美少女になったんだ、男を手玉にとろうぞ
すっごく適当な話だから…。
あんま気にしないで?
朝日が上り、日差しが俺に当たる。
俺の嫌いな朝だ。
もっと寝ていたい。
よし、そうと決まれば寝るか。
「おやすみなさい」
「起きろー!お兄ちゃん!」
うるさいなー。もう少し、寝かせてくれ弟よ。
中学生だろ?わかってくれ。
「お兄ちゃん?…………え?誰?」
誰って、俺しかいないのに誰とはないだろ…。
まぁ、寝かせてくれ。
「お母さんー!?お兄ちゃんが女の子連れ込んでるー!!!!!!!」
女の子を連れ込んでるだぁ?
こんな甲斐性なしのヘタレに女の子を連れ込める勇気があるとでも?
………自分で言っていて泣きそう。
「はいはい、そんなわけないでしょ?
あの子が女の子を連れ込めたら全国の男が連れ込めるわよ」
酷くね?アンタ、実の母親だろ?
しかし、眠い。
「入るわねー。
……………あら、可愛い女の子」
マジか、お母さんまでそんなこと言ってる。
もうわけわかんないよ。
「天使さん?朝ですよー?……奏に変なことされてないわよね?
あら?奏が着てた服…。まさか、奏が襲われた方なのー?」
何を言ってんだ?俺が襲われる?女の子に?
ウェルカムなんですけど?
あ、美少女限定な。
「……ちょっとイタズラしようかしら。
こちょこちょー」
「ひゃう!?」
こちょこちょはアカン!俺にめちゃくちゃ効く!
「起きたわねー。おはようございますー。
あなたは誰なのー?」
「は?実の息子も分からなくなったのか?
ちょっと泣いてくる」
「実の息子はこんなに可愛らしい女の子ではありません。
もっと、ちゃんと男の子です」
「てか、女の子ってなんだ?俺は男だ」
「それは自分の胸を見てから言いなさい」
「胸ー?確かに、ちょっと重いな」
そして、下を向くと。
たわわな山が二つついていた。
おっぱい?なんで?
じゃあ俺の息子は?
………………………………………………………………ない。
「あぎゃああああああああ!!!!!????」
「あらあら、これは奏ね。この反応は奏だわ」
「お兄ちゃんが、お姉ちゃんに……。
いける…」
「何が!?何がいけるの!?」
と、とにかく。冷静になれ。
まぁ、昨日の夜にモテないならいっその事、美少女になりたいとか思ったけど!
私が女の子…ムフフ…。とか思ったけど!
「か、鏡を見よう。きっと何かの間違いだ…」
そして、鏡を見て絶望する。
「女の子だ…。俺、女の子になってる…。
結構可愛いし…」
白の髪に金色の瞳。
整った顔立ち。
すべすべの肌。
たわわなおつぱい。
………いい。
「よし、俺は女の子として生きよう」
「あら?奏って昔から切り替えだけは早いのよねー」
だって、もう現実逃避してもなんかダメな気がするもん。
元に戻らないって分かるもん。なんか。
あ、目が良くなってる。
やった。でも、眼鏡はかける。レンズぬいたから、伊達眼鏡だねー。
「まぁ、いいや。学校いこ」
「え?マジ?その姿で学校行くのお兄ちゃん」
「奏すごいわー」
「学校行って、ちょっと友達を誑かしてくる」
「あ、いつものお兄ちゃんだった」
◇
ひゃっほい!俺は美少女になったぞー!!
結構妄想してたんだー。
もしも、俺が美少女になったらモテるのかなー?とか、弟と妹にしたわれるのかなー?とかね!
お、変なこと考えてたら第一友人発見!
「やっほー!八田!元気?」
必殺!悩殺たわわ!
これは、今日の朝に発現したたわわを相手に押し付ける技なのだ!
男に効く!
「うお!え?誰?」
「ん?誰かわかんないのかな?酷いねー」
「お前みたいな美少女知らないんだけど…。
学校にはそんな美少女いないし」
「その発言、学校の女子全員を敵に回したよ?」
「お、やべ。殺される」
「ね、死んだねこれは。もう終わったよ」
「よし、誰かわかった。奏だ。この感じは奏だ」
バレた…だと…?何故だ?私の計画は完璧だったはずだ。
「その顔は何故、わかったのか疑問に思ってるな?
それはな、お前のことはなんでも知ってるからだぜ?」
「え?きも」
普通に気持ち悪かった。
「酷くね?まぁ、本当はノリが奏にそっくりだったからな。
しかし、なんで女装してんだ?」
「むっふっふっふー。この私が女装をするとでも?」
「あー、しそう。普段、女の子みたいなことしてんもん。
てか、性別間違えてんじゃね?とか思ってた。
ようやく、自分の性別の間違えに気づいたんだな」
「な!?」
思わず膝から崩れ落ちる。
男らしいと評判の私が、女の子ぽかっただと?
なわけないだろ!
「うう……。もう、お前なんか知らない!!!」
「あ!しまった!」
私はダッシュでこの場を去る。
酷いよー!!!
そのまま教室に駆け込み、自分の席に座る。
「あのー、そこ奏の席なんだけど」
「ぐすん、私って女の子に見えてた?」
佐藤が尋ねて来たので、聞いてみる。
佐藤くん!私が求める答えを出してくれると、私は信じてる!
「え?どっからどう見ても女の子だろ?」
「やっぱりそうだったんだ!うぇーん!!!!!」
酷い!佐藤までそんな風に思ってたんだ!
「なんで?なんで泣くの?え?これ、俺が悪いの?
おい、竹中!特にお前!俺が悪いみたいな目で見るなー!!!」
「おい!奏!やっと追いついた!………え?何、このカオス」
「八田ー!!!!!みんなが!みんながいじめてくるー!!!!!!」
「おい、てめぇ!八田!なんで女の子に抱きつかれてんだよ!羨ましいな!!」
「おーい、ホームルーム始めるぞーって何これ」
◇
「えー、まずは重大発表があります。
九条 奏が、女の子になりました。
何を言ってるのかわかんないと思うが、先生も分かりません」
「ふっ、シャキン!みんなのアイドル!奏ちゃんだよ!
やっはろー!」
私はくるっとターンを決め、いつもの台詞を言う。
「えー、このノリで奏だと理解したと思います。
女子は奏をサポートしてあげてください。
男子は奏が女の子ということを忘れんなよー」
「よろしくね☆」
「あー、以上!解散!」
「「「もう、わけわかんないよ!!!!!!!!!!」」」
クラスメイト全員がそう叫んだ。
「実は私も」
私も同意見だった。
休み時間、みんなが集まって来た。
「しっかし、なんで女の子になったんだ?
前から女の子ぽかったけど」
「なぁ、ホントに私って女の子ぽかった?」
「「「うん!」」」
「元気があってよろしい!じゃ!ねぇんだよ!!!!!どこがだよ!どっからどう見たって男だっただろ!」
「いや、まず顔が女の子みたいだっただろ?
声も高い。
そして、雰囲気」
うんうんとみんなが頷く。
あえ?なんで?
「確かにそうだったな。なるほど、神が本来の性別に今訂正したのか…」
そしてまた、みんなが一斉に頷く。
酷いな。泣くぞこら。
「まぁいいや、今の私は美少女奏ちゃんだから!
よろしくね!」
笑顔で言ってみる。
ふっ、コレでイチコロだね!
「「「あ、可愛い。惚れた」」」
「ウッソだろお前ら!?」
冗談だよね!?私も冗談だったんだからさ!
「奏くん?いや、奏ちゃんか。どう?女の子になった感想は」
竹中さんが尋ねてくる。
ふむ、そうだなー。
「おつぱい重い」
「くっそ、持たざる者の気持ちを考えろよ」
「ヒェッ」
怖い!!貴方ホントに竹中さんですか!?
「確かに、胸がでけぇな。なんだ?自分で揉んだりしてみたか?」
「あー、したけど」
「したけど?」
「虚しいだけだった。自分のをもんでもあんま嬉しくないね」
「へぇーそんなもんなんだ」
「だがしかし!私は女の子だが、男の気持ちもわかる!」
ふっふっふと笑い
「だから、貴様ら男を全員惚れさせてみる…」
「「「「あ?シバくぞ」」」」
「ズビバゼンデジダァ!!!!!!!!」
女子が全員威嚇してきた。
女子怖い!!!!!
その後、男の子を手玉に取るなんて考えなくなったとさ。
一人を除いて……ね。