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彩光の詩 ~Eternal Echoes~  作者: 絹咲 メガネ
彩光の詩 2nd GATE ~Luminous Harmony~
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2nd GATE 第6話【心の旋律 優奈の癒し】

 この物語は、彩花の音を“一番近くで救われた”少女の視点で語られます。中学の図書室で始まった、たった一枚のメモ。雪のカフェで交わした、たった一つの約束。


――「優奈ちゃん、ずっと友達だよ!」


 彩花の音が、優奈の心の闇を照らした日から十年。今、優奈は同じように傷ついた少女たちに、光を届けようとしています。

 

 これは、彩花の魔法が“癒し”に変わるまでの、優しくて少し切ない物語です。


(本文にはGrokによるAI生成イラストの挿絵を挿入しております)

挿絵(By みてみん)


・湖と光の記憶


 霧咲の街、秋の夕陽が湖面のように揺れる。


 22歳の心理カウンセラー・中村優奈は、かつて彩花の「BlossomEchoブロッサムエコー」を支えた、図書室のメモと笑顔をくれた少女だった。


 中学時代、転校先で孤独に沈んだ優奈を救ったのは、彩花の音だった。


Autumnオータム Whisperウィスパー」を聴いたあの夜、優奈は初めて、自分の涙の意味を知った。


 それが、優奈が心理学を学び、人の心を癒す道を選ぶ、最初の光だった。


――そして今、優奈は自分のワークショップ「Harmonyハーモニー Havenヘブン」で、彩花の音を「光」に変える日を迎えようとしていた。


・誰とも話せなくなった秋


 高校2年の秋。転校先の教室の片隅で、優奈はもう誰とも話さなくなっていた。笑顔を失い、授業が終わるとすぐに帰宅し、部屋の電気も点けずに、ヘッドホンだけを耳に押し当てていた。


「癒される音楽」で検索して、たまたま見つけた動画。


 ――Crystalクリスタル Veilヴェール「Autumn Whisper」


 静かなピアノのアルペジオが流れた瞬間、優奈は息を呑んだ。


 ……懐かしい。霧咲中学の図書室。


 夕陽に染まる窓辺で、眼鏡の少女が恥ずかしそうに微笑んでくれた。


彩花……


 次の瞬間――優奈の胸の奥に、「彩花に会えない」という空白が襲い掛かる。


 息ができなくなった。


 図書室の夕陽、彩花が「優奈ちゃんの笑顔、元気出るよ」と言ってくれた笑顔が、音と一緒に、優奈の胸を抉った。


「彩花ちゃん……どこにいるの……?」「なんで、私を置いてったの……?」


 優奈はヘッドホンを投げ捨て、布団に顔を埋めて泣き叫んだ。


 でも、涙が枯れる頃、ふと、気づいた。


 この音は、私を責めてるんじゃない。


 私の心の奥に、ずっと蓋をしてた「彩花がいない寂しさ」を、優しく、でも確かに教えてくれてる。


 優奈は震える手で、もう一度ヘッドホンを耳に当てた。同じフレーズが流れる。


 今度は、痛みと一緒に、図書室の夕陽の温かさが、確かに戻ってきた。


 優奈は初めて、自分の心と向き合えた。


 ヘッドホンを胸に押し当て、小さく、でも確かに呟いた。


「……ありがとう」


 誰に向けた言葉か、まだわからない。


 でも、この音の主は、きっと、私と同じように傷ついて、それでも誰かを照らそうとしてる人だ。


 ――いつか、この人に会いたい。会って、きちんと感謝の言葉を伝えたい。


 その想いが優奈の心に、初めての、小さな、でも確かな光を灯した。


 これが、優奈が心理学を学び、カウンセラーになる最初の、奇跡の一滴だった。


 そして、その僅か数か月後、雪の降る霧咲の街角で、優奈は、その光の主と再会する。


 ・レジの向こうに、春がいた


 その翌年、3年ぶりに霧咲に戻った優奈は、雑貨店のレジで働く。


 優奈の手が止まった。


 客が差し出したのは、あの図書室で交わした桜柄の便箋…。


 顔を上げると、目の前の客の少女が、シルバーフレームのメガネを光らせ、懐かしそうに微笑んでいる。――彩花だった。


 優奈の心臓が、止まるかと思った。


「ねえ…彩花? 彩花だよね?」彩花が驚いて顔を上げる。


「優奈!? うそ…ほんと、優奈なの!?」二人は、言葉を失って、ただ見つめ合った。


 優奈の瞳に、涙が溢れた。「……この2年、ずっと探してた」


 彩花も涙をこぼす。「私も…優奈に、会いたかった…!」


 優奈は、震える声で、でも優しく言った。


「もう、ちゃん付けでなくても良いよね。だって、私たち、もう子供じゃないから」


 彩花は涙で笑った。「うん……優奈」その瞬間、2年越しの空白が、一瞬で埋まった。


「彩花に会えなくて、寂しくて、泣いた夜もあったけど…… でも、彩花の笑顔を思い出すたび、頑張れたんだ」


 彩花が、息を呑む。


 優奈は微笑み、そっと彩花の手を握った。「また、話したい。ゆっくり、たくさん」二人は連絡先を交換し、「今度、カフェで!」と約束する。


・ カフェ「ルミエール」での奇跡


 カフェの窓際、雪が舞う。優奈は恥ずかしそうに、スマホを取り出した。


「……実は、私、彩花に会えない間、ずっとこの曲を聴いてたんだ」


 画面には、Crystal Veil「Autumn Whisper」彩花の目が、大きく見開かれた。


「これ……!?」優奈は頷き、涙をこぼしながら笑った。


 彩花は、震える手でスマホを見つめ、涙で崩れ落ちそうになりながら、かすれた声で呟いた。


「優奈……私の音、ちゃんと届いてたんだね……」


 彩花は続ける。「優奈…… 私だったんだ…… 『Crystal Veil』って、私と……彼氏の怜とやってるユニットで……」


 優奈が、目を丸くする。「えっ!? 彩花が!?」彩花は頷き、涙で笑った。


「うん……そのときにもらったコメント。『ユウナ』って名前見て、もしかしてって、ずっと気になってた……」


 優奈は、涙をこぼしながら、優しく、でも確かに言った。


「彩花の音は、私の心を優しく包んで、ちゃんと“ここにいて”って教えてくれた。だから私、立ち上がれたの」


 彩花は嗚咽をこらえ、優奈の手を強く握り返した。


「優奈……ありがとう。私の音が、優奈を支えてたなんて……」


 二人は2年越しの再会に、涙を流す。


・あの冬の夜から、今へ


 時は流れ、22歳となった優奈はスマホを胸に押し当て、静かに目を閉じた。


 あの冬の夜の涙が、今、頬を伝う涙と重なった。


 でも、もう違う。あのときの涙は、孤独だった。


 今の涙は、誰かを救うための、光だ。優奈はゆっくりと目を開け、鏡の中の自分を見つめた。


「彩花…… 今度は、私が君の音を、光に変える番だ」


・君の音を、光に変える日


──そして今、秋の朝。コミュニティホール。


 カメラが並び、ライトが優奈を照らす。


 ディレクターがマイクを向ける。「優奈さん、このワークショップを始めたきっかけは?」


 優奈は、穏やかに、でも確かに答えた。


「中学のとき、親友の音に救われたんです。その音は、優しすぎて、私の心の奥に隠してた寂しさを、そっと教えてくれました」


 優奈は続ける。


「その寂しさと向き合えたから、私は心理学を学び、今、ここに立てています。だから今度は、私が、その音を誰かの心を温める光に変えたい」


 ディレクターが、声を震わせて問う。


「その親友が、スタジオミュージシャンの佐藤 彩花さん…… 今日ゲストで来てくれるんですよね?」


 優奈は、涙をこらえながら、静かに頷いた。


「はい。彩花の音は、私の人生を変えた。彼女の音は、言葉じゃ届かないところに届くんです。脳科学でも、音楽は感情の奥底に直接響くって言われてる。」


 優奈は続ける。


「だからこそ、怖いときもある。でも、私が傍にいれば、その音は、誰かを傷つける刃じゃなくて、誰かを癒す光になる。今度は、私がその音を、誰かの人生を変える光にする番です。」


 ホールの入り口で、その言葉を聞いた彩花が、涙を浮かべながら静かに微笑んでいた。


 彩花の瞳に、優奈への感謝と、自分の音への確信が、確かに灯った。


・音楽療法のワークショップ:心の葛藤


 ワークショップ当日、霧咲のコミュニティホールは秋の光に包まれる。


 優奈は、SNSのプレッシャーに悩む若者たちを温かく迎える。


 彩花は白いブラウスに黒のスカート、シルバーフレームのメガネが知的な美しさを引き立てる。


 優奈は緊張を隠し、マイクを握る。


「今日、特別なゲスト、彩花さんを紹介します。彼女の音は、私の心を救ってくれた。きっと、みんなの心にも響くはず」


 彩花はキーボードの前に座り、微笑む。「優奈の夢と私の音が重なったとき、心が自由になりました。今日は、その自由を感じてください」


「Autumn Whisper」が流れ、透明なメロディがホールに響く。


 優奈は参加者にタンバリンやマラカスを配り、「この音に、気持ちを重ねてみて」と促す。リズムがみんなの心を繋ぎ、言葉じゃ伝えられない想いを表現する。


 だが、参加者の少女、高校1年生の莉子は、固い表情でタンバリンを握ったまま俯く。


 小柄で黒髪ボブ、大きな瞳が涙で揺れる儚い少女だった。


 中学2年、クラスで共有する通信アプリで「莉子の歌、キモい」「ブスが調子乗んな」との悪口がエスカレートし、学校を休むようになり、鏡を見るたび「私は価値がない」と自己否定に陥った。


 SNSの悪意で声を失った莉子りこは、誰かと話せば秘密がばらされ、笑いものにされるのではないかと怯え、心を閉ざしていた。


 この人たち…本当に信じていいのかな… 自分の思い込みが、彼女をさらに孤立させる。


 優奈は一瞬、転校後の自分と莉子を重ねる。知らない教室で、誰も話しかけてくれなかったあの冬… 彩花の音に、心を抉られたあの夜…優奈は勇気を振り絞り、莉子のそばに歩み寄る。


「莉子さん、音を出すのが怖いよね。私も、昔、誰とも話せなかった。…でも、彩花の音が、私を救ってくれた。少しだけ、試してみない?」優奈の声は震えるが、優しさに満ちていた。


 莉子は優奈と彩花のやりとりを見つめ、彼女たちの絆に心を動かされる。


 人を信じたい…少しだけなら…莉子は無言でタンバリンを握ったが、手が震えて床に落としてしまった。


 金属音がホールに響き、参加者たちが一瞬息を止める。


 莉子は心の中で呟いた。やっぱり…私、ダメだ…


 優奈はそっとそれを拾い上げ、優しく微笑んだ。


「大丈夫。音は、落ちてもまた鳴るよ」


 彩花もキーボードを止め、穏やかな声で続けた。


「私も、昔、自分の音が嫌いで、鍵盤を叩くたびに指が痛かった。でも、ある人が言ってくれたの。『彩花の音は、傷ついてる人ほど、ちゃんと届くんだ』って。だから莉子さん、君の音は、絶対に誰かを救うよ」


 莉子は涙を堪え、再びタンバリンを握りしめた。今度は、微かだが確かなリズムが彩花のメロディに重なる。


 この音楽…私の心に触れてる…抑えていた涙が溢れ、胸が熱くなった。


 彩花は莉子の涙に気づき、キーボードから立ち上がった。


「莉子さん…君の涙は、魂の歌だよ。このリズム、君の心そのもの… 一緒に鳴らそう」彩花は莉子の手を取り、タンバリンを叩いた。


 私も、昔、涙で溺れそうだった…でも、音楽が私を救った…


 莉子は小さく頷き、初めて微笑む。長い睫毛に涙が光り、儚い顔立ちが柔らかく輝く。


 彼女のタンバリンが、彩花のキーボードと共鳴し、ホールに希望の音が響く。


 参加者たちが次々とマラカスやタンバリンを手に取り、即興のセッションが始まる。みんなの音が一つになり、莉子の心も少しずつ開く。


 テレビカメラがその瞬間を捉え、優奈の心は高揚する。莉子…君の音、私たちの絆…優奈は、涙をこらえながら、彩花を見つめた。


 ――彩花。君の音は、もう誰かを傷つけない。私が、君の音を、光に変えた。


 ・試練の果て:莉子の告白


 ワークショップ後、ホールは静かな余韻に包まれていた。莉子が、震える足で優奈に近づく。


 ポケットから取り出した手紙を、両手で差し出す。


 優奈が受け取ろうとすると、莉子はそっと優奈の手を握り、目を伏せて、小さく頷いた。言葉の代わりに、想いを託したようだった。


 優奈の目が潤む。「莉子さん……ありがとう」手紙を開くと、莉子の震える字で、かつての優奈と同じ涙が綴られていた。


『中学のとき、みんなに無視されて、鏡を見るのも怖くなった。SNSの言葉が頭から離れなくて、夜毎泣いてた。歌うのが大好きだったのに、声が出せなくなった。でも今日、音を出せた。優奈さんの優しさと彩花さんのメロディが、私の闇を照らした。ありがとう…… また、歌いたいです』


 優奈は、涙をこぼしながら、莉子を抱きしめた。


「莉子さん……君の音、ほんとにきれいだった。君の勇気が、私にも力をくれた」


 彩花もそっと近づき、莉子の肩に手を置いた。「莉子さん……君の音、私も救われたよ」


 莉子は涙を拭い、初めて、小さな、でも確かに、声を出した。


「……私、歌を、歌うのが好きだったんです。また、歌えるようになりたい……」


 その瞬間、莉子の声はまだ震えていたけれど、優奈の耳には、遠い春の風に乗って届く、優しく澄んだ歌声の予感がした。


 きっとこの少女は、失った旋律をもう一度取り戻し、霧咲の街に新しい光を灯す――。


・プロとしての挑戦:彩花の開花


 ワークショップの成功は、優奈と彩花を、本当のパートナーにした。


 彩花にとって「Harmony Haven」は、スタジオミュージシャンとしての受動的な役割を超えた、初めての“誰かを救うための音”だった。


 私の音で、優奈の夢を……私の音で、莉子ちゃんの涙を……


 彩花は、初めて、自分の音を、完全に信じられた。


 テレビ特集は大反響を呼び、「Harmony Haven」は新聞や雑誌でも度々、採り上げられるようになった。


 優奈は提案する。「彩花、このワークショップ、定期的にやろう。彩花の音と私のカウンセリングで、もっとたくさんの心を癒せる」


 彩花は目を輝かせ、優奈の手を強く握った。「優奈、最高! 私の音で誰かを支えるなんて…… 絶対やる!」


 二人は握手を交わし、新たな挑戦が始まる。


 この成功に自信を得た彩花は、のちに「Stellarステラ Notesノート」でのソロライブへの道を開く。


 莉子の回復物語は、ワークショップの象徴として語り継がれ、優奈のキャリアを加速させる。


・永遠の絆


 ワークショップを終え、夕陽のホールの窓辺で、優奈は彩花に語った。


「転校先で孤独だった時、彩花の思い出が私を救ってくれた。図書室の春、カフェの冬……」彩花の目が潤む。


「優奈こそ、私に自分を愛していいって教えてくれた。私、初めて心開けたんだ。……優奈の初めてのカウンセリングの相手って、ひょっとして私だったのかも?」


 優奈は笑い、古い手帳を開いて、図書室で渡し合ったメモを見せる。


 二人が最後に交わした一枚が、そこにあった。


――優奈ちゃんの笑顔、なんか元気出るよ。いつもそばにいるからね。

  彩花ちゃん、ずっと友達だよ!――


 優奈の声が震える。「この言葉、転校先の暗闇で私の光だった」


 彩花は涙をこぼし、優奈の手を握った。「……優奈、この言葉が、私の音の始まりだった」


 優奈は、静かに微笑み、もう一度、手帳のメモを指差した。


「ねえ、彩花。あのとき、一緒に書いた詩、覚えてる?」彩花が、息を呑む。


 優奈は、優しく、でも確かに呟いた。


「夕陽に輝く桜、心を照らす光―― 君たちの音は、私にとって、まさに『彩光さいこううた』だった。今度は、私がその詩を、誰かの心に届ける番」


 彩花の涙が、頬を伝った。


「……優奈」秋の夕陽が二人を包み、霧咲の旋律は永遠に響き合う。


 莉子のタンバリンの残響が、ホールに優しく残る。


 あの少女の歌声は、きっと戻ってくる――。


 その未来は、もう始まっている。

次回予告:彩光の詩 第二部 第7話 炎のビート 真夏の情熱(12月16日【火】20:00公開)


霧咲のライブハウス「Rose Neon」で、ライブハウスへの初出演に震える彩花を救ったドラマー・真夏。「あの夜のトラブルを支えてくれたドラムが、今、世界を目指す炎に…!」 魂のブラストビートとキーボードの幻想アルペジオが融合。ギターの神に愛された戦乙女が繰り出す情熱の舞踏が、鋼鉄のステージを揺るがす!


 優奈と彩花の友情と、人の心を支える温かな気持ちに寄り添っていただいて、ありがとうございます。もしよろしければ、感想やご意見をお聞かせいただけると大変嬉しいです。

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