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彩光の詩 第17話【試される絆】

・音楽室の夕陽:心の告白


 秋の夕陽が霧咲高校の音楽室をオレンジ色に染める。彩花はキーボードの前に立ち、鍵盤に触れる指がわずかに震える。中学時代の図書室、優奈の明るい笑顔と揺れる制服が心をよぎる。彼女の温かな声、秘密を共有した時間が胸を締め付ける…優奈が窓辺で私の好きな本を読み上げ、笑い合ったあの午後… そして、カラオケの夜、凛の赤いサテンシャツが放つ輝き、親密な空気が重なる。私…凛にずっと憧れていた。でも、怜への愛が私の全て… 夕陽が赤いフレームのメガネに反射し、彩花の心を切なく揺さぶる。


 凛は紺のブレザーを肩にかけ、緩めたネクタイが軽やかに揺れる。ギターを手にマイクスタンドに向かうが、いつもの弾ける笑顔に影が差す。彩花…あの夜、君の瞳に心が揺れた。配信で君の手を握った瞬間、胸の奥で何かが弾けた… 友情を超えた感情…彩花には怜がいるのに、こんな気持ち、持っちゃダメだよね… 「BlossomEchoブロッサムエコー」のリハーサルの空気が重くなり、二人の音に微かな揺れが生じる。


 彩花は深呼吸し、勇気を振り絞る。「凛…カラオケの夜、ごめんね。実は…昔、凛のこと、特別な気持ちで見てた。あの夜、その想いが少し蘇って…。でも、私、怜が大好きで…変な空気にして、ごめん。」声が震え、赤いフレームのメガネ越しの瞳が潤む。夕陽が頬を照らし、涙が一筋こぼれる。


 凛の心が締め付けられる。彩花…そんな深い想いを…? ギターのネックを握る手に力がこもり、視線を一瞬床に落とす。ためらうように言葉を探し、呟く。「彩花…そんな風に思っててくれて、めっちゃ嬉しいよ。あの夜、私も…彩花のこと、特別って感じた瞬間だった。」 でも、君には怜がいる…BlossomEcho、続けてもいいのかな…? 私、彩花と音を響かせたい… 「君の幸せが一番だから…BlossomEcho、これからも一緒に、絶対頑張ろう、ね?」 声が少し震え、青いネクタイが夕陽に揺れる。彩花は涙を拭い、凛の照れ笑いに心が温まる。「うん、凛、ありがとう。一緒に音楽やりたい…ずっと。」


 凛は唇を小さく震わせ、照れ笑いで隠すようにそっと呟く。「実はね、彩花に嫌われたらどうしようって、ちょっと心配してたんだ。」二人の視線が夕陽の中で絡み合い、制服姿が光に揺れる。過去の淡い想いと新たな友情が、音楽室を静かな光で満たす。サテンシャツの記憶が、絆の証として心に刻まれる。


・教室の決断:新たな練習の舞台


 翌日の昼休み、教室は生徒たちのざわめきで賑わう。彩花は窓際の席で、紺色のブレザーの袖を握り、怜にそっと話しかける。「怜…私、凛とちゃんと話したよ。お互いの気持ち、伝えて…これからも友達としてやっていこうって。でも、凛、私のこと少し意識してるみたいで…。音楽室だと、凛と一緒になるかもしれないから…『Crystalクリスタル Veilヴェール』の練習、貸しスタジオに変えてもいい? それでね、スタジオ代のために、私、パン屋でバイト始めたんだ。怜もCD屋さんで働いてるよね?」


 怜は彩花の真剣な瞳に微笑む。彩花の優しさ…いつも心を動かす… 「うん、いいよ。年末にかけてバイトも忙しくなるけど、彩花との時間のためなら頑張れるよ。 貸しスタジオなら、二人きりで集中できる。彩花と音楽作れるなら、どこでもいい。」彩花との時間…それだけで幸せだ… 彩花は怜の笑顔に安堵し、「ありがとう、怜! 怜と音楽、めっちゃ楽しみ!」と愛を込めて応える。窓から差し込む秋の光が、二人のブレザーに柔らかく反射し、未来への希望を照らす。


・貸しスタジオ:クリスマスイブの誓い


 年末が近づく街は、クリスマスソングとイルミネーションで華やぐ。彩花と怜はクリスマスイブの夜に貸しスタジオでの練習を始め、狭い空間は防音の壁と柔らかな照明に包まれる。二人の新たな聖域だ。


 怜は彩花の提案を思い出し、ダークブルーのサテンシャツと黒のレザーパンツをまとう。彩花はピンクのサテンシャツに黒のレギンスパンツ、赤いメガネとポニーテールで現れる。怜…私の提案、覚えててくれた…お揃いのサテン、まるでステージみたい… 彩花は怜の姿に胸を高鳴らせる。


「彩花とお揃いで音楽できるなんて、幸せだよ。」怜は微笑み、ダークブルーのサテンシャツをそっと撫でる。彩花の赤いメガネがスタジオの光に輝くのを見つめ、言葉を続ける。「昨日、凛と少し話したよ。配信のコメント見て、最初、胸がチクッとしてね。俺、彩花のこと、誰にも渡したくないって…」怜の声が低くなり、視線が揺れる。


「でも、気づいたんだ。彩花が輝くのは、凛との絆があるから。俺、嫉妬したけど、彩花の幸せが一番だから…BlossomEcho、めっちゃ応援してる。凛の才能、ほんとすごいと思うし、いつか俺のギターで2人のサポートに立てたらな…って。」怜は照れ笑いを浮かべ、頬がわずかに赤らむ。「ちょっと熱くなっちゃったかな? でも、彩花と音楽できれば、それでいいや。ごめん、忘れて!」と笑ってごまかす。


 彩花は怜の純粋な気持ちに心が震える。凛も、怜も…私の大事な人… 「ありがとう、怜、そんな気持ちでいてくれて…」 彩花の微笑みが、怜の心を温める。怜は照れ隠しにギターを手にし、「じゃ、練習始めようか?」と明るく言う。サテンシャツの光沢が、スタジオの照明にキラキラと映える。


 練習の合間、彩花は冬の街のイルミネーションを思い浮かべ、「Northノース Elementエレメント3」で新たなフレーズを試す。温かみのあるピアノ音が、雪の降る夜の光を思わせるメロディを紡ぐ。この音…冬の温かさ、家族の温もりみたい… 怜は彩花の音に息を呑む。「彩花…この曲、めっちゃ心に響く…」


「怜、このフレーズ…どうかな?」彩花が微笑むと、怜は彼女の手を握る。「彩花の心そのものだよ。この曲、俺たちで最高の形にしよう。」ダークブルーのサテンシャツがピンクのサテンシャツに擦れ、微かな音がスタジオに響く。彩花の頬が赤らみ、赤いメガネが光る。


 彩花は怜の手の温もりに、家族のような安心感を覚えた。彼女は目を閉じ、未来を想像する。冬の夜、暖炉の前で、怜が微笑む。隣には小さな娘が座り、この曲を聴きながら笑う。いつか、こんな未来が…


――「Winterウインター Glowグロウ」と彩花が呟く――


 怜が問い返す。「Winter Glow?」


「そう! この曲のタイトル!」彩花は笑顔で答える。怜の瞳が輝く。「ぴったりだ。俺たちの音、絶対みんなの心に届くよ。」彩花…この幸せ、永遠に… 彩花は怜の手を握り返し、涙がこぼれる。この瞬間を、ずっと心に刻みたい…


・冬の旋律:二つの絆と願い


「BlossomEcho」の練習で、彩花はシルバーのメガネに戻し、凛と向き合う。キーボードとギターが重なり、かつてのハーモニーが蘇る。「凛、このパート、もっとテンポ上げてみる?」 彩花が微笑むと、凛はカジュアルな制服を翻し、弾ける笑顔で応える。「お、いいね! 彩花のキーボード、ノリいいから、ガンガン合わせていくよ!」 彩花と音楽…これが私の居場所…


 彩花は凛の横顔を見つめ、ふと思う。凛…こんな輝いてるのに、どこか寂しそう…私、凛の幸せも願いたい… 「凛…さっきの話、ありがとう。心、軽くなったよ。」彩花はメガネを直し、勇気を振り絞る。「あの、ね…凛、最近、気になる人とか…いる?」内気な声が夕陽に溶け、凛への優しさを込める。凛の笑顔、もっと輝いてほしい… 凛はギターの弦を弾き、少し驚いたように笑う。「え、彩花、急に何!? 全然いないよ! 音楽で頭いっぱいだし!」 彩花…私のこと、こんな風に気遣ってくれて…


「でも、彩花と怜、めっちゃラブラブじゃん? それ見てると、ちょっと…恋、いいなって思うかな?」凛の声に照れが混じる。彩花は目を輝かせる。「ほんと? 凛、絶対素敵な人見つかるよ! 凛の歌声、恋したらもっとキラキラするよ!」 凛、恋して、もっと輝いて…私たちの絆、ずっと大事にしたい…


・次回予告:第18話 ストリートライブの光(10月10日【金】20:00公開)


彩花と凛が、地域最大の音楽フェスに挑む! 準備に奔走する彩花を、運命の再会が待つ。凛との絆、怜への愛、夕陽に揺れる記憶が心を震わせる。大規模ライブで、彼女の音は新たな輝きを放てるのか? 次回、「ストリートライブの光」、青春のメロディが鮮烈に響く!

・コメントのお願い


 彩花と凛の涙の告白、怜との「Winter Glow」の温もり、優奈の記憶と二つの絆、どの瞬間があなたの心を震わせましたか?



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― 新着の感想 ―
手探りでつづっていく人間関係。どの関係も大切で唯一無二。 大人になって忘れかけていたそんな人との絆の大切さを思い出させてくれます。 いよいよ優奈登場かと期待
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