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彩光の詩 第13話【怜の決断】

・衣替えの朝:惹かれ合う視線


 10月を迎えた霧咲高校は、紺色のブレザー制服への衣替えで新たな活気に満ちる。秋の音楽フェスティバルの熱気が冷めやらぬ中、怜と彩花は恋人としての初々しい一歩を踏み出したばかり。恋愛に奥手な二人は、想いが通じ合った喜びと気恥ずかしさを胸に、朝の教室で視線を交わす。


 彩花は紺色のブレザーに白いシャツ、青いネクタイをきっちり結び、プリーツスカートが規律正しく揺れる姿で席に着く。シルバーフレームのメガネ越しの真剣な瞳が、ブレザーの端正なシルエットと調和し、知的な美しさが静かに輝く。ブレザー…ちょっと重いけど、きちんとした感じ、嫌いじゃない…。怜くん、どんな姿かな… 彩花の心は、怜への想いでそっと温まる。


 怜は紺色のブレザーに白いシャツ、赤いネクタイを少し緩めたカジュアルなスタイルで教室に入る。繊細な顔立ちが、ブレザーの落ち着いた雰囲気で一層際立つ。彩花さん、来てるかな… 彼の視線が彩花の席に辿り着き、彼女のブレザー姿に息を呑む。彩花さん、めっちゃ似合ってる…メガネも、最高… 心が愛で高鳴る。


「おはよう、彩花さん…」 怜は彼女の席に近づき、緊張で声が小さくなる。「ブレザー姿、似合ってるね…」 控えめな言葉に純粋な想いが宿る。彩花は頬を染め、メガネをそっと直す。「おはよう、怜くん…ありがとう…怜くんも…かっこいいよ…」 怜の制服姿に心が弾み、教室の喧騒に紛れて甘酸っぱい会話が響く。


・昼休みの揺れ:凛の光と彩花の不安


 昼休み、笑い声が響く教室の中、彩花は一人静かに弁当を広げる。颯は友人と談笑し、凛はクラスメイトと盛り上がる中、怜と彩花は教室の片隅で小さな時間を共有する。「彩花さん、昨日のフェスティバル、めっちゃよかったよね。『Stardustスターダスト Breezeブリーズ』、最高だった…」 怜は前髪をかき上げ、照れながら言う。


 彩花の瞳が輝き、フェスティバルの記憶が胸を温める。「ありがとう、怜くん…怜くんのギターも、めっちゃかっこよかった…。ブレザー姿…好きだな」 頬が熱くなり、メガネを直す。怜の心が軽く揺れる。「ほんと? 俺も…彩花さんの制服、めっちゃいいなって…」 クラスメイトの視線を気にしつつ、二人の距離がそっと縮まる。


 そこへ、凛が飛び込む。「ね、怜くん! ちょっと話していい?」 紺色のブレザーはラフに着崩され、緩めたネクタイが軽やかに揺れる。明るい笑顔が教室を春の陽光のように照らし、彩花の心に小さな波紋を広げる。「怜くん、(はやて)くんとレコーディングやってるよね? 私、自分でもやってみたいんだけど…機材の集め方とか、使い方のコツとか、ぜんぜん分からないの! 教えてよ!」 凛の無邪気な頼みに、怜の瞳が輝く。「…う、うん、いいよ! まず、オーディオインターフェースが必要で…musicBASEってソフトなら、無料のDL版でも十分…凛さんのギターも、いつもアンプから出してる音をシミュレーターで再現できるし、いつもの音ならReproTubeの設定で簡単に…」 音楽の話になると、怜のシャイな殻が剥がれ、熱意が溢れる。

 

 凛が身を乗り出し、興奮気味に続ける。「え、ほんと? めっちゃ簡単そう! どんな設定がいいの?」 怜がさらに熱を込める。「ボーカルなら、音圧を少し上げて、クリアな感じにすると映えるよ。凛さんのギターなら、こういうセッティングが合うはず」スマホでサンプル音源を聴かせる。凛が弾ける笑顔で応じる。「怜くん、めっちゃ詳しい! それ、絶対試してみる!」 二人の会話が弾む中、彩花は楽しそうな様子を見つめ、胸に小さな不安が芽生える。怜くん、凛の音までそんなに考えて…私、ちゃんと見ててくれるかな…? さっきまで私と話してたのに、怜くん、音楽のことになると夢中になって… 恋愛経験のない彩花にとって、怜との新しい関係への戸惑いが心を揺らす。

 

 凛は怜の説明に満足し、弾ける笑顔で感謝を伝えた。「怜くん、ありがと! めっちゃ分かりやすかった! オーディオインターフェース、早速調べてみるね! また教えてよ!」彼女は軽やかな足取りで他のクラスメイトの輪に加わり、教室の賑わいに溶けていった。


 怜は彩花の席に戻り、彼女の少し寂しそうな表情に気づいた。彩花さん…なんか、元気ない…? 俺、凛さんと話してて、待たせちゃった…「彩花さん、ごめん…凛さんと話してて…。もっと話そう?」 彩花の胸が温まる。「…うん、ありがとう、怜くん…」だが、心の波紋はまだ静まらない。


・葛藤の授業:光と影


 授業中、彩花は机に伏せ、自己嫌悪に沈む。怜が凛と楽しそうに話す姿が頭を離れない。凛みたいな明るさ…私にはない… 凛の明るさに怜が笑う姿を想像し、心がチクリと痛む。もし、怜くんと凛がもっと近づいたら…? 私、一人に… 優奈の笑顔がふと蘇る。中学時代、突然転校してしまった親友… あの寂しさが胸を締め付ける。教室の静けさが心の波を増幅する。だが、フェスティバルの記憶――怜の彩花への賞賛、倉庫での抱擁が光を灯す。怜くんは私の音を『心に響く』って言ってくれた…信じなきゃ… 彩花は震える指で机の端を握り、静かに決意を固める。私の音は、怜くんの心に届いてるはず…信じたい…


・新たな旋律の約束:CrystalクリスタルVeilヴェール


 翌日の昼休み、彩花は唇を軽く噛み、勇気を振り絞る。受け身でいたら、怜くんとの距離は縮まらない…私から踏み出さなきゃ! メガネを直し、深呼吸して怜に近づく。「怜くん…昨日、ごめんね。なんか…私、もっとちゃんと話したいなって…」 声は小さく、メガネ越しの瞳が揺れる。


 怜の顔に安堵の笑みが広がり、緊張で声が震える。「大丈夫だよ、彩花…」 初めての呼び捨てに、優しく続ける。「俺、彩花が元気ないの、気になってたんだ…。彩花のこと、ほんと大切だから…」


 彩花の胸が温まる。怜くん、呼び捨てで…! 「…ありがとう、怜」 彼女も呼び捨てで返し、ブレザーの袖を握る。恋人なんだ…って、初めて実感した… 怜は音楽の話題で心を繋ぐ。「彩花…一緒に音楽ユニット、結成しない? 彩花のキーボード、めっちゃ好きなんだ。優しくて、心に響く音…。一緒に、もっと音楽やりたいんだ。」


 彩花の瞳が大きく見開き、心が激しく弾む。怜と…ユニット…? 私と一緒に音楽を…? 彼女にとって、怜の提案は予想外の光だった。「怜…ほんと…?」 声が弾み、微笑みが溢れる。「一緒に音楽作れるなんて…夢みたい…!」 怜の真剣な瞳に、彩花の心は希望で輝く。一緒にユニット…怜と私の音、どんなハーモニーになるんだろう…! 微笑みが溢れ、初めて自分から一歩踏み出した気がした。


 二人は「CrystalクリスタルVeilヴェール」と名付けた新ユニットを結成。BlossomEchoブロッサムエコーとNightReaverナイトリーヴァーを続けつつ、ギターとキーボードのインストゥルメンタルを動画サイトで公開する方針を決める。怜は希望に輝く。Crystal Veil…俺と彩花の音、絶対響く… 彩花も新たな挑戦に胸を膨らませる。怜と私の音楽…みんなに届くかな…


・仲間たちの応援


 彩花は凛にユニット結成を報告する。「凛…私、怜と新しいユニット作ったの。動画サイトで配信するつもりで…」 凛の目がパッと輝く。「えー! 彩花、めっちゃすごいじゃん! 怜くんとのユニット、絶対いい感じ!」 ニヤリと微笑む。「ね、ひょっとして…怜くんと付き合ってるの?」 彩花の頬が真っ赤に染まる。「え、う、うそ…! そ、そんな…」


 凛はクスクスと笑う。「ふふ、隠さなくていいよ! 彩花のそんな顔、めっちゃ可愛い!」 彩花…怜くんと輝いてる…私、応援するよ! 彩花の心が温まる。凛、いつも私の味方でいてくれる…


 怜は校庭のベンチで|颯に報告。「颯…俺、彩花と新しいユニット作ったんだ。動画サイトで配信する予定で…」 颯はクールに頷く。「へえ、彩花と? いい組み合わせじゃん。NightReaverも、今のうちに曲つくっておくから忘れんなよ!」 怜、いい感じだな。応援してるぜ…


 秋の教室に響く笑い声の中、彩花と怜は「Crystal Veil」の夢を胸に新たな一歩を踏み出す。凛と颯の応援に支えられ、二人の音楽は、紅葉のように静かに、だが確かに輝き始めた。


・次回予告:第14話【赤い翼のサプライズ】(9月26日【金】20:00公開)


 念願の彩花と怜のユニット「Crystal Veil」が始動! ギターとキーボードの透明な音が動画サイトで人気を博し、二人は才能を輝かせる! だが、彩花を欠いたBlossomEchoで、ひとり練習を続ける凛の目には寂しさが漂う。彼女の心に芽生える新たな想いとは? 次回、「赤い翼のサプライズ」、青春のメロディが新たなドラマを切り開く!

・コメントのお願い


 彩花と怜の「Crystal Veil」、凛の応援、彩花の葛藤、どの瞬間があなたの心を震わせましたか? 二人の音楽と愛、どんな未来を期待しますか? ぜひコメントで教えてください!

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― 新着の感想 ―
凛と彩花は太陽と月ですね。 太陽は月を隠してしまうくらい明るいけど、太陽が沈んだ後に人は気づきます。 不安にさいなまれる夜道を意外なほど明るく照らしてくれる月のありがたみとその温かさに。 そのことに…
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