2nd GATE 第9話【霧咲の歌声】
この物語は、彩花の魔法に焦がれながら、それでも「自分の歌声」を諦めきれなかった一人の歌姫の、静かな闘いと、鮮やかな勝利の記録です。
プロになれなかったからこそ見えた景色。街角のギター一本で掴んだ、誰にも奪えない誇り。
そしてクリスマスの光の中で、彩花と交わした永遠の約束――
これは、彩花の影を抜け出し、自分の太陽になった、誇り高い歌姫の物語です。
・教育大での日々
霧咲の街は、春の柔らかな陽光に浴し、桜の花びらがそよ風に舞う。
20歳の栗本 凛は、教育大学で音楽教師を目指し、地味な勉強の日々に明け暮れる。
ショートカットの髪に、カジュアルなデニムのジャケットと赤いスニーカーが彼女の活発な性格を物語る。
だが、心の奥では、プロのスタジオミュージシャンとして眩く輝く彩花への羨望と、自分の道への焦りが交錯していた。
彩花…あんなに遠くで輝いてる…
私、こんな毎日でいいのかな…
霧咲教育大学のキャンパスは、静かな学び舎だ。
凛は音楽教育の講義に通い、教案作成やピアノの基礎練習に追われる。図書館で参考書を広げ、ノートにびっしり書き込む彼女の姿は、高校時代の「BlossomEcho」の情熱的な歌姫とは別人のようだった。
教師になるって、こんな地味なことの繰り返し…?
凛は自分の選択に誇りを持ちつつも、彩花の活躍をSNSで見るたびに心がざわつく。
彩花は、プロのスタジオミュージシャンとして数々のアーティストのレコーディングやライブサポートに参加し、「彩花の魔法」として業界で名を馳せていた。彼女のSNSには、スタジオでの笑顔や有名アーティストとのツーショットが溢れる。
彩花…高校の時、音楽室で一緒に夢見てたのに… 今、こんなに遠くに…
凛は彩花を羨む自分に気づき、私の歌声だって、誰かに届くはず…! と拳を握る。
ある春の夜、寮の部屋でテレビを眺めていると、全国放送のカラオケ番組「Melody Star」の募集広告が目に飛び込む。
「あなたの歌声で、スターの座を掴め!」というキャッチフレーズに、凛の心が燃えた。
これだ…! 私の歌、みんなに聴いてもらいたい!
彩花の輝きに触発され、凛は一念発起。応募フォームに「BlossomEchoの元ボーカル、栗本 凛」と書き込み、挑戦を決意する。
・カラオケ番組:試練の第一歩
「Melody Star」の第一次審査は、凛にとって追い風だった。
応募ビデオに、霧咲シティプラザでの「BlossomEcho」のストリートライブ映像を送ったところ、審査員が「アマチュア時代の佐藤 彩花と共に作り上げた情熱的なステージ、素晴らしい!」と高評価。
彩花…あの時の私たちの音、こんな形で活きた…!
凛は、彩花との絆を胸に、第一次審査を突破。だが、スタジオでの本選は、彼女に新たな試練を突きつける。
予選会場は、東京の無機質なスタジオだった。
凛は赤いサテンシャツに黒のスキニージーンズ、ショートカットの髪を軽く整え、マイクを握る。
「BlossomEcho」では、彩花のキーボードと観客の熱気が彼女の歌声を支えたが、ここでは電子音の伴奏と冷たい照明だけ。
生演奏は禁止…ギターをかき鳴らして気持ちを鼓舞することもできない…
心臓がドキドキと高鳴る。
凛が選んだのは、情感豊かなバラード「Fading Tide」。
だが、メリハリのない曲調と機械的な電子音に、凛の力強い歌声が浮いてしまう。
この音、私の声と合わない…!
予選ではぎこちないパフォーマンスになり、審査員のコメントが突き刺さる。
「歌は悪くないが、伴奏と合っていない。もっと君の世界観を響かせて!」
世界観…? 私の歌、ダメだった…?
――ギリギリの通過。
凛はスマホを握りしめ、胸が締め付けられた。
彩花…あの時の私たちの音、評価されたのに… でも、私一人じゃ、足りないってこと…?
――このまま二次予選に行っても、確実に落ちる。
楽屋で一人、凛はマイクを握りしめ、壁に額を押しつけた。
彩花なら、どうしただろう。彩花はいつも、失敗しても鍵盤を離さなかった。
あの音楽室で、指が震えても、音を鳴らし続けた。私も……負けられない。
凛は寮に戻り、夜通し、鏡の前で練習。伴奏の電子音に負けぬよう、声を張り、息をコントロール。
サビで感情を爆発させ、バラードの静かな部分で心を込める。
喉が枯れ、涙で鏡が曇る。
ふと、凛の隣に、キーボードを優しく弾きながら、恥ずかしそうにメガネを直す彩花の姿が、幻のように浮かんだ気がした。
あの霧咲のストリートライブ、彩花の音が私を自由にしたように。今、私の声で、自分を自由にする。
二次予選の本番。
凛はステージに立ち、深呼吸。電子音が流れ始める。
凛の声が、静かに、しかし力強く重なる。伴奏の冷たさを、凛の熱い感情で溶かす。
サビで声を張り上げ、全身で歌う。
観客の目が、変わった。拍手が、雷鳴のように響く。
凛の心に火が灯る。私の歌、届いてる…! 勢いに乗り、凛は準決勝に進んだ
準決勝前には「霧咲の歌ウマ女子大生 栗本 凛」として1分間のPVが放映された。
PVには「BlossomEcho」のストリートソニックの映像が挿入され、霧咲シティプラザで彩花のキーボードと凛の歌声が響き合う姿が映し出される。
彩花…あの時の私たち、こんなに輝いてた…
凛はPVを見て、彩花との絆を胸に、決勝への意気込みを新たにする。
・決勝、魂の叫び
当日、スタジオは熱気と緊張に包まれる。
凛は再び「Fading Tide」を選び、赤いサテンシャツが照明に輝く。
彩花の音はいない…でも、私の声で、誰かを動かしたい…!
無機質な電子音に負けず、凛は全身で感情を放出。
サビで声を張り上げ、会場を圧倒する。私の歌、霧咲からここまで来た…!
彼女の歌声は、青春の情熱、彩花との絆、未来への希望を乗せ、スタジオを震わせる。
観客の拍手が雷鳴のように響き、スタジオが揺れる。だが、決勝ともなると出場者のレベルは高く、誰が勝ってもおかしくない状態。
結果、声楽一家の英才教育を受けた22歳の男性が優勝し、凛は優勝を逃す。
凛は楽屋で一人、マイクを握りしめたまま、壁に額を押しつけ、震える息を吐いた。
優勝……逃した。
あの男の歌声が、まだ耳の奥で完璧に響いている。
音程は、まるでレーザーで刻まれたように、寸分の狂いもない。リズムは、メトロノームすら恥じらうほどに正確で、息継ぎすら計算され尽くした完璧な流れ。
声楽一家の英才教育――幼児期から叩き込まれた、人間の限界を超えた正しさ。
凛の歌は、どれだけ心を込めても、どれだけ魂を削っても、あの『完璧』の前では、ただの『乱れ』にしか見えなかった。
完璧なテクニックで、完璧に負けた。
凛はマイクを握りしめたまま、膝から崩れ落ちた。マイクが床に落ち、乾いた音が楽屋に響く。
「私の歌、誰にも届かなかった……」
――そして、声を出して泣いた。
嗚咽が、喉から溢れ、楽屋の壁にぶつかり、跳ね返る。涙が止まらない。悔しくて、悔しくて、胸が張り裂けそう。
拳で壁を何度も叩き、赤いサテンシャツが涙で濡れる。
脳裏に、母の病床が蘇る。
かすれた声で、痩せた手で凛の手を握り、母・紅音が言った。
「あのガールズロックの祭典『Crimson Siren』に、一度でいいから立ってみたかった……」
あのときの約束に向かって、また一歩を踏み出せると思っていたのに。
凛は声を上げて泣いた。
「母さん……ごめん……! 私、届かなかった……! 母さんの夢、叶えられなかった……!」
嗚咽が、楽屋を震わせる。
――私、こんなところで終わっていいの?
凛は拳を握りしめ、涙で床を濡らした。でも、審査員の最後の言葉が、耳に残る。
「栗本 凛さん、あなたの歌は、心を直接揺さぶるものがありました。テクニックでは及ばなかったけど、あの個性と情熱は、誰にも真似できない」
凛はゆっくり立ち上がった。
「……違う。私の歌は、負けてない」
悔しさは、凛の胸の奥で、新しい炎に変わった。
凛は鏡に映る自分に呟いた。
「母さん……見てて。私、凛の音で、世界を変えるよ。テクニックじゃなく、心で勝負する。彩花みたいにプロになれなかったけど、私は私の音で、誰かの心を救う。一生、歌い続ける。――母さんの炎を、永遠にするよ。それが、私の勝利」
涙で顔を濡らしながら、鏡の中の自分に、拳を突き上げる。
その時、彩花からのメッセージが届く。
「凛、テレビ見たよ! めっちゃカッコよかった! あの歌声、霧咲のストリートソニックそのものだったよ! 怜、優奈、美織も応援してたよ。凛はみんなの誇りだって!」
添付された映像――霧咲シティプラザのストリートライブ。彩花のキーボードに寄り添い、凛が全力で歌う姿。
あの笑顔、あの熱気。
凛の涙が、悔しさから、誇りへ、喜びへ変わる。
彩花…! みんな…私の歌、聴いててくれた… 私、一人じゃなかった…!
凛はスマホを握り、心で叫ぶ。
・新たな輝き
派手な衣装はもう封印した。
凛はシンプルな白いトレーナーとデニムパンツで、アコースティックギター一本、霧咲シティプラザの地下街に立つ。
大学の講義後、週末の夕暮れ。凛はギターを手に歌う。
オリジナル曲「Luminous Harmony」は、彩花との青春や霧咲の星空をテーマにした情感豊かなバラード。
そこに、凛が愛するアニソンや人気曲のカバーを織り合わせ、聴衆を魅了する。
彼女の歌声は街灯に輝き、通りすがりの人々を立ち止まらせる。
若者や家族連れが足を止め、拍手が響く。
人気アニソンのカバー「The Angel Is Ruthless」は、アニメファンや外国人観光客の心を掴み、SNSのコメント欄には「霧咲の歌姫、最高!」と絶賛が並ぶ。
凛はプロの歌手になる道を選ばなかったが、彼女の歌声は地域の音楽シーンで輝きを放ち、霧咲の街に新たな旋律を刻む。
ある夕暮れ、凛は霧咲シティプラザの地下街に立ち、アコースティックギターを手に、静かに「Luminous Harmony」を弾き始めた。
弦を爪弾く指先が、夕陽に染まる街灯に照らされ、凛の声が、優しく、でも力強く響く。
「あなたの涙が、鍵盤に落ちるそのとき、ずっと ずっと 響き続ける……」
凛の歌声は、霧咲の街に溶け込み、通りすがりの人々を立ち止まらせる。
そして、歌い終えた瞬間―― 人だかりの後ろから、小さな声が聞こえた。
震える声、でも確かに、凛のメロディに寄り添うように。
凛は驚いて振り返った。
そこに立っていたのは、小柄で黒髪のボブ、大きな瞳が涙で揺れる少女だった。
長い睫毛に涙が光り、頰を赤らめた少女は、恥ずかしそうに、でも必死に、凛の歌のサビを、小さな声で歌っていた。
凛の胸が熱くなる。
少女は歌い終わると、震える足で凛に近づき、涙をこぼしながら言った。
「お姉さん…! あの歌『Luminous Harmony』、めっちゃ心に響いた! 私、『Melody Star』見てたんですけど、お姉さんが絶対優勝だと思ってた! あの決勝の『Moonlit Waves』涙出ちゃった…!」
少女は続ける。
「私…いじめで声が出なくなって… 歌うのが大好きだったのに、怖くて… でも、お姉さんの歌聴いて、また歌いたいって思えたんです…!」
凛は少女の純粋な瞳に驚き、優しく微笑む。
この子、私の歌で…!
「ありがとう! 優勝は逃しちゃったけど、君がそう思ってくれて嬉しいよ。君の夢、絶対叶うよ。歌って、君だけの音を響かせて!」
少女は目を輝かせ、頰をさらに赤らめて続ける。
「お姉さんの声、霧咲の街みたいに温かくて…私、もっと歌の練習します! またここで聴かせてください!」
凛の胸が熱くなり、少女の頭を優しく撫でる。「約束だよ! 私も、君の歌声、いつか聴きたいな。ね、名前教えてよ。」
少女は少し照れながら答える。
「莉子…です!」
凛は微笑み、「莉子ちゃん、か。いい名前だね。また会おう!」
私の歌、誰かの夢に繋がった…
莉子は小さく頷き、笑顔で去っていく。その後ろ姿に、凛は自分の青春を重ね、かつての情熱が再び燃え上がる。
――私は、彩花の音に救われた。だから私は、自分の音で、誰かを救う。一生、歌い続ける。彩花が私の音を光に変えてくれたように、私も誰かの音を、光に変える。
・イブの夜、誇りと再会
大学卒業後、凛は音楽教師として霧咲の高校に赴任。
生徒たちに歌の楽しさを教え、吹奏楽部を全国大会に出場させることを目標に、新たな道を見つけた。
教室で教案を書きながら、凛は「Melody Star」のステージを思い出す。
あの時、彩花の輝きに焦ったけど… 私、凛の音を見つけた… 彩花、私たちの音、ずっと繋がってる…
24歳となったクリスマスイブの夜、霧咲シティプラザの地下街は、天井から降る光ファイバーの星と、柔らかなクリスマスツリーの灯りに包まれ、温かなロマンチックな空間に変わっていた。
凛は教師らしいカジュアルなスーツに身を包み、ギターを手に立つ。
久しぶりの弾き語り…
クリスマスソングを歌おうと、スマホでオケを流していたが、突然フリーズして音が止まる。
「あれ? なんか上手くいかないので…ごめんね、オリジナル曲やれってことかな?」
凛は可愛らしく笑い、集まった観客に説明。
光の星がギターの弦に反射し、凛は「Luminous Harmony」を弾き語る。
クリスマスの賑わいの中、通りすがりのカップルや家族連れが足を止め、温かな拍手が響く。
突然、背後から一際大きな拍手と、聞き覚えのある声が響いた。
「凛……またここで、あなたの歌が聴けるなんて……」
振り返ると、彩花が立っていた。
シルバーフレームのメガネ、黒いビジネススーツに包まれた仕事帰りの姿。でも、そこには高校時代の変わらない笑顔があった。
凛の目から、涙が溢れた。
「……彩花……」
彩花も、目を潤ませて近づく。二人は、言葉を失って、ただ見つめ合った。
彩花は続ける。
「凛、変わらないね。その情熱、テレビに出た時もバッチリ伝わってたよ。」
彼女はスマホを取り出し、画面に映る「BlossomEcho」のストリートソニックのポスターを見せる。
「ほら、美織のポスター覚えてるでしょ? 今でも私の待ち受けなの。」
彩花の声は優しく、まるで高校時代の音楽室での秘密の語らいを思い出すようだった。
凛の目から大粒の涙が溢れ、彩花を抱きしめる。
「彩花…ありがとう! 彩花の音が、私をここまで連れてきてくれた…!」
彩花も、涙で笑った。「凛……私こそ。凛の歌声が、ずっと私を支えてくれてた」
光の星が、二人の周りを優しく包む。
彩花が涙を拭いながら、照れ臭そうに笑った。
「ねえ、凛、あのストリートソニックの続き、しちゃおうか?」
その提案に、凛の顔がパッと輝く。
「彩花、相変わらず無茶言うね! でもさ、そのノリ、嫌いじゃないよ! やっちゃおう!」
無邪気に笑う凛は、17歳の女子高生に戻っていた。
凛はギターを手に取り、弦を軽く爪弾きながら彩花にウィンク。
「よし、彩花! 『Winter Glow』、いくよ!」
彩花はスーツのジャケットを脱ぎ、ソフトケースからショルダーキーボードを取り出して肩に掛ける。
凛はニヤリと笑い、弾けるような声で茶化す。
「彩花って相変わらずあざといよね、そのメガネスーツ! 仕事人ぶってるのに可愛すぎるんだって! ずるいよ、こんなの反則!」
凛は笑いながら、自分もジャケットを脱ぎ、彩花の足元に勢いよく投げ捨てた。
二人は、高校時代の音楽室でそうしていたように、制服の上着を脱ぎ、本当の自分をさらけ出した。
凛の力強い歌声と、彩花の柔らかなハーモニーが地下街に響き、次第に人だかりができていく。
――高校二年の春、桜の下。凛がギターを弾き、彩花がミニキーボードを鳴らした。
あの時、二人は「この音を多くの人に届けよう」と夢を語り合った。
二人の音が重なり、桜の香りと共に永遠の約束のように響いた。あの瞬間が、今、地下街の光の中で鮮やかに蘇る。
彼女たちの歌声は、まるで高校時代の情熱がそのまま蘇ったように力強く、しかしどこか優しく、聴く者の心を揺さぶる。
演奏の後、観衆の中から若者が駆け寄り、興奮気味に話しかける。
「中学のとき、ここでBlossomEchoのライブを見たんです! それから僕もギターを始めて、今、初めてライブに向けてバンド頑張ってるんです! また聴かせてください!」
凛は笑顔で頷き、胸が熱くなる。彩花は凛の手をぎゅっと握り、優しく微笑んだ。
「凛…あの時と同じだね。私たちの音、ずっと繋がってる。」
凛は涙を拭いながら、震える声で答える。
「彩花…私、彩花の音に救われた。でも今は――」
彩花がそっと先を促すように目を細めた。
凛は胸を張り、はっきりと告げた。
「今は、私の音も誰かを救えてるって、信じられる。だから私は、一生歌う。彩花の音が光なら、私の音は、誰かの闇を照らす灯になる」
彩花の瞳が潤み、二人は顔を見合わせる。
言葉はいらなかった。
ただ、静かに息を合わせて、ふたり同時に口を開いた。
「私の音は、みんなの心と共にある。」
同じ言葉が重なった瞬間――天井から降る光ファイバーの星が瞬き、クリスマスツリーの灯りがふたりを優しく包み込んだ。
地下街に響く小さな歓声と拍手が、遠くで教会の鐘のように聞こえた。凛は思った。
――これ以上のクリスマスプレゼントなんて、きっと一生ない。
彩花は凛の頬にそっと手を添え、涙声で笑った。
「メリークリスマス、凛。今年のプレゼントは、私がもらっちゃったみたい。凛の歌声がなかったら、魔法なんて完成しなかった…… ありがとう!」
凛も涙をこぼしながら抱きしめ返す。
「私も…彩花に会えたことが、最高のプレゼントだよ。私も、彩花の音がなかったら、ここに立てなかった…… いつかまた、大きなステージで一緒に歌おう。私の歌で、彩花の魔法を、もっと遠くまで届けるから」
彩花が涙で頷く。
「うん……約束」
光の雪が降り続ける中、二人の青春は永遠に結ばれた。
――霧咲で一番美しいクリスマスの夜に。
凛の歌声は、彩花の魔法を光に変えた。
霧咲の街に、永遠に響き続ける旋律が、今、確かに生まれました。YouTubeでは、凛が歌う「Luminous Harmony」を公開中です。あの音楽室で生まれた旋律が、凛の声で再び輝きます。
ぜひ、耳を澄まして聴いてみてください。
↓↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=CjVzMvbD_wQ
次回予告:彩光の詩 第二部 第10話(最終回)彩花の魔法(12月23日【火】20:00公開)
初夏の霧咲、桜の散った新緑がそよぐ。スタジオミュージシャンとしての活動を軌道に乗せた、23歳の彩花が、ハードロックバンド「Blaze Horizon」のレコーディングで新たな境地に挑む。高校時代の音楽室、怜や凛との絆が、「彩花の魔法」を生み出す。
彼女の魂の音は、どんな星空を響かせるのか? 「彩光の詩」第二部、感動のフィナーレ!




