表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彩光の詩 ~Eternal Echoes~  作者: 絹咲 メガネ
彩光の詩 2nd GATE ~Luminous Harmony~
28/37

2nd GATE 第5話【青春の音と永遠の守り人】

 この物語は、彩花の“魔法”を傍らで見つめ、その秘密を知ってしまった少年の視点で語られます。


 怜が高橋たかはし れいとして生きた17歳から30歳までの、たった一度の青春と、永遠の愛。――「あの音に出会わなければ、俺の人生は違っていた」怜が彩花のキーボードに心を奪われた瞬間から、すべてが始まった。


 この話は、怜が“彩花の魔法”に一生を捧げるまでの、長い長いラブレターです。


(本文にはGrokによるAI生成イラストの挿絵を挿入しております)

挿絵(By みてみん)


・霧咲高校、2年生の学園祭当日


 霧咲の街は、秋の涼やかな風に揺れ、色づく桜の木々が学園祭の喧騒を静かに見守る。


 17歳の怜は繊細な佇まいで、学園祭のステージに立つ準備をする。怜の心は、音楽への情熱と、初めてのステージへの緊張、そして同級生の少女・佐藤 彩花への淡い想いで、激しく揺れ動く。


 この音が、怜の運命を変えた。


 中学時代の怜は、繊細な心を持て余し、教室の片隅で静かに過ごしていた。音楽だけが彼の逃げ場だった。


 中学生の夏、バンドのキーボードに憧れて通信講座を始めた。


 毎晩、リビングの隅でヘッドホンをしてスケールを弾き、「Cメジャースケールは指使い3-4で」「左手はオクターブで支えて」と教材に沿う。


 練習曲を提出し、添削結果が戻るたび上達を実感したが、ある日の音楽室、同級生が軽やかにショパンを弾きこなす姿に胸がざわめく。


 同じ鍵盤なのに、怜の音は機械的で指がもたつく。


「……俺にはセンスがないのか」


 課題を録音する手が重くなった。やがてキーボードは、通信講座のための楽器ではなくなった


 内蔵シーケンサーを起動し、ベースとドラムを打ち込む。コード進行を決めて、その上にオリジナルメロディを重ねていく。


 生の演奏よりも、曲そのものを「作る」ことの方が、怜の心を深く揺さぶった。鍵盤は、もはや怜の「作曲ツール」に変わっていた。


 ヘッドホンから漏れるのは、もう誰かの曲じゃない。自分の内側から這い出してきた、名もなき感情の塊だ。


 しかし、怜の情熱は父親との間に、波紋を広げる。


 怜の父・渉は堅実な会社員で、「音楽は趣味でいい」と考える現実派。


 だが、かつては父もロックを愛し、古い洋楽の名盤を聞きながら、得意げに知識を語ってくれた。あの頃の父の目は輝いていた。


「怜、ジャン・ローズがロックにオルガンを革命的に持ち込んだんだ。それまでのロックはギターが主役だったけど、キーボードも、同じ土俵で戦えるってはじめて証明した!」父の声は熱く、怜の心を震わせた。


 だが、今の父は違う。


「怜、こんな時間まで何やってるんだ? 音楽は趣味でいい。安定した仕事に就くために、ちゃんと進学しろ。」


 父親の声は穏やかだが、怜の夢を切り裂く重さがある。あのロックを愛した父が、怜の情熱を諭す…


 怜は鍵盤を見つめ、唇を噛む。


 「父さん…音楽は、俺の心を自由にするんだ。俺、音楽で自分を表現したい…!」


 彼の声は震え、決意が滲む。


 父親はため息をつき、「進学して、将来を考えろ。夢だけじゃ食っていけない」と言い残し、部屋を出る。


 怜はパネルに写る波形を見つめるが、父の言葉が棘のように刺さる…


・運命の合宿・雷鳴の出会い


 高校1年、霧咲高校に入学した怜は、翌日の合宿で出会った(はやて)と、音楽の話題で意気投合する。サッカーで鍛えた長身の颯は、寡黙だが努力家で、エレキギターを始めたばかりだった。


 放課後の音楽室で颯がハードロックのリフを弾き始め、怜は衝撃を受ける。


 弦の震えが腹に響き、ピッキングの瞬間、全身がリズムに奪われる。フレットスライドでコードが変わり、スケールも指をずらすだけで別のキーに移れる。黒鍵白鍵の区別などない。


 颯から借りたギターを持つと、ネックが掌にフィットし、弦の振動が腹に伝う。


 ピックが巻弦まきげんを擦る感触、ひずんだアンプのサウンドは、まるで「生き物」のように思えた。


 鍵盤は「正確さ」をギターは「身体」を求める。


 怜は気づいた。キーボードで培った知識、コード、リズム、構成をギターに乗せれば「自分の音楽」になる。


 キーボードを自在に弾きこなす夢は諦めたが、無駄じゃなかった。ギターは頭の中の音楽を、身体で鳴らす道になる!


 怜は颯のハードロックやヘビーメタルのリフに感化され、キーボードを置いてギターを手に取る。


俺も、負けたくない…!


 放課後の音楽室。颯がアンプのボリュームを上げ、怜の前に立つ。


「怜、スケール練習はな、一度でもミスったら絶対に最初からやり直すんだ! 途中でごまかすと、脳が『間違えてもOK』って覚えちまう。クロマチックを160BPMで10周やったら130に戻って更に2周。これを1セット5回繰り返せば、必ず速く弾けるようになる。」


 颯の指導は、いかにも体育会系らしい厳しさを持ちつつも、怜を納得させるだけの説得力を持っていた。


 颯は豪快に笑いながら、怜の親弓をネックの裏側に立て、正しいポジションを刻み込む。「痛くても逃げんなよ。指にタコができたら、それが勲章だ!」


 怜は苦笑いしながらも、颯の熱に当てられて目を輝かせる。「…わかった。颯、俺、絶対に追いつくから!」


 その日から、怜はシーケンサーの打ち込みで作成したリズムパターンを流しながら、夜遅くまでコードやスケール練習に没頭した。


・NightReaverナイトリーヴァーの誕生


 ある夜、怜は颯のリフに感化された初の自作曲「Digディグ Stormストーム」を完成させる。疾走感のあるドラムパートと重厚なシンセベースが融合し、ギターリフを際立たせるハードロックの曲調だ。


 サンプリング音源で表現されたエレキギターのサウンドはチープだが、颯と俺のギターを重ねれば、俺たちの世界が始まる…!


 新学期が始まる放課後の教室で、怜は颯に「Dig Storm」を聴かせる。


 颯の目が輝き、「怜、この曲、めっちゃ熱いな! 俺たちのギターとこの打ち込み、合わせたらやばいぜ!」と興奮する。


 二人はツインギターのハードロックユニット「NightReaverナイトリーヴァー」を結成し、学園祭に向けて新曲「Thunderサンダー Pulseパルス」を共同で作曲する。颯のリフに怜のシンセパッドとドラムが絡み、雷鳴のようなエネルギーが響き合う。


 二人は「Thunder Pulse」を携え、初めてのステージを目指す。


 颯が笑う。「怜、俺たちの音、絶対でっかく響くぜ!」


 怜は頷き、颯…お前と一緒なら、どこまででも行ける…この絆が、俺の武器だ…! と心を燃やす。


・彩花との出会い


 学園祭当日、霧咲高校の体育館は観客の熱気で溢れ、歓声が嵐のように渦巻く。衣装選びに無頓着な怜と颯は、制服姿のままステージに立つ。怜の端正な顔立ちは、緊張でわずかに青ざめ、ギターを握る手が震える。


 初めてのステージ…失敗したら、すべて終わる…! 颯が肩を叩き、「怜、俺たちの音、絶対届く。信じろ」と囁く。怜は頷き、深呼吸する。


「Thunder Pulse」の演奏が始まると、颯のリフが力強く爆発し、怜のアルペジオが空間を切り裂く。観客の歓声が上がり、怜の心は高揚の渦に飲み込まれる。


 この音…怜たちの青春だ…だが、怜の高揚感は、自身のライブのひとつ前のステージに囚われていた。


――同級生の女子二人組による音楽ユニット「BlossomEchoブロッサムエコー」――


 ピンクのサテンシャツに身を包んだ彩花が、シルバーフレームのメガネ越しの真剣な眼差しでキーボードを弾く。サラサラの黒髪が揺れ、彼女の透明なメロディが会場を、星屑のように包み込む。


彩花さん…! 怜の心臓がドキリと激しく跳ね、サテンの光沢がステージの光に映える姿に、魂を奪われる。


 彩花の演奏は、怜が中学以来夢見ていた「完璧な音」そのものだった。


――あの音…俺の心を全部持っていく――


 彼女の指が鍵盤を滑り、「Bloomingブルーミング Daysデイズ」が凛の力強い歌声と重なり、まるで自分自身の中にある全ての感情が爆発するように思えた。怜の心は彩花の音と姿に囚われ、初めての恋心が燃え上がる…!


・音楽室の秘密のセッション


 数日後の放課後、怜は音楽室で一人、ギターの弦を交換する。彩花さんの音…まだ耳に残ってる…心臓が、止まらない…! と胸が激しく高鳴る。


 ドアが静かに開き、彩花が現れる。白いシャツに青いネクタイ、紺のプリーツスカートが夕陽に映え、彼女は少し照れながら言う。


「あの、高橋…怜くんだよね? 学園祭のライブ、見たよ。ハードロックってあんまり聴いたことがなかったけど…なんか、すごい世界に引き込まれた気がした。」


 彩花さんが…俺の音を…! 怜の頬が熱くなり、言葉を絞り出す。


「彩花さん…俺、彩花さんのキーボード、ほんとすごいと思った。『Blooming Days』、まるで星空みたいで…」二人は互いの音楽に感銘を受けたことを語り合う。


 怜の心臓がドキドキと爆発的に高鳴る。彼女がキーボードに触れ、「怜くんのギター、ちょっと聴いてみたい…合わせられるかな?」と提案する。怜は驚きつつ、ギターを構える。「う、うん…やってみる…!」


 彩花の優しいアルペジオで始まり、怜のギターが力強いコードで寄り添う。音が重なり合い、まるで二人の心が激しく会話するよう。彩花さんの音、こんなに優しくて…俺のギター、包んでくれる…! 怜は目を閉じ、即興でメロディを紡ぐ。


 彩花が笑顔で、「怜くん、このフレーズ…なんか、夕暮れみたいだね」と言う。怜は頷き、「彩花さんの音、星空みたい…」と返す


 夕陽が音楽室をオレンジ色に染め、二人の旋律が青春の新たなページをに開く。


・愛の目覚め


 練習のあとの片付けの時間、怜と彩花は音楽倉庫で楽器を整理する。狭い空間に、キーボードとギターのケースが積み重なり、埃っぽい空気が漂う。彩花の白いブラウスと紺のプリーツスカートが彼女の内気な美しさを引き立てる。


 怜はネクタイを緩め、シャツの袖をまくる。彩花さんと、こんな近くで…心臓が、破裂しそうだ…! キーボードスタンドを運ぶ中、彩花がバランスを崩し、怜が咄嗟に支える。二人の手が触れ合い、怜の心を熱くする。彩花さん…


 彩花の頬が赤らみ、彼女は目を伏せる。「怜くん…ごめん、ドジっちゃって…」彩花さんの手、こんなに温かい…! 怜は勇気を振り絞り、震える声で言う。


「彩花さん…俺、彩花さんの音、ほんとに大好きだ。…いや、音だけじゃなくて、彩花さんそのものが…」言葉が途切れ、怜の顔が真っ赤になる。


 彩花は驚き、目を大きく見開くが、ゆっくり微笑む。


「怜くんのギター…真剣に音楽やってる姿…大好きで…。あのステージで、怜くんの音に心が震えた。私も…怜くんと…もっと音楽を一緒にやりたい…」


 二人の視線が絡み合い、倉庫の静寂に心臓の鼓動だけが静かに、熱く響く。


 怜はそっと彩花の手を握り、彼女もまたその手を握り返す。彩花さん…俺の音、彩花さんに届いた…! この瞬間、怜の恋心は愛へと変わり、音楽と心が一つになる。


・刃に気づいた夜


 怜は、彩花の音にどこまでも魅せられた。


 ある夜、怜は一人、音楽室で録音した、彩花の『Bloomingブルーミング Daysデイズ』を聴いていた。彩花の指が鍵盤を滑り、フットスイッチで音色を瞬時に切り替える。


 静かなアルペジオの中で、突然鋭いピアノのアタックで膨らむ。


 怜は息を呑んだ。


 美しい。あまりにも、美しすぎて――怜の胸の奥が疼く。


――夢だけでは食っていけない。音楽は諦めろ――


 突然、父の言葉が頭をよぎる。俺に音楽を教えてくれた親父がなぜ!? やめろ、やめてくれ…。


 彩花の音が止み、怜は我に返った。


 彩花の音は、優しすぎて、聴く人の心の奥底に眠る傷を、そっと、でも確実に抉ってしまう。怜は震える手でイヤホンを外した。


「……彩花は、気づいてない」自分の音が、どれだけ人を傷つける可能性があるか。


 この音を凛が初めて聴いたとき、マイクを落とし、涙を流して震えていたという。ただ感動しただけじゃない。彩花の音が、凛の心の奥に眠っていた、大切な何かを、優しく、でも容赦なく触ったからだ。


 怜は確信した。彩花は、自分の音の“刃”に気づいていない。


 きっと、その刃は彩花自身も傷つけてしまう。


 怜の頭に浮かぶのは――27歳で突然この世を去った、伝説のギタリストの姿だった。


 ステージで炎のように燃え、でも誰にも本当の孤独を語らず、最後は静かに消えてしまった、あの男。


 彩花の音も、あんな風に、誰かを救うために燃え尽きてしまうかもしれない。


 だから俺が、彩花の音を、燃え尽きさせない。


――これが、俺の役目だ。


 怜は静かに呟いた。「彩花さん……俺が、君の音を守る」


・二人だけの結界


 翌日、怜は校舎を歩きながら、胸の奥に灯った決意を、静かに握りしめていた。


 ここ数日、彩花とは話せていない。


 今日こそ話そう。そう決意して教室に入ると、そこには恥ずかしそうにメガネを直しながら、微笑む彩花がいた。


「ごめんね。なんか…私、もっとちゃんと話したいなって…」 声は小さく、メガネ越しの瞳が揺れる。


 怜は驚き「大丈夫だよ、彩花…。」自然と呼び捨てで呼んでいた。


 怜は勇気を振り絞り、続ける。


「彩花…一緒に音楽ユニット、結成しないか? 彩花のキーボード、俺、めっちゃ好きなんだ。 優しくて、心に響く音。でも……」


 言葉を一瞬だけ止めて、彩花の瞳を見つめ、静かに続けた。


「俺と二人だけで、彩花が思う存分、自分の音を鳴らせる場所を作りたい。誰にも遠慮しなくていい、彩花の音だけが自由に響く、俺たちだけの聖域を」


 彩花の瞳が揺れ、涙がこぼれた。


「怜……」


 怜は優しく微笑み、そっと彩花の手を取った。


「ユニット名は、もう決めてる。Crystalクリスタル Veilヴェール ――水晶のヴェール。透明で、でも誰にも壊せない、彩花の音を守るための、俺だけの結界」


 彩花は嗚咽をこらえながら、怜の手を強く握り返した。


「怜……ありがとう。私、怜となら……自分の音を、ちゃんと好きになれそう」


 怜は心に誓う。


――俺が、ずっと傍にいる。彩花の音が誰かを傷つけないように、彩花自身が傷つかないように、一生、守る。


 二人は、誰も知らない、まだ小さな、でも永遠に続く音を、その日、確かに始めた。


・霧咲ストリートソニックの絆


 数ヶ月後の2月、霧咲シティプラザで開催された「霧咲ストリートソニック」に、「BlossomEcho」が参加する。


 彩花はピンクのサテンシャツに黒のプリーツスカート、凛は赤いサテンシャツに同じミニスカートで、キーボードと歌声が響き合う。美織のデザインしたポスターが会場を飾り、観客の熱気が地下街を、嵐のように満たす。


 ライブのクライマックス、彩花が観客に語りかける。「今日は、特別なゲストを呼びます! 私の…大切な人、怜!」


 観客がどよめく中、怜がステージに上がる。颯が密かに用意したギターを抱え、照れた笑みを浮かべる。


 彩花も照れながら、「怜と私のユニット、『Crystal Veil』の曲を、特別に一曲だけ披露します。聴いてください」と囁く。


Autumnオータム Whisperウィスパー」が流れ始める。


 彩花のキーボードが優しく鳴り、凛のコーラスが寄り添い、怜のギターが、まるで彩花の音を抱きしめるように重なる。


 怜は目を閉じ、あの音楽室で誓った言葉を思い出す。


――俺が、彩花の音を守る。


 そして今、その音が、誰かを傷つけることなく、多くの人に届いている。


 会場が涙と歓声に包まれる。


・未来への旋律


「霧咲ストリートソニック」の成功を機に、「BlossomEcho」はセミプロとして活動を広げ、霧咲の若者たちの心を掴む。


 彩花のキーボードは、地元のライブハウスで輝きを増し、凛の歌声は観客を熱狂させる。怜と彩花の「Crystal Veil」はTubeStreamチューブストリームでインストファンの心を掴み、愛を音で紡ぎ続ける。


 怜は父親の願いを聞き入れ、大学に進学するが、音楽への情熱は抑えきれなかった。


 昼は大学の講義に通い、夜はカフェや配送のアルバイト。学費を稼ぎ、夜間の音楽学校で音楽理論とレコーディング技術を学んだ。


 徹夜でミキシングに没頭する怜の目は、疲れよりも。彩花の音を守る決意で輝いていた。


 大学卒業後、怜は大手レコード会社にレコーディングエンジニアとして入社。


 スタジオのコンソールに向かい、アーティストの音を磨き上げるたび、怜は思う。――俺は、彩花の音を守るために、この場所にいる。


 怜の誠実な姿勢は同僚やアーティストの信頼を勝ち取り、業界での人脈を広げていった。


 24歳の春、桜並木のベンチで、 怜は彩花にプロポーズする。


「彩花、俺の音も、人生も、君と一緒じゃなきゃ完成しない。学園祭で、君の指が鍵盤を滑るのを見たとき、俺の心は初めて自由になった。彩花、俺の全ての音、全ての人生を、ともに共鳴させたい。二人で未来を奏でていこう!」


 彩花は涙を浮かべ、微笑む。「怜くん…私も、怜と一緒に、ずっと未来を奏でたい。」


 二人は結婚し、翌年、娘・かなでが生まれる。怜は25歳で独立し、小さなレーベル「Cobaltコバルト Wavesウェーブス」を立ち上げる。


 だが、子育てとレーベルの運営は、怜に重い試練を課した。


 夜泣きする奏を抱きながら、若手アーティストのデモ音源を聴く怜の目は、疲労と情熱で揺れる。


彩花…奏…俺、絶対諦めない…!


 だが、怜の誠実な人柄が奇跡を呼んだ。かつての音楽仲間や業界の先輩たちが、次々と手を差し伸べてくれた。


 レーベルは成長し、若手アーティストのデビューが次々と実現。怜は気鋭のプロデューサーとして名を馳せ、彩花の音楽を世界に届ける夢を共有する。


・彩花の飛躍


 高校卒業から13年、霧咲のライブハウス「Stellarステラ Notesノート」で、彩花の初ソロライブが開催される。


 怜はプロデューサーとして裏方を奔走し、「彩花の魔法」を最高の音で響かせる。客席には、颯や凛、彩花の旧友の優奈の姿があり、準備を終えた怜も、5歳の奏とともに腰かけた。


 彩花のキーボードが星空のようなメロディを紡ぐと、観客の心が一つになる。怜は彩花の輝きを見つめ、胸が熱くなる。彩花…俺たちの音、こんな遠くまで来たんだ…!


・この音を届けるために


 ある秋の夕暮れ、怜はギターを背負い、懐かしい霧咲高校の音楽室を訪れた。


 校舎は老朽化が進み、「近いうちに取り壊しか、文化財保存か」で揺れているという噂だった。


 埃っぽい鍵盤、古びたスピーカー、夕陽に染まるカーテン。


 怜は静かにギターで「Autumn Whisper」を弾き始める。


 彩花が隣に並び、赤いショルダーキーボード(keytar)を肩に担ぎ、音を重ねる。二人の旋律が、青春の記憶と響き合う。


 彩花が柔らかく微笑み、言う。


「この音楽室、特別だよね。なぜか、ここに来ると、高校生になった奏がキーボードを弾いてる姿が浮かぶの。変よね、笑っちゃう。」


 怜は驚き、穏やかに頷いた。そして、静かに呟いた。


「……この音楽室を、残してほしい。いつか奏にも、ここを見てもらいたい」


 彩花が怜の手を握り返す。


「うん……私たちの音が、奏にも届くように」


 夕陽が、二人の背中を優しく照らした。


 霧咲の星空に、永遠に続く旋律が、静かに、確かに、響き始めた。

・次回予告:彩光の詩 2nd GATE 第6話【心の旋律 優奈の癒し】(12月12日【金】20:00公開)


 怜が彩花へのプロポーズを迫るとき、24歳の心理カウンセラー・中村優奈は、音楽療法ワークショップ「Harmony Haven」で若者たちの心を癒す。図書室のメモが紡ぐ、涙と笑顔の永遠の絆。優奈と彩花の友情は、心の闇を照らす希望の旋律となるのか――?


 音楽と愛に包まれた、怜の半生に寄り添っていただいて、本当にありがとうございます。あなたの心にどんな音が残ったか、ぜひ教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
音や匂いというのは、その時の状況を鮮明に思い出すための触媒になるそうですね。 そういう意味でも、音楽が誰かの琴線に触れてしまうという怜の想いは共感できるものがあります。そんな音を生み出せる彩花の存在に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ