90歳のおばちゃんと恋をしたら
私は、90歳のおばあちゃんに恋をしてた。
おばあちゃんと初めて知り合ったのは、床屋で、
おばあちゃんは、80歳で現役の理容師でした。
私は、当時重度の不安障害で、外へ出るとすぐ不安になってしまう。
その為、いつも髪をカットするのは、母でした。
それから数年後、
私は、新しい頓服薬を飲んで、思い切って外に出る事にしました。
まずは、家から近い理由で近所の床屋に思い切って、入店。
ギィィ!
その床屋のイメージは、薄暗い蛍光灯がチカチカと言っていて、
猫が二頭、招き猫みたいに並んで座っていた。
おばあちゃん「はい、どうぞ」
私は、床屋の椅子に座る。
私「カットだけお願いします」
おばあちゃん「はい、はい」
そう言い、カットし始める。
おばあちゃんは、私に「お兄ちゃん、まだ若いね」
すると、いつものように強い不安感が波の様に押し寄せて来る。
私の頭の中は、不安感で一杯に。
すると、おばちゃんは、大丈夫。
辛かったら、何も喋らなくていいよ。
そして、
そう言われ、安心したのか、話はいつの間にか、私の趣味のカメラの話に。
おばあちゃん「おばさんの亡き主人は、カメラが好きでね。私をいつも色んなところへ連れてってくれてたんだよ」
へぇー。
私は、床屋に色んな写真が飾ってあることに気がつく。
それは、見事な写真馬鹿り、
わぁー!
凄いね!!
プロみたい!
すると、おばあちゃんは、お兄ちゃんも写真撮るの?!
おばちゃん、見てみたいなぁ?
嬉しくなった私。
私「今度iPad持ってきます」
そう言い残し、家へ帰ってゆく。
近所だったので、直ぐに家に帰り、直ぐにお店に行き、写真の評価をしてもらいました。
おばあちゃん「お兄ちゃん、この画像印刷していい?」
そう言う、おばあちゃん。
私「おばちゃん、お目が高い。」
それは、私の自信作だよ!
それから、おばあちゃんは、私が写真を撮ってくる度に、額縁に入るぐらいの写真にし、
そう、プリントアウトしてもらいました。
そして、それを直ぐにお店に飾って貰う様になり、
それがおばあちゃんとの出会いの始まりでした。
カルガモの写真や野鳥、風景の写真等など。
おばあちゃんは、私の為にプロみたいな写真展を開いてくれる。
それから、おばあちゃんとの付き合いは、始まりました。
私は、病気の為、家に引きこもる生活。
その時は、とても調子が悪く。
でも、おばあちゃんは、家に電話して、私を外へ出られる様に毎日毎日訓練してくれました。
そして、何年も何年も、
おばちゃんのリハビリのお陰で私は、障害者訓練所に行ける様になり、
そしておばあちゃんは、いつの間にか90歳になってました。
そして歳のせいか随分痩せ細ったおばあちゃんは、現役で、私の髪をカットしてくれる。
こないだなんか、カット代は、いらないよ。
そう言ってくれました。
しかし、おばあちゃんは、だんだん足腰が弱まって、外へ出られなくなりました。
なので、私は、恩返しの代わりに小説動画を制作して、何度も何度も見せに行きました。
おばちゃんは、とても、とても喜んでくれ、
私の動画をいつも楽しみにしてくれてました。
何度も何度も何度も何度も見せに行きました。
そして、10年の月日が、
いつものように、私のカットするおばあちゃん。
おばちゃん、またねーといつものように別れの挨拶。
それが最後のおばあちゃんでした。
私は、涙をぐっとこらえ、
私は、おばあちゃんの亡骸の手に優しくKissをして、
今までありがとう。
おばあちゃん!
またねー!
そう、別れの挨拶をする。
葬儀も終わり、
すると、突然ひろしさん!!
こ、これ、
突然渡された手紙と紙封筒。
お兄ちゃんへ
「お兄ちゃん、今までありがとうね。この手紙を見ている時は、おばちゃんは、この世には、もう居ないだろうなぁ。
でも、お兄ちゃん、頑張って生きてゆくんだよ!おばちゃん、お兄ちゃんなら病気に負けず、ひとりで生きてゆけるよ。
だいじょぶだよ。でも、もしダメだったら、この封筒を開くんだよ!」
私は、いつの間にか、50代になってました。
しかし、おばちゃんのお陰で社会復帰出来、
いつものように、普通の生活をしてるんだよ。
ありがとう、おばちゃん。
おばちゃんのお陰だよ。
実は、僕は、この封筒の中身を薄々気がついてた。
だから、僕は、そのまま。
いつまでも大事に大事に、保管していました。
これがおばちゃんとの恋でした。




