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第5章 良い人ではなくお節介

「狼似聞きたい事は沢山あるんだけど、わざわざ一個ずつ聞いていくな」

「答えれる範囲なら大丈夫だぜ!」

「よし、まず一つ! いきなりあんなこと言われて何で驚かなかったんだ?」

「言っただろう、前にもあったような気がするだけだって!」

「…………じゃあ次だ、何でわざわざ帰る必要がある?」

「どれだけの日数かかるから分からんから荷作りだ!」

「なるほど、……次アタックキャッスルって奴どんなんだと思う?」

「普通に考えると、動く城って所でしょ!」

「妥当だな……じゃあイーブルスとは何だと思う?」

「まだ分からないけど、転送機械って奴かな?」

「そんな感じかな? ……後二つ珍しく恵美にくっつかなよな?」

「う~ん、ゆめっぴと合ったらそんな気分じゃ無くなった…………何でそんな意外そうな顔するんだ?」

「気にするな、そして最後の質問は………………………………………………………………俺の背中になに張ってくれとんじゃあああああぁぁっ」

「おふぁ」


俺は背中に張ってあった(二次元ヒロイン印刷つき)紙とともに狼似の腹を思いっきり殴る。

 今は店を出てから、表町で静かな道の方を歩いているため今のやり取りも何の問題も無い。

 注、駅までの道案内は恵美に任せてあります。


「年下より年上だったか……あがぁ」


目の前のものはただのゴミになってしまったようだ。

 

「お兄ちゃん! 狼似先輩をいじめちゃ駄目だよ!」

「おお~天使がついに微笑んだのだ~!」


確かにこれは珍しい、恵美が狼似の心配なんかするなんて。

 こんな事今までに何回あったか……2回だけか。

 一回目は全テストで赤点取ったときで。

 二回目は遊園地で事故を起こしたジェットコースターに当たりそうになった事か、あぁ客は誰も乗ってなかったぞ。


「いじめるなら……私を……いじめなさい…………」

「年上ぶってもしね~からな、狼似うちの妹が考える俺のイメージが年上好きになっちまったぞ」


すべて勘違いだった。


「……………………」


返事をしない(電車乗る前に買っといた)スタンガンの刑だ。


「……うべ……うべ……うべ……うべ」

「規則正しいな」

「私もやるっ! やりた~い!」


俺は何も言わず渡す、元々あげるつもりだったもんね。


「うへへへへへへっ! うへへへへへへっ! うへへへへへへっ!」

「……………………」


俺は狼似なめていたようだ……このままだと恵美がいざって時に余計に狼似の興奮をあげてしまうかもしれない。

 もっとすごいものを探さなくては!

 しかし……あれだな、何か変な絵見てる感じだな恵美が笑いながら電気流して、嬉しそうに悶える狼似……。

 世界珍大賞取れるかもしんない。


「満足したなら駅に行きたいんだが?」

「「大満足です!」」

「おぉ……そうかじゃあ行こう」


びっくりした、まさかハモって来るなんて予想外だったよ。

 案外この二人意見が合うのかもしれない、そんな事無いか。











疲れた~と大声で叫んでやりたい、だがあいにくここは寮だ、そんな事ができるはずが無い。

 何故こんなにも部屋は広いのに壁は薄いんだよ!

 この前、誰かが寮の中でドッチボールなんてやるからしばらくの間、2人部屋が18人部屋になってしまった。

 つまりボールが当たるとまさに崩れ落ちるぐらい壁は薄い。


「毎回思うんだが……何で恵美は寮に入り込めるんだ?」

「お兄ちゃんの制服着てたら普通に入れるよ!」

「…………………………何でお前が俺の制服持ってんだよ」


嫌、聞く意味も無かったな。


「狼似先輩にもらったの!」


『スコッ』


「下原? 顔にダーツのようなものがかすったんだが……」

「安心しろ、次はちゃんと股間狙ってやる」

「せめても腹でっ!」

「腹よりすねなんかどうだ?」

「何でそんな微妙に痛いところばっかっ? 許してくれ悪気は無かったんだ!」

「仕方が無い、今回はこれぐらいで許してやろう」

「めっちゃ安心した!」

「さっきのダーツには小量の毒が持ってある」

「大量でない事に……安堵した」


とりあえず荷作りでもするかな、たとえどんな事が合っても助けなきゃならないんだろうし。

 俺は軽く痙攣を起こしている狼似を部屋の端に転がすとタンスやなんやらからどんどん要りそうな物は自分のベットに置いていく。

 そこで俺は考えた、俺と狼似は二年前に崩壊した三好に行くとしても恵美はどうするのだろうか?

 はっきり言って兄貴的には着いてきて欲しくない、これは本心だジャマとかではなくただ単に心配なんだ。


「…………恵美」

「どうしたの?」


俺からの空気を受け取ってくれたのか、ちょっと真面目に受け答えしてくれる。


「話的に分かってくれてると思うが、明日からどうやら未来げんだいを変えにいく事になってしまったんだ、そこは分かってる?」


わずかにだけ恵美の顔が上下する。


「俺的には、俺と狼似だけで行きたいんだけど、どうするの?」

「もちろん着いていくよ!」

「……やっぱりか」


困ったな、俺が行くと言った場所に着いて来て(本当にどこでも)、集合時間に1秒でも遅れたらすごいほどにメール・電話が来るし、好きな奴ができたなんて言った日には。

 『私は妹こと下原恵美の事が大好きです、私は下原恵美以外の人は愛せません、私は下原恵美と付き合えるのなら何でもします、法律なんて破って無理やりにも結婚します、私は下原恵美が居ればご飯なんていりません』

 これを朝から夜まで(0時から24時まで)ずっと読まされました。

そんな妹こと恵美をどうやって止めようか?

 嫌、パターン的に何個かはあるのだが俺の皮膚が着いてる内はそれを使う事も無いだろう。

 仕方が無い、ここは俺が折れておいたほうがいいみたいだな……。


「じゃあ約束してくれ、絶対に無理をしない事、命大事に! だ」

「わかったっ!」

「ただでさえお前は危ないのに、怪しいようなところに行くんだから本当に気つけなきゃ駄目だぜ!」

「うん! ………………でも何でお兄ちゃんと狼似先輩はそんなあからさまに嘘っぽい事なのに行こうとするの? 優しすぎない?」


思わず俺と狼似は目を合わす。

 狼似は軽く笑うと、そっぽを向くとちょっと何かを考えるような顔になる、たぶん思い出してるのだろう俺と狼似が出会った日の事を。


「文脈がどんなのだろうが…………助けてとゆう単語に嘘は無い。」

「え?」


どんな奴だろうが助けてと言われたら助けるべきなんだ。

 たとえ文脈に嘘があっても助けようと行動する事によって誰かは助かる、もしかしたらそれが俺かもしれないし、助けを求めた人かもしれないし、完全な第三者かもしれない、それでも助けようとすると誰かが助かる。

 だが誰かが助かるとゆう事はどこかで誰かが悲しんでいる状態を作る事になってしまう。

 だから俺は助けを求められたら助ける、悲しんでいる奴に助けを求められたら助ける、これだと無限ループなような気もするが、俺は悲しさと嬉しさが平等にやってくればいいと思ってる、まぁ~つまりバランスが釣り合えばいいそう思ってる。

 そんな事を思わせるようになった痺れてるバカに言われた言葉を俺から恵美にそのまんま言ってやった。

 残ってるもんなんだな、心に響いた言葉ってのは……。


「いつか分かる日がくるんじゃないか? たぶんな」

「う~ん? とりあえず覚えとく」


いい子だ、本当にいつか俺の思ってる事を悟ったうえにもっと上に行ってしまうのかもしれない、それはそれで寂しいもんだな。











俺は朝が駄目だ、夜も駄目だ、眠いから。

 とかほざいてる俺が珍しく夜中に起きた、窓から月からの日光が降り注いでいる。

 何で起きたかといゆうとただ単に何かいつもと違う感じがしたからであるそれだけである。


「う~ん?」


俺は左手で目を擦りながら、右手で左側の枕元に置いてあるはずのケータイを手探りで探す。

 しかしいつも置いてある場所にケータイが無くもっと遠くを探す。


『チャプ』


何かに吸われるような感覚が指全体を包み込む。

 俺が抜け出そうと指を思いっきり暴れさせると舌のようなものに当たる、嫌、舌だった……。


「うんっ! 何?」


俺は勢いよく飛び上がろうとするが、妹こと恵美に指をしゃぶられているため足をつくようにゆっくり体を起こす。


「嫌、何か変な感じだな、おい」


てか、せっかく布団用意してやったのに、結局俺の布団の中潜り込んでんじゃね~かよ。

 全く隙を見せればくっついてくるもんなこいつ、もっと大人しくできないのだろうか?


「はぁ~」


俺がため息をしてから、ちょっとの間だけ恵美に顔を見ていると、顔に変化が出る。


「ほにぃちゃん、ふぁすけてよ~」


指をしゃぶっているためによく聞き取れないが何故か悲しくなってくるような事を言ってるようなきがする。


「うえぇんっっ……うえぇん」

「おいおい、大丈夫かよ」


何故か泣き出してしまった恵美の涙を手で拭いてから、軽く頭を撫でてやる。

 しばらくやっていると段々静かになっていく。


「す~うぅ、お兄ちゃん……ありがとう」


俺は苦笑してから、優しく抱いてやった。

 俺も恵美も幸せそうな顔だったかも知れない。


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