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マイ・ピュア・レディ8

 晴。微風。


 賑やかな教室の中で、加代子と美智代は空になったお弁当を前にしたまま話を続けていた。話がひと区切りついて、加代子はぼそりと言った。

「なんで、成績順になんかクラス分けするんだろうね」

「昔は全学年そうだったんだって。今は三年だけ」

「どうして?」

「受験に都合がいいからだっていうことだけど」

「そうなの?」

「だって、同じレベルの生徒が集まってると授業もしやすいし、担任も進学指導がしやすいじゃない」

「ぅん、…そうなんだ」

「だから、受験生の三年生は、成績順。あたしたちもそのうちそうなるの」

「…なんか…変だな」

「だって、しかたないよ」

「でも、…そんなことで階級制みたいになるのって変だよ」

「でもさ、やっぱり、今の学校ってそんなもんじゃない」

美智代の台詞に加代子は何も言えなくなった。今も姉は進学のために一生懸命勉強している。それが正当に評価されている。きっと希望の学校に進学できるだろう。それは、それでいいことだと思う。だけど、それが表面化するクラス分けには、何か言い表せないものが感じられる。

「どぉうして、頭のいい人って、運動もできるんだろうね」

美智代はあきれたようにそう呟いた。加代子は我に返って頷いた。

「きっと五十嵐さんって一番になるよ」

美智代の言葉に加代子はきょとんとしてしまった。

「何が?」

「何がって、知らないの?今度、校内の人気投票するんだって」

「何、それ?」

「何って、こないだ純子ちゃんから聞いたの。新聞部主催で校内の人気投票するんだって。ほら、去年まで緑川先輩いたじゃない。それで、去年もしたんだって。その第二弾。きっと、五十嵐先輩トップよ。そしたら、あたしたちなんて、相手になんないわ」

「そんなの…」

「そう言えば、カヨちゃんのお姉さんも人気あるんだってね」

「え?」

「結構きれいだもんね。クラブやってないから、あんまり名前は知られてないみたいだけど」

「ホント?」

「ホントにカヨちゃん何も知らないのね。だって、野球部のマネージャーに誘われてたんだって」

「ウソッ?」

「去年だったんだけど、もう二年だからって断ったんでしょ。知らないの?」

「そんなことお姉ちゃん全然言わないもん」

「じゃあ、あの噂も知らないのね」

「何?」

「五十嵐先輩の彼女って、カヨちゃんのお姉さんじゃないかっていうこと」

「あ…それは……」

「知ってたの?!」

「んん。だけど、こないだの日曜日の試合のとき、お姉ちゃんが見に来てて、どうしたのって訊いたら、五十嵐先輩に応援に来て欲しいって言われたんだって」

「なんだぁ、それじゃ、そうじゃないの。あぁ、バカみたい。こんなに身近な人が、五十嵐先輩の彼女だったなんて」

「でも、ホントにそうかはわかんないよ。お姉ちゃんは、そう言わなかったもん」

「そんなの、そうに決まってるじゃない。二人ともAクラスなのよ。お似合いじゃない、頭のいい者同士で」

「でも、お姉ちゃん、緑川先輩のファンだった、って言ってたよ」

「へぇ、そうなの。でも、ファンだった、んでしょ。今は、五十嵐先輩のステディとか」

「…そんな……」

「人気投票でもきっと二人とも上位よ。Aクラスだもん」

「そう?」

「そりゃそうよ。よく考えてみなさいよ、いくらカッコよくっても、Dクラスなんかだったら誰も投票しないわよ。投票されるのはAクラスから。特に三年は。あったりまえでしょ」

加代子はそう言われて小さく身を竦めた。


 ―――当たり前なのかな……。


 美智代の語調には説得力はあったが、言っている内容には納得できなかった。おかしい、と思いながら、姉百合子と五十嵐のカップルは誰が見ても非の打ち所のない二人だった。そのイメージに納得しながら、小さく頷かざるを得なかった。


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