笑い、彩花の肩をポンと叩く。「でも、音楽も衣装も楽しめたなら最高じゃん! 次はもっとデカいステージで、もっと輝こうよ!」

「うん…次も、絶対頑張る…!」 彩花は小さく頷き、心の中で叫ぶ。凛と一緒なら、怖いものなんてない…!


・ぎこちなさの極み:二人の距離


 体育館の外、秋の夜風が桜並木を揺らす。彩花と凛が舞台袖を出ると、「NightReaver」の怜と颯が談笑している姿が見える。怜の紺色のジャケットが月明かりに映え、ギターを肩に掛けた姿が静かな情熱を放つ。彩花の心がドキリと跳ねる。あのギター…怜くんのアルペジオ、私の心に響いた


 …「ねえ、彩花! 怜くんたちに感想聞いてみようよ!」 凛が彩花の手を引っ張り、勢いよく歩み寄る。「え、凛、ちょっと…待って…!」 彩花は慌ててシルバーフレームのメガネを直し、心臓がバクバク鳴る。怜くんと話すなんて…無理、恥ずかしい…!


「よ、二人とも、ライブ最高だったぜ」と颯が無骨に笑う。「BlossomEcho、めっちゃ盛り上げてたよな。」彩花はスカートの裾を握り、目を伏せて「……う、うん、ありがとう…」と呟く。怜の視線を感じ、顔がカッと熱くなる。怜くん…私のこと、見てる…!?


 怜はギターのストラップを握りしめ、俯きながら小さな声で言う。「…あ、彩花さんの…キーボード、よかった…。なんか、星みたいで…」 声が途切れ、怜は顔を真っ赤にして地面を見つめる。


 凛がクスクス笑い、「あはは、二人とも人見知りすぎ!」颯がニヤリと笑う。「お前ら、なんか初々しいな。まあ、ライブはどっちもバッチリだったぜ!」と場を和ませる。


 彩花はメガネの縁をそっと触り、心の中で呟く。怜くんの音、もっと近くで聴きたい…でも、こんなんじゃ話せない… 怜もまた、彩花の控えめな笑顔と知的なメガネ姿に目を奪われる。彩花さんの音…俺のギターと、いつか一緒に…? 互いを意識しすぎた二人の距離は、ぎこちなく、でも温かく残る。


・音楽室のざわめき:新たな一歩


 数日後、音楽室での練習中、秋の風が楽譜を揺らす。彩花はキーボードを叩きながら、ライブの余韻に浸る。あの夜、怜くんの視線が私の音を見つけてくれた…でも、ろくに話せなかった… 彼女は勇気を振り絞り、凛に言う。「凛…次のライブでも、またサテンの衣装、着たいな。なんか、自信が湧いてくるんだ…」


「マジ!? 彩花、めっちゃいいじゃん!」 凛は目を輝かせ、笑顔で手を叩く。「あのキラキラ、最高だったもん! ねえ、彩花、怜くんと話してみたら? 彼のギター、彩花のキーボードと絶対合うよ!」


「え、そ、そんな…!」 彩花は赤面し、心臓がドキリと跳ねる。怜くんと話す…? でも、あんなぎこちなかったのに… ふと、窓の外から微かなギターの音が聞こえる。あの音…怜くん? 彩花の瞳に希望の光が宿り、楽譜が秋の風に揺れる。どこかで…怜くんと、ちゃんと話せたら…!


・次回予告:第7話【音と心の出会い】(9月2日【火】20:00公開)


 学園祭の熱狂を胸に、「NightReaver」の怜と颯は動画サイトにオリジナル曲を投稿し、夢を追いかける。そんな中、秋の音楽室で、彩花と怜は初めてのセッションを交わす。凛の情熱が火花を散らし、颯の重低音が空気を震わせる中、彩花と怜の新たな物語が幕を開ける! 次回、「音と心の出会い」、青春のメロディが魂を揺さぶる!

・コメントのお願い


 彩花の初ライブの余韻、凛の情熱、怜とのぎこちなさ、どの瞬間が心に響きましたか? サテンの輝きや怜との次の展開、どんな期待がありますか? ぜひコメントで教えてください!

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