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プロローグ
「妹よ、俺は思うのだ」
―― 問題はいつも兄貴がこの言葉を言うことで始まる。
妹の私は画面の向こうにいる君を、この馬鹿げたじゃれ合いに巻き込もうとは思わない。
ただ君が、どうしても我ら兄妹に関わろうというのなら決して止めたりもしない。
「何をだい? 兄貴」
さぁ、今のうちに引き返せ。まだ間に合う。
そうそう。そうだ、マウスを動かすことに躊躇ったりしちゃいけない。
「かくれんぼ……」
もう一度言う。今ならまだギリギリ間に合う。さぁ、手を動かして!
「かくれんぼがどうしたの?」
本当にいいんだね? 後悔しても知らないよ。
私は確かに忠告した。あとはもう君の責任だ。私は一切関与しない。
「漢字にすると隠れんぼ……。なぁ、“んぼ”ってなんだろう?」
そう、これは私と兄貴の、ゆるくてどうしようもない日常のお話。