第2章:初めての異世界人との出会い
しばらく森の中を歩いていると、遠くに煙が上がっているのが見えた。
「……村か?」
もし人がいるなら、助けを求めるチャンスだ。
足元に気をつけながら、慎重に近づく。森を抜けると、そこには小さな集落があった。木造の家が並び、数人の人影が見える。農作業をしている者、子どもを遊ばせている者。服装は中世ヨーロッパ風で、まるでゲームの世界に入り込んだようだった。
だが、ここで一つ問題がある。
「言葉、通じるのか……?」
異世界ものなら言語が自動翻訳される設定が多いが、俺にはそんな便利機能はなさそうだ。恐る恐る村の入り口へと進むと、一人の老人がこちらを見つけ、警戒したように声をかけてきた。
「……グラム・シュノーラ?」
やっぱり通じない。だが、ここで怯んではいられない。俺は必死にジェスチャーで「助けてくれ」と訴えた。
すると、老人は怪訝な顔をしつつも、近くの若者に何かを伝え、俺は村の中へと案内されることになった。
ここで生き残るためには、まずは信頼を得るしかない。そして、なんとか言葉を覚えて、この世界で生き抜く術を見つけるのだ——。
こうして、何の能力も持たない男の異世界サバイバルが始まった。
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